表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代グリム童話  作者: モイモイ
2/4

現代グリム童話1

  1.創生の大樹

 探索を始めてかれこれ5時間、使えそうな部品は見つけたものの、さびが酷く使い物になりそうになかっ た。

 「今日はいつもよりも遠くにきてみたんだけどな…。そろそろ帰るか。」

 帰り支度をしているその時、木々が騒がしくなり始めた。

 「地震だ!」

 僕はとっさに周りの開けた場所へ避難した。

 「随分とでかいな、唯は大丈夫か?」脳裏に嫌な思い出がよぎった。



 「唯!大丈夫か!」

 「お…お兄ちゃん、あ…足が動かなの…。」

 「…‼ な、な、なんとか、か、兄ちゃんがしてやるからな!」



 「…早く帰らないと!」

 揺れる中、何とか進もうとした時、地面が裂けた。やがてその中から巨大な木が姿を現し、揺れがそれと ともに収まった。

 巨大な木の幹からどんどん葉が生い茂り、空を覆っていった。


 「一体何が…」

 「創生の大樹の誕生だよ。」どこかで聞いたような声が木の枝のほうから聞こえる。

 「やあ!夢の中ぶりとでもいえばいいのかな?」愉快そうな声で語りかけてくる少年が言った。

 「お前は誰だ…」

 「俺かい、俺はハーメルン。グリムⅪ区統括Ⅻ針長統括をしているよ~」

 「グリム…」聞いたことのない地名だった。

 「創生の大樹ってなんだよ」

 「質問が多いな~ まあいいや。簡単に説明すると、地上をリセット、つまり、自然に害をなす地上人の 生命を吸い尽くし、根絶やしにする木だよ…」と、冷たく言った。

 「なんでそんなことを…、人間が何をしたっていうんだ!」訳が分からない、なにが起こってるんだ…


 すると、さっきまでの笑顔が消え、怒りに満ちた表情でハーメルンは言った。

 「なんで…か。お前ら地上人はみんなそういうよな~。理由は単純だよ、お前らが環境を破壊するせいで 俺らグリムに住む民たちが苦しんでんだよ‼ それから破壊するだけの下等生物風情が"人間”を語る   なー!」

 「…」僕は何も言えなかった。

 

 「ごめんごめん! 取り乱してしまったよ~。何しろ会いたくもなかったものだからね。あの方も人が悪 いな~。」

 「あの方…」一体誰のことだ?


 「話が逸れてしまったね~。流石に君たちも一方的に根絶やしにされるのは嫌だろ~♪ そこで君たち地 上人にはグリムの地に来てもらいⅫ針長と戦ってもらう! 全員に勝てたら地上は滅ぼさない、ついでに なんでも 願いを一つ叶えてやるとのことだ…。 ほんと、あの方は甘い…。」 


 「なんでも…」

 「そう!なんでも!わかってんだろう~、妹の義足なんてできっこないって。 まあ、その前に彼女は死 ぬだろうけどね~」

 「どういう事だ!ゆ、唯が死ぬって…」声が震えた。

 「何にも知らないんだね~っとそろそろ戻る時間だ。続きはまた夜に… 迎えに行くよ。」

 そう言ってハーメルンの姿は薄れるように消えていった…


 「…唯!」

 僕はさっきの話が気になり急いで帰路に着いた、これから起ころうとしている"終わりの始まり”であると 考えもせずに…





 「大樹の様子はどないやった?Ⅻ?」

 「そのしゃべり方は今のマイブームですか~? まあ、いいんですけど。 良好でしたよ~」

 「ならええ、精々頑張ることやな。 うちはルールさえ守ればそれでええ。 本能のままに動くことや  な。 うちはあくまで中立やからな。」

 「はい、今晩から始めさせていただきます…」

 









           登場人物 

 地上人

 僕:審判の日以前の記憶がなく、名前がない。唯と二人暮らしをしている。

 唯:僕の妹、足が不自由だがなんでも自分でこなそうとする。兄をとても信頼している。


 グリム

 ハーメルン:グリムⅪ区統括兼Ⅻ針長統括を任務としている。

 あの方:ハーメルンの話から出てくる上位の者と思われる人物。

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ