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ライトノベルの男主人公が妄想癖を持っているだけの話。  作者: 風祭 風利
第一章自分の自己紹介だけでも難しいのに友達とか自分の住んでる町の事とかなんて説明するのはなんか酷だとは思わないか?
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第三節 談話と自分の存在、キャラ作成

 渡瀬が約40分(意外と時間経ってたのか)で描いた絵は、やはりというか完全にファンタジーを漂わせるものだった。まあ当然といえば当然なのだが・・・ 

 服装は俺のオーダーメイドで上はクサリカタビラに、長そでを羽織っている。カタビラだけじゃ味気ないと感じてアレンジしてくれたのだろう。 下は長めのスカーフを腰というよりは尾骶骨で結んであるようだ。最近のアニメなどで見られる「ローライズ」の感じに仕上がっている。容姿はショートヘアーで癖っ毛がある、スリーサイズ的に控えめな出で立ちを醸しだしている。 

 意外にも女盗賊とは言えない顔の感じではある。簡単に言えば、威圧系ではなく穏やか系だ。これも考えているうちに出た渡瀬なりの答えなのだろう。


「おぉ、悪くない出で立ち、さすが露実ちゃん。」

「この女盗賊らしくない部分は評価高いですよ。 今後のパーティに加わるとしては持って来いな顔ですよ。」

 同じように渡瀬の下書き絵を見ていた天木先輩と壮一が言った。当の渡瀬はちょっと照れた様子で俺たちと顔を合わせた。


「うん こんな感じでいいよ。後は露実ちゃんに任せるよ。構想はさっき話した通りだから、露実ちゃんの思う通りにワンシーンを描いてみて。」

「わ、わかりました! 納得いくようなワンシーンを描いて見せます。」

「時間はあるからゆっくりでもいいよ。 一旦スケッチブック置いて俺らと話そうぜ。」


 先輩の許可を得てそのままのペースで描こうとしていたので止めさせるのは悪いとは思ったが、リラックスも大事だと思い、俺が声をかけた。 こうやって部活以外で話す機会が多くないため親睦も兼ねて話そうと思ったのだ。


「あ、はい では失礼します。」とスケッチブックを置き、俺と壮一の間に入った。

「さて四人でこうやって話し合いするのもなかなか新鮮じゃない?」

「確かにあの部室行くと必ず別の人間が話し相手になりますもんね。」

「似た者同士の集まりだからそうなっても仕方ないだろ、うちの部活はそういう部活なんだし」

「それでも変わった人は必ずいるものですけど…」

「まあうちらはまだ常識があるっていうか 正常な方だと思わない?」

「正常かどうかは俺らが決めることじゃないですよ 先輩。他人からどう思われようが俺たちは俺たちです。」

「一歩間違えればかなり危ない集団ですけどね、私たち。」

「まあ、メンバーがメンバーなだけにそう感じちゃうのもしょうがないよな。変人ばっかだものあの部活。」

「さっきも思ったが、俺らをディスる上にブーメランだって分かって言ってんのか? お前」

「分かってるさ、俺だって誰にも言えない秘密とか他人には見せられないような事してるし、もちろんお前の知らない俺だって隠し持ってんだぜ?亮二。」

「でも、他人に見せるってかなり勇気がいる事だと思うのはここにいる先輩方ならわかってもらえますよね?」

「分かる分かる。一番自分だって分かってもらう事柄だけど、いざ知らない人に「さあこれがあたしです、見てください。」ってみせた後の相手の反応すごい怖いよね。だから少しでもよく見せようとして自爆するのよね。あ、おかわりとなにか茶菓子持ってくるね。」

 みんなひとしきり話した後先輩が台所へ離脱していった。


「でもそんな自分の、本来の人なら「恥ずかしくないの?」って思われることでも、先輩方々やあの部活の人ならぺらぺらと喋れるんです。不思議ですよね。」


 その件に関しては俺も壮一も同じ想いだ。変な話自分の趣味の事なんて両親にも話すことは少ない。最低限の事を言っているまでにすぎない。そういう話を本当に理解し、共有出来てこそ話せるし友達に発展するのだろう。人間とはそういう生き物なんだろうな。知識と思考があるから人間関係とは難しいというものだろう。


「じゃあわたしはまた絵に移させてもらいますね。自分の中での構図を描きたくてしょうがないんですよ。また何かあれば呼んでください」

「おう、そっちも頑張って」と壮一がグッとサインを出すと渡瀬はまたスケッチブックと鉛筆を持ち今度は勢い任せのように一気に描いていた。


「俺もああやって必死に打ち込めたらな~」

「離れを持っていてそこで音楽聞いたり楽器演奏したり踊ったりしてるやつが何を言うか。俺への当てつけか? 何もないんだぞ?こちとら」

「情熱的にって意味だよ。あんだけ必死になって踊ったりしてるわけじゃないし」

「それでも個室があるだけいいじゃないか 俺なんて自室のようで自室じゃないんだぞ? 防音対策がなってないんだよ俺の家」

「え? 源君の家 音が外に丸聞こえになっちゃうの?」

 先輩が牛乳のおかわりと麩菓子を持ってきて戻ってきた。


「いや 正確には家の中だけですけど、でも家族がいるときは音楽聞いたり動画見るときはイヤホンですし、そのせいで誰か来たってことがほとんど分かんないんですよ。そういうのが一番困ってるんですよ。」

「なんかのR‐18的な動画見ててイヤホンしながら自慰行為してるといきなり人がきてお互い気まずい空間になっちまうってやつだな。 分かる分かる、俺も何回かあったな~そういうの」

 なんか変な所から同情が来たがあながち間違ってないことだと思ってしまったので黙っておいた。


「あはは それは困るよね、自慰行為なんて家族でも見せたくないもんね。うちらの年代なら誰でもあるでしょそういうの」

「ですよね。でもうちのクラスにいるんですよ。そういうのを話し合うグループが、話し合うのは結構なんスがちょっとした時間でも話すのは勘弁して欲しいッスね。多分溜まってるんじゃないっスかね、ああいう話をする輩って」

 何が溜まってるんだろうなと聞くのはタブーだと思ったのでやめた。答えは分かり切ってるし。


「あぁ あたしのクラスでもそういう男子多いよ?「彼女が欲しい」って大半の男子が言ってる」

「悲しい現実ですね。」

「うちの高校って大体の人間はそのまま鋼涌大学に進学するから同学年の人間は基本的に顔見知りなのよね。」

「でも他に付属高校はあるから全員が全員顔見知りではないでしょ? 少なくともクラスの人間の3分の2は。」

「別の地域からも鋼涌大学に入学するからガッカリすることないと思うんだけどねあたしは。」

「因みに天木先輩は今彼氏欲しいとか思ってるんスか?」

「今はいらないかな。成人になってからかな 10代は遊びたいの。」

 壮一からのド直球な問いにあっさり返した。見定めてるなと感じた。


「先輩方々、出来ました。私なりに構図して描いたのでまた意見お願いします。」

 少し興奮気味に渡瀬がスケッチブックを見せてきた。描いてくれた構図はこうだ。女盗賊の体制は右に前のめりになっている。右下に放物線があることを考えるとナイフが左腰の部分に当たったのだろう。しかし大切なのは女盗賊の服の状態で、右前のめりになっているからかこの時点でクサビカタビラは右肩部分はペロンとめくれている。もちろん胸のてっぺんと言われてる部分は女の持っているナイフの刃で隠れている。これで隠れていなければR-18指定をくらう。で、左腰部分なのだが凝視して少し驚いた。なぜならその放物線、つまり投げナイフが裂いたのはスカーフの結び目部分ではなく女盗賊の下着、パンツを裂いていたのである。もちろん下着はその裂かれた部分から落ちるのだが絶妙に見えない部分で描き留めている。女盗賊の表情は頬が赤くなっている程度だったが、照れているのではなく攻撃を受けてこの表情なのだろうと推測した。


「露実ちゃんすごいよ! これだけのクオリティで描けるなんて!」

「あたしの想像以上のものが出来上がってる気がする.. これが露実ちゃんの実力なの?」

 壮一も先輩も興奮気味で絵を吟味している。それに対して渡瀬も照れ隠しが出来てないようでにやけ顔をしている。 そう考えると渡瀬があの部活に入った理由も何となくわかった気がする。


「それで評価はどうですか?」

 話を進展させるためにもここで先輩には答えてもらおうと思った。まあなんだか答えは出ているようなものの気もするが一応の確認だ。


「うん。この感じでいこう。 といってもぼんやりと考えていたものを具現化さえてもらっただけだから評価もなにもないんだけどね。でもパーティに入るって考えたら容姿が絶対に必要だったの。これでまた筆が進むわ。」

 かなりの上機嫌のようだ。


「よかったな!露実ちゃん!」

「はい!」

 壮一と渡瀬のやり取りも横目にみながら俺もひとりでにうなずいていた。


 で、その後は下書きに色をつけて(ここはみんなの意見を統合するような形をとった)あっという間に夕方(といっても5時半位だが)になった


「みんな今日はほんとにありがとね。また明日学校で会いましょ!」

 という見送りの先輩の言葉で解散した。俺たち三人は本来の家は先輩の家と逆方向だったのでみんなその方面に向かって、今回の事を喋りながら帰っていた。途中の分かれ道で壮一が別れた。「露実ちゃんをしっかり見届けろよ?」と信用されているのかしていないのか分からない別れの言葉を残して壮一は帰路に去った。残った俺と渡瀬もそう長くないところで別れようとしていた。


「じゃあ、俺こっちだから」「はいさよならです源先輩」

 そう言いあい俺は自分の家へ帰るために帰路に行こう


「あ、あの先輩。」

 としたとき渡瀬に止められた。


「ん?」

 と振り返った。すると渡瀬が赤い顔をしていた。夕日のせいだろうか?

「あ、あの・・・今日のお昼の話・・・なんですけど・・・わ、私は源先輩にそんな一面があっても嫌いになったりしませんから! だから心配しないで下さい!」

 と言って全速力で去っていった。 ・・・聞いてたんだな・・・あの話・・・ 今日はやることやって寝ようかな・・・ 少しの羞恥心とともに俺は家へと帰った。

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