あの日
皆さん、どうも
作者の てと と申します。
今回は小説、というより短編の朗読台本のようなものを書いてみました。
難しい漢字は使っていないので、ぜひ読んでみてください。
商用利用もご自由にどうぞ。
(まあ、利用できるほど出来のいいものでもないですが)
あの日からもう5年も経つ。
教室の隅で空気みたいに存在していた僕に、「おはよう」と
声をかけてくれたあの日。
世界に色が付き、空気だった僕が初めて人間になった日だ。
あの日を思い出すだけで今でも胸がときめくよ。
あの日からもう3年も経つ。
勇気をだして君を映画に誘ったあの日。
僕は最大限のオシャレをして君を喜ばしたい一心で買った
小さな花束を抱えて待ち合わせ場所にいったのさ。
2時間前に着いたら君も同じ時間に来て、思わず顔を見合わせて笑ってしまったよね。
あの日からもう2年も経つ。
君が待ち合わせ場所にいつまでたっても来なかったあの日。
いつもは君が先に着いているのに、あの日は僕が先に着いたんだ。
心配になって連絡しても、まったく返事がない。
あの日、「雨が降っているから気を付けて」と先に送っていたら
何か変わっていたかな。
あの日から1年が経つ。
君がいない世界になったあの日。
あれからしばらく、僕はずっとこの世界にいない感覚になっていたんだ。
タイムスリップするみたいに、僕はまた空気になっていた。
「あの時に戻れたら君も戻ってくるんじゃないか」
そんな子供みたいな妄想を描いていたんだ。
そして今。
あの日、君が送るはずだった手紙を僕は読んだんだ。
久しぶりに声を出して泣いたよ。そして決めたんだ。
僕はようやく君がいない世界を受け入れることにしたよ。
空気だった僕はまた人間になるんだ。
君がいたこの世界を歩くために。