この先の事
まさか自分がエイムに好意を寄せられてるかもしれないとウィル達が話している事を知らないギンは部屋でゆっくりと過ごしていた。
そんな時、扉がノックされて返事をする。
「どうぞ」
ギンの返事に促されて扉が開かれるとそこにはエイムがいた。
「エイム⁉一体どうしたんだ?」
「あ、いえ、まだ寝るには早いから少しお話でもと思いまして」
「何か俺に話したい事でもあるのか?」
「その、大した話ではないんですけど、ダメですか?」
エイムに問われてギンは返答をする。
「いや、別に構わない」
「ありがとうございます」
「じゃあこっちに座ってくれ」
ギンは自分が泊っている部屋の中にエイムを案内し、椅子に座ってもらい、エイムに声をかける。
「それで俺に話したい事というのは?」
「はい、プラナさんがとても幸せそうだったので、ギンさんにもお祝いの言葉をと思いまして、おめでとうございます」
「ありがたいが、わざわざそれを言う為に来たのか?」
「いえ、実はそれだけではなくて……」
エイムは少し言葉を溜めてからギンに強く尋ねる。
「プラナさんがカイスさんの元に居続けることを選んでこれからギンさんはその、どうするおつもりか聞いても良いですか?」
「それはつまり魔族との戦いに勝利してからの事を聞いているんだな?」
「はい」
「そうだな……」
エイムの問いにしばらく考え、答えが出たのかエイムに対し言葉を発する。
「正直な事を言うと分からないな」
「分からない……ですか」
「ああ、たとえ戦争が終わっても傭兵の仕事は続けるとは思うが、それ以外の事が思い浮かばないな」
「そうですか……」
エイムが言葉がなさそうな事を察してギンが声をかける。
「エイム、もしかしたら俺に気を遣ってくれているかもしれないが大丈夫だ」
「え?」
「確かにプラナと兄妹として過ごした時間は短かったし、寂しくないと言えば嘘になる」
「ギンさん……」
次の瞬間、ギンは自らの思いを話す。
「だけど、今はプラナが安心して過ごせるようにしなくてはならない。それだけは果たしてみせる」
「それってやっぱり魔族を倒して戦いを終わらせることですか?」
「それもあるが、俺自身、そしてエイムやみんな、誰1人失わずにまたプラナに会えたらとは思っている」
「ギンさん、そうですね、そうするように頑張りましょう。あ、じゃあそろそろ私部屋に戻りますね」
エイムが部屋に戻ると告げるとギンも返答をする。
「おやすみ、エイム」
「おやすみなさい、ギンさん」
先の事はまだ分からない。だけど今果たすべきことをエイムに告げ、ギンは寝床につく。




