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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

雪の雫

作者: 春風 月葉

 雪のように白い肌、大きな瞳の可愛らしい顔。

 その小さな口からは、潰した苺の身にも見える赤い液体が流れていた。

 もとより白い人形のような顔は、だんだんと青くなっていた。

 身体も小刻みに震えている。

 せっかくの白い花も上手く握れず、パサリと地に落ちてしまった。

 とても冬らしい、季節特有のこの寒さのせいだろうか?

 そういえば今日は、空からは冷たい雪が降ってきている。

 それはまるで花弁のようで美しいかったが、今の私には目の前にいる天使に魅入っていた。

 非の打ち所がない整った顔は、少しずつ歪んでいった。

 どうしたのだろうか?

 先程から腹部を押さえているようだし、腹痛だろうか。

 あぁ、忘れていた。

 私は彼女を刺し殺したのだった。

 赤く染まった彼女のシャツと生温かさを訴える自分の手を見て思い出した。

 あまりに彼女が美しいから、そんな事実さえも忘れていた。

 あぁ、なんてことをしてしまったのだろう…まぁいいか、これで彼女はあの男の下にいくことがなくなったのだから。

 これで彼女は永遠になった。

 この美しい天使は私の所有物として私の中に残り続けるのだ。

 あとは私が彼女の永遠となれば、私達は永遠に汚されることがなくなる。

 私は歓喜し、自身の首を刎ねあげた。

 ごろり…と落ちた私の首は、彼女への最後の贈り物であったスノウドロップの花を見ながら地へ落ち、笑いながら目を閉じた。

 赤を取り込んだ雪の上で、スノウドロップの白は異常なほどに映えていた。

スノウドロップの花言葉は、あなたの死を望みます。


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