表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ライトノベルの男主人公が妄想癖を持っているだけの話。  作者: 風祭 風利
第一章自分の自己紹介だけでも難しいのに友達とか自分の住んでる町の事とかなんて説明するのはなんか酷だとは思わないか?
2/29

第一節 幼馴染と先輩、後輩

 俺の名前は「みなもと 亮二りょうじ」。俺の住む「寸田市すんだし翔六町しょうろくまち」の「鋼涌こうわく大学付属 鋼涌第二高校」に通う高校二年生だ。

 

ここ寸田市は工業が少し盛んのパッと見田舎だ。この町の土地はパラパラ散らばる学校、少し大きい市役所、市民図書館、工業工場、少しの町民の生活に必要な建物以外は土地が余っている状態だ。しかし国は無理矢理土地開発をしようとしないあたり市民はありがたく思っている。

 

次は俺の通っている高校について話そう。この「鋼涌大学付属 鋼涌第二高校」は名前の通り大学の中に高校があると考えてもらいたい。それだけ鋼涌大学の土地規模が大きいのだ。第二高校と言ったが実は付属高校は3つあり、通う生徒は基本的には寸田市のどの町に住んでいるかで第一、第二、第三と分かれる。決してランク付けで決まっている訳ではないと言っておく。


因みに「基本的に」と言ったのは市外からの生徒のことを言っている。有名ではないにしろわざわざ入学する生徒がいるというだけの話だ。

 

季節は9月、二学期の始業式の為に体育館に集まり、先生の話を終え、今度の学校での生活態度の話やら帰り道に注意しなさいなどの担任の話を聞き、そのまま帰路・・・にはいかずに俺はある一室に向かっていた。その途中、


「お~い、亮二~、お前もいつもの場所に行くのか?」

と声がする方を向くと男子としては髪の長い自分とほぼ同身長の男子が廊下を走ってきた。


「おう壮一、当たり前だろ? あそこは俺の第二の居場所だからな。」

「まあ、自室以外で自分の嗜好さらけ出せるのあの部室だけだもんな。」

そう話して二人で笑った。


彼の名前は「池山いけやま 壮一そういち」俺の幼馴染だ。親の顔より見ている。

「いつものように妄想節炸裂させんのか?」

「おまえだって人の事言えないだろ? 壮一」

 

そう、俺も壮一もいわゆる「妄想癖」を持っている。 妄想とはその文化において共有されない誤った確信の事、内容が非現実であること、と定義的には書かれている(というか調べた)がそれは医学的なものであると俺は思う。なぜなら自分の好きなことを考えるのは想像でも妄想でも大差ないのではないかと考えているからだ。(これも定義的には妄想だがそんなことを言い出したらきりがないのでやめておく)

 

さてそんなことを壮一と話しているうちにある部室の前についた。ドアの窓部分には、

「心理研究会 ~自分の想いを語ってみませんか?~」

とキャッチフレーズ付きのプレートが貼ってある。目的の場所なのは言わずもがなだろう。俺はなんのためらいもなくそのドアを開けると縦長の机に9~10席ほど椅子がありその真ん中あたりの席に机を挟むように高低差のある女子が話し合っていた。


「あ、来たね男子諸君。 君たちが男子一番乗りだ。」

「先輩方々、こんにちは。」

 

ドアを開けるなりこちらの存在を確認し、彼女らなりの挨拶をしてきた。

 背の高い女子が「天木あまき 朱奈しゅうな」俺らの先輩、三年生だ。 で、対照的に背の低いほうが「渡瀬わたせ 露実ろみ」こちらは逆に俺らの後輩、一年生だ。


「いやぁ丁度良かったよちょっとした議論に他の参加者が欲しかったんだよ。」

「ほんとによかったです。 ところで源先輩、私に対して何か良くないイメージを植え付けてませんか?」


天木先輩はボーイッシュな人柄で誰これ構わず話にいくような強気な人。渡瀬はグイグイ来るような感じではないがどこかホッとするような外見をしている。しかし鋭いところは鋭いのがこの子の特徴だ。


「別に? 俺の妄想の話をしているのならそれは誤解だ。しかし傷つくようなことを感じとってしまったなら誤る。」

「いえ、そういう意味で言った訳じゃ・・・ただ気になったもので」

・・・・・・彼女の前では余計なことは妄想出来ないな・・・


「露実ちゃん、心配しなくてもうちの幼馴染の妄想力の原動力を図るのは俺でも無理だから。 ところで何が丁度やったのです? なにやら話し合ってたみたいですが・・・?」

・・・若干傷つくようなことを言われた気がするがとりあえずスルーして天木先輩に疑問の顔を俺もした。


「いやぁ実はね今私の頭の中の小説の構造の絵を描いてもらおうと露実ちゃんに頼んでみたんだけどね、その構造に難癖つけられちゃって。」

「な・・・難癖は付けてません! ただ構造を想像出来ないと言っただけです。」

「確かに想像しにくいかもしれないけどさ、出来ない訳じゃないんでしょ?」

 

どうやら天木先輩の脳内自作小説の登場人物の絵を渡瀬に描いてもらおうって話だったか、天木先輩の自作小説は我々のような妄想癖のある人間にとってはなかなかグッとくる内容が多いし渡瀬の絵の画力は美術部員ではないかと思われる出来だ。


「それでどんな構造を描いてもらおうと?」

純粋に疑問に思ったので聞いてみた。


「戦闘のシーンで主人公のパーティの仲間が大量に投げたナイフの一本が敵の女の服に当たってその女の恥部が見えそうになるっていう構造なんだが…」

流石先輩だ。男のロマンが分かってらっしゃる。


「だからそれだと服によっては起こりえないことなんですってば、だったらその主人公の剣技で服だけを切ったの方がいいと言ってるだけじゃないですか」

なるほど渡瀬は女の服をなくすという事には賛成だがやり方を合理的にしたいのね。


「分かりました。二人の意見と俺らが何を意見すればいいのかが」

「お、流石だね、ここの部活に入っただけはあるね。」

「先輩にも負けず劣らずの妄想力ですから」

天木先輩の誉め言葉に恐縮の意を込める。


さて、補足をしなければいけない所が出てきたな。この心理研究会は確かに人の考えについて追及する部活なのは間違っていない。ただしこの部活のコンセプトとしては「自分以外の考え方も共有できるようにしよう」という他人の意見も考えつつ自分の意見を主張できるように話し合いをしていくことが大事というところの考え方を別の考え方に元図いて発展している部活なのである。つまりこの部活は自分の性癖を晒してもある程度は受け入れて貰える部活なのだ。こういった下ネタに走る話でもここでは日常茶飯事なのだ。


「なら聞こうかな? 男子としてはどういった意見なのか?」

「要はラッキースケベを狙ってるんスよね? ならやっぱり露実ちゃんのような感じのほうがいい気がしますね俺は 先輩の考えではラッキースケベ感は凄まじいですがかなりギャンブル要素があって合理的ではないのは俺も思います。」


先輩の問いに真っ先に壮一が意見した。 こいつの意見は渡瀬よりだ。というか渡瀬がこの部活に入ってから遠回しなアタックしてんだよな壮一、好感度はさておいてもそれはお前の意見じゃなくなってないか? お前の妄想癖はもうちょいゲスかったような・・・


そんなことを考えていると天木先輩が「助けてくれ」と涙目で俺に訴えかけてきた。はいはいうまくまとめて欲しいんスね


「確かに合理さを求めるならそれでいいんだろうけど別にフィクションの話だから非合理的でもいいじゃないか だってあくまで先輩は渡瀬に「そういう絵を描いてほしい」って言ってるだけなんだから 想像が出来ないなら一緒に考えるよ。」

とりあえず反れていた議題を戻すことをした。


「・・・確かに源先輩のいう通りです。 絵を描いてほしいと言われただけなのにさも自分の考えと対立しているように意見してしまいました。天木先輩すみませんでした。」

「いやいいよ。 あたしも露実ちゃんに難しい議題を与えてしまった。 あたしこそすまなかった。」

 さて対立意見の方は解決したとして、


「因みに先輩のイメージではどんな感じに女の服がなくなって其の後の構図はどうですか?」

天木先輩に疑問を投げた。

「いや、それは言った通り主人公のパーティの一人のナイフが当たって・・・・」

「いえ、そういうことではなくて、その女の服装とかどこから飛んできたナイフだったとかその後の女の反応とかの話です。」

話しなおそうとした先輩にちょっと強い口調で詰め寄った。


「そうか・・・その辺は考えてなかったな。どうりで露実ちゃんが描けないと嘆くわけだ!」

「分かっていただけて何よりです。」


「先輩でもお構いなしだな。あいつは相変わらず。」

「でもそこが源先輩の良い所なんですよね。」

「そうなんだよなぁ」

後ろで何か二人がぶつくさ言っていたが気に障ることではなかったので無視。


「君たち時間はあるか? 私のうちに場所を変える、きてくれるか?」

「天木先輩の家ッスか!? 行きます行きます!! うっひょっっ!! テンション上がってきた!!」

「い・・・いいんですか? ご訪問しちゃって?」

「構わないよ。あたし自身うちの方が頭が冴えるんだ。」

と、俺の方にウインクをした 意見を述べる場としては最適だと思うからついていくことにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ