表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天下無双  作者: 滝繕
1/1

少女

「あなた達、こんなことしてただで済むと思ってる訳!」


 自分を取り囲み、剣を向ける相手に、その少女は言った。


 恐ろしく顔立ちの整った少女だ。

 日の光に煌めく金髪に、燃え盛る炎を思わせる紅蓮の瞳。気の強そうな顔立ちは妖艶さと幼さを引き立て、将来多くの男性を虜にするだろう。


 「やれやれ、状況を理解できていないようですね、お姫様?」


 そんな美貌の少女を見下ろすのは、こちらも整った顔立ちの青年だ。透き通るような銀色の髪に、優しげな青い瞳ーーしかし、その眼には侮蔑の色が映っていることに少女は気づいた。


 その青年の名はクラウス。少女の護衛騎士であり、幼少期から少女の危機を幾度と無く守ってきた信頼厚い忠臣だ。しかし、その忠臣は今、多数の全身甲冑(フルメタル)の騎士を従え、自分に剣を向けている。


「こんな事許されると思ってるの!お父様とお母様が知ったら、貴方達極刑よ!」


 少女はじだん場を踏んで猛然と抗議した。

 それは騎士の言う通り状況を理解できてるようには見えず、いささか愚かにも映る。

 青年もやれやれと溜め息。


 そんな異様な光景を俺は偶然にも見かけてしまった。


 その時初めに思ったのは、めんどくせー、だ。


 だって、そうだろ?俺は森に日向ぼっこに来た只の男だ。それなりに楽しんで一人ハイキングを満喫して、そろそろ帰るかって思ったところにこれだ。

 如何にも高貴そうな衣服を身に着けた傲慢チキが、決戦でも行くのかと言う重騎士10人に囲まれている。

 どこをどう見てもめんどくさい。助けるなんてもってのほかだ。

 そんな面倒ごとに首を突っ込むほど俺は馬鹿でも善人でもない。


 (しかし、暇だってことも事実なんだよな・・・)


 そう、俺は非常に暇だった。

 そもそも暇じゃ無ければ、平日の真昼間から一人ハイキング何て悲しい真似しない。

 だから、ちょっとした気まぐれが起きた。


 助けるぞ!と思って助けるのは嫌だが、暇つぶしだ!と思うと助けたい気分になる。


 どうしようか?どうしようか?とさんざん悩んだ挙句、俺は助けることに決めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ