到着後の方針
ギン達はニリの港町にミックサック団の公演のサポートの為にミニルを、そしてミニルの単独行動を避ける為にヨナと傭兵団を半数ほど残し、ニリよりピトリの港町アイルに向けて出航した。
船の甲板でアイル到着後の方針について一同は話をしていた。
「とりあえずアイルに着いてからだけど、まずはリーザさんがいたっていう孤児院に行ってみようと思うの。出航前に団長さんから地図にルートを書いてもらったからこれをたどればそこには着くわ」
「ピトリ女王にはどう伝える?さすがにこれ以上俺達が分散すると奴らに対抗するのは難しいと思うが」
「アイルに着いたらそこの郵便所から今回の件の文を送るつもりよ。既に魔族がピトリ国内にいる事を考えると警戒態勢を敷くのが間に合うかどうかの不安はあるけどね」
ギンとルルーのやり取りを聞いてブライアンは思い浮かんだ考えを2人に話す。
「なあ、アイルに着いたら帝国にも文を送ってみねえか?元々ピトリとは魔族関係で協力していたんだし、今なら俺達とも協力しあえるだろう」
「私もできればそうしたいんだけど、まだ帝国は完全にまとまったわけじゃないし、他国への派兵をする余裕があるとは思えないわ」
「俺もそう思う。正式な同盟がなればプレツも支援はできるだろうが、現状の派兵は国内に隙を作るだけだろう」
「ダメかーー、いい考えだと思ったんだけどな」
ブライアンが残念がっているとウィルがブライアンに声をかける。
「まあ仕方ねえよ、今回は俺達だけでどうにかしねえと」
「左様、我々は比較的自由に動ける身ゆえ、その点を活かさねばなりますまい」
ウィルの発言にジエイも同調の意思を示し、更にムルカも話に加わる。
「現在リーザ殿を救出し、もう1人を守れるのも我らしかおらんからな」
ムルカの言葉を聞いてからギンは抱いた疑問を口にする。
「不思議だったんだが、何故奴らは自分達の根城に一度転移せずに直接ピトリに転移したんだ?」
「そりゃあ、そのもう1人を早く見つける為だろう」
「だとしても、リーザだけでも自分達の根城に届ける事もできたはずだ」
ギンはリーザを連れ去った魔族がリーザを自らの根城に届けずに直接ピトリに転移した事に疑問を抱いておりその疑問に対してルルーが自分の見解を述べる。
「彼らの根城がピトリになくても何かしらの拠点はあるかもしれないわ。おそらくピトリ側もまだ発見できていない拠点が」
「奴らがリーザともう1人を何に利用するつもりかは分からないが、これ以上奴らの好きにはさせるわけにはいかない」
魔族の目的、リーザをさらった理由は見えないが、魔族の企みを阻止する為にピトリの港町アイルへと向かって行く




