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霧の思い出〜Revival  作者: 秋本そら
後日談——咲希の日記より
24/24

3月2日の日記

 3月2日


 いまだに、昨日のことが

 うそみたいに 感じる。

 あんなに 不思議なことって、なかなかないと

 思うな。

 それはさておき。


 今日は、あっこ先ぱいが、おみまいに来て

 くださった。

 あっこ先ぱいは、ほんとにすごいと思う。

 みんな、そう言うと 思うな。

 だって、目は見えないけど 魔法が

 つかえるんだよ?

 私も魔法が、つかえたらいいのに。


 前置きは ここまでにして。

 おみまいに 来てくださった時、

 あっこ先ぱいは、

 私にあるものを 渡してくださった。

 それは、はるか先ぱいからの おみやげだった。

 はるか先ぱいね、渡したがってたけど、

 なかなかつごうがあわないらしくって、

 あずかったんだ、と

 あっこ先ぱいは 言った。

 はるか先ぱいからのおみやげは、きれいな

 交通安全のおまもりだった。

 あっこ先ぱいにお礼を言いつつも、

 目はおまもりに引きつけられていたな。

 私は、きれい、って、思わずつぶやいてた。

 そして、おまもりを手にとった。

 その時ね、見えない波が、

 おしよせて ひいていく

 ような、そんな感じがしたんだ。


 どう、思い出した?

 あっこ先ぱいに、そう聞かれて、

 波の正体に気づいた。

 あの波はね、私のまだ失ったままだった、

 私の2月28日の記憶だった。

 2月28日。つまり、事故にあった翌日の記憶。

 ずっと、私はねむってたんだと思ってた。

 実際、ねむってたんだろうね。

 だけど、たましいはちがった。

 たましいは、吹奏楽部に行っていたんだ。

 記憶をなくしてしまった 私のたましいを、

 れいかんのある 人たちが

 助けてくださったんだ。

 何も分からなかったけど、大変だったけど……

 ……たのしかったな。

 あっこ先ぱいはそのうち、またねって言って、

 帰られた。


 やっぱり、私は吹部のみなさんに、お礼を言い

 たい。


 ありがとうございます。

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