愛を伝える者
自らの威信を高める為、カイスを皇帝に祀り上げ、他の領主を買収し主戦派に転じさせた罪により、ルドルフはカイスの部下に連行され城内の部屋で拘束される事となった。
ルドルフの姿が見えなくなったのを確認するとカイスはフィファーナとルードに声をかける。
「フィファーナ、ルード、お前達のおかげで再度プレツとの休戦がしやすくなったぞ。礼を言わせてくれ」
「いえ、我らももうこれ以上の戦争は無意味と考えておりました。これは帝国に仕える者として当然の行いです」
「カイス、わらわ達よりも先に何か言うべき者がおるのではないか?」
フィファーナの言葉を受け、カイスはエンビデスとトーラスの元に向かい礼の言葉を述べる。
「エンビデス、トーラス、お前達が命がけで私に反抗してでも帝国を救いたかった。その忠義には感謝してもしきれん」
「頭をお上げください、皇帝が臣下に頭を下げるなど大事件です」
「そうだ、皇帝として堂々と振舞えばよいのだ」
カイスの行動にややあきれ気味にフィファーナが接近して言葉をかける。
「まったく、そちという男は……誰が一番そちを心配しておったと思っておるんじゃ」
フィファーナが促した先にプラナの姿があり、カイスは少しづつプラナに近づいていく。
「プラナ……」
「あ、あの、わ、私はカイス様をただお側でお支えできれば……」
「プラナ、私からもお前に話さなくてはならない事がある」
「え?」
カイスはそう告げ、少し息を整えながらプラナに対し自分の思いを話す。
「あの時、お前がギンの妹と分かった時に私は騎士としてのお前は死んだ事にしてギンの元に返した。だがそれがお前に余計な苦しみを与えてしまった」
「お気になさらないでください、私の為にそうしてくださったのならそれは感謝しております」
「そうではない、私はお前を失いたくなかった。例え私から離れてもお前に生きていて欲しかったのだ」
「カイス様、それはどういう……」
カイスはプラナの目をしっかりと見つめ、自らの思いを話す。
「プラナ、私もお前を愛している」
「え⁉カ、カイス様?」
「お前をかえって苦しめた私にこのような事を言う資格はないかもしれないが、プラナ!お前には私の側にいて欲しい!」
「カイス様、私でよろしいんですか……」
「当たり前だ!約束する、2度とお前を離したりはしない」
互いに思いが通じ合ったカイスとプラナ、これからの2人は明るい未来を作る為ともに進むのだ。




