連れ去られしリーザ
ブリックが更にコウモリの魔物にジエイの背後を突かせたことによりジエイに一瞬の隙ができ、ブリックの元にコウモリの魔物が捕まえたリーザが届けられる。
「ふっふっふっ、我々と共に来てもらいますよ」
「ど、どうして私を……助けてーーー!」
助けを求めるリーザをよそに、ブリックは仲間であるピッキーとアルドに対して呼びかける。
「ピッキー、アルド、もはや長居は無用です!この場を離脱しましょう」
建物の上からの声ではあるが、人間より優れた聴力を持つピッキーとアルドには聞こえ、それぞれが返答をする。
「ええーー!今からこいつらをやっつけようと思っていたのにーーー!」
ピッキーが独り言を話しているように聞こえたブライアンは思わず疑問を口にする。
「一体あいつ何言ってんだ?」
「あの口ぶりから他の仲間から何かを言われたようではありそうだが」
「だけど他の奴は近くに見当たらねえぜ」
「通信魔法、あるいは聴力が我らより高いやもしれん」
ブライアンとムルカのやり取りを聞いて、まずいと思ったピッキーはその場の離脱を試みる。
「あ、やばいかも……じゃあねバーイバーイ!」
そう言ってピッキーは転移魔法を使い、その場をあとにする。
「何⁉消えやがった?」
「離脱したという事はまさか……」
ムルカの不安は現実のものとなりそうであり、アルドもブリックの声が聞こえた事で返答をする。
「なごり惜しいが止むを得んか、ブリック、俺は転移魔法は使えんからお前の所に戻るぞ!」
アルドがブリックに呼びかける声が聞こえたギンはアルドに対し声をかける。
「待て!逃げる気か?」
「我々の目的は達した、またいずれお前の相手はしてやる」
そう言うとアルドはブリックの元へ向かおうとするがギンは必死に追いかける。
「ちっ、しつこい奴だ!」
言葉を発するアルドに対しギンはアルドの身体の毛を掴みむしり取る。
「ぬううう!おのれ!」
ギンに反撃を試みようとするが、リーザを抱えたブリックが現れアルドをたしなめる。
「落ち着きなさい、もう1人を我らが発見すれば、我らの勝利は確実です」
「もう1人だと?」
「もはや、あなた方人間には勝ち目がないでしょう、それでは」
そしてブリックとアルドはリーザも一緒に転移魔法でどこかへと消えていく。
ブリック達が消えるとジエイがギンに近づき声をかける。
「申し訳ない、まさかまだ伏兵がいたとは……面目ありません」
「ジエイ、魔族は明らかにリーザを狙っていた。一体リーザに何があるというんだ?」
リーザを連れ去られ途方に暮れるギン達、救出の手段はあるのか?




