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第51話

「なんだこれ……」


「文章にすらなってねーな」


「でも、時間と場所はハッキリしてるな」


 高志と優一は怪しいメモ紙を見ながら不信そう表情を浮かべる。

 一体誰からなのか……。

 高志は気になるのと同時に、得たいのしれない呼び出しにかなり戸惑っていた。


「え? これ行かなきゃだめ?」


「ダメって事はないが……」


「待ってる誰かは居るよね」


「確かにそうだけど……なんか怖い……優一付いて来てくれよ……」


「はぁ? 俺だって行きたくねーよ」


 とは言った優一だったが、結局高志に負けて一緒に旅館の中庭に来ていた。

 優一は近くの物陰に隠れ高志の様子を覗き見ていた。 少し早く来てしまった高志、少し不安だった。

 

「女の子からの呼び出しだったら‥‥紗弥が怒るよなぁ‥‥」


 女子からの呼び出しであるなら、紗弥がどこかで見ていないかが心配だった。

 誤解されたら、また紗弥を不安にしてしまう。

 高志はもう二度とそんな事をしたくはなかった。


「まぁ……男からの呼び出しって事はないと思うが」


 男からの呼び出しなら、自分に恨みを持った男が、俺をボコボコにしようとしているのではないかと考える高志。

 紗弥と付き合い始めてから、たまに地味な嫌がらせをされる事があった高志。

 嫌がらせと言っても、本当に可愛いもので、下駄箱に不幸の手紙を入れられたり、わざとぶつかられたりだったので、高志はあまり気にしていなかった。

 そんな事を考えていると、あの手紙の主が高志の反対方向から現れた。


「あれ? なんだ倉島じゃないか」


「やぁ、高志」


 そう言いながらやってきたのは、友人の倉島だった。 高志は一気に緊張の糸がほどけ、安堵の表情を浮かべながら倉島に尋ねる。


「なんだよ、呼び出したのってお前か? こんな周りくどいことしなくても、普通に電話すりゃ良いのによ」


「そうなんだけどね……ちょっと大切な話しがあるんだ」


「どうした? なんかあったのか?」


「あぁ、凄く重要な事だよ……」





「由美華ぁ~」


 紗弥は飲み物を買いに行って戻ってこない、由美華を探していた。

 泉の告白の件で悩んでいた事もあり、由美華が悩んでいた事を知っている紗弥は、なんだか心配になってしまい、居ても立ってもいられず、こうして旅館内を探していた。

 夜と言うこともあり、そこまで声は出さずに、紗弥は由美華を探す。


「どこに行ったんだか……それにしても、高志からメッセージの返信来ないなぁ……」


 紗弥はスマホの画面を見て、高志からの新着メッセージが無いかを確認するが、残念ながらメッセージは無い。

 フラフラしながら旅館内を歩いていると、自販機の前のベンチで膝を抱える由美華を見つけた。


「由美華」


「………」


「どうしたの?」


 いつも元気な由美華の様子がおかしい。

 紗弥はそんな由美華の隣に座り、由美華の顔をのぞき込む。


「紗弥……」


「どうしたの?」


「私さ……泉君を傷つけちゃったよね……」


「え?」


「告白を断って……勝手に意識して……最低だよね……私」


「……何かあった?」


 紗弥は由美華に優しく尋ねる。

 

「泉君が……告白を無しにして欲しいって……」


「え? どう言うこと?」


 由美華は紗弥に泉から言われた事を話す。

 

「そっか……」


「私……泉君を傷つけちゃったよね……私の勝手な理由で……」


「恋愛なんてそんなものだと思うよ」


「だけど……なんでだろう……泉君のあの顔を思い出すと……ここら辺が苦しくなる……」


 そう言うって由美華は自分の胸を掴む。

 由美華のそんな言葉に、由美華はあることに気がつく。


「由美華……それって……」


「何?」


「本当に好きじゃ無いの? 泉君のこと……」


「え……」


 紗弥からそう言われ、由美華改めて考える。

 なぜ泉を振ったのか、そしてなぜ泉と付き合えなかったのかを……。

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