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霧の思い出〜Revival  作者: 秋本そら
1日目——記憶をなくした少女
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2/24

1章 事の始まり

「霧の思い出〜Requiem」の派生版です。

ストーリーは本編とは少し異なります。

(私は、どこにいるんだろう)


 目の前に広がる風景は、全く見覚えのないものだった。


 そこは少し広い教室のような場所。黒くて大きなものが置いてある。

 そこには何人かの人がいた。でも何だか……引きつった雰囲気だ。みんな笑顔だけど、何かあると崩れてしまいそうな、そんな雰囲気。

 だからだろうか。部屋にある人々は、私が部屋に入って来たことに気づかない。

(あれ……)

 そこにいる人はみんな、私の知らない人ばかりだった。私はなぜここにいるのかも、分からなかった。


「湧真おはよう!楓ちゃんもおはよう!それから……」


 急に今やって来た女の人が、すでに来ていた男の人と女の人に話しかけた。

 そして、急に話すのをやめた。

 話しかけられた男の人の表情は、その声を聞いた途端に凍りつき、女の人の方は、悲しげな顔になっていたのだ。話しかけた女の人はハッとした表情をして、

「そうだ、そうだったね……」

 そう呟いた。

 何かあったのだろうか。

「あの……何か、あったのですか?」

 勇気を出してそう問いかけたが、全く気づかれない。何度話しかけても、結果は同じだった。

(なんで……)


「おはよう、凛」

「あ、湧真だ。おはよう。……えっ⁉︎」

 今やって来た男の人は私を見て、驚いたように大声を出した。おかげで私の方までびっくりしてしまった。

(……そんなに大声出すこと、ないでしょ?)

「どしたの?」

「いや……なんでもない」

 そう言ったその男の人は、私の方を見て、

「こっちに来て」

 小さな声で言い、私のことを手招きした。


 部屋の外に私を連れ出すと、その人は急に早口になって言った。

「さ……さきちゃん、だよね?」

「えっ⁉︎」


 ……さきって、誰?

 ……と言うか、この人は誰なの?

 こういう時は、私から名乗るべき?

 ……あれ?

 私の名前……なんだっけ?


「どうして、ここに?」

 そう問いかけられ、ようやく出た言葉は、

「……あなたは、一体……誰なんですか」

 それだけだった。

「えっ⁉︎」

 今度は男の人が驚いたようだ。この人はさっきから驚きすぎだ。

 少し考えて、男の人は話し出した。

「ごめんね、急に。びっくりしたよね」

(いや、あんなに叫ばれたらびっくりするしかないでしょ、普通……)

「僕は、髙橋凛。君の一個上の学年だから、高校二年生だよ」

(——ということは、私は高校一年生?)

「吹奏楽部の部長なんだ。ファゴットを吹いているよ。君も、吹奏楽部員だったよ。バリトンサックスを吹いていたんだ」

「すいそうがく、ぶ……」

 その言葉が、私の口をついて出た。

「君の名前は……」

 ……キイッ。

「凛、何時だと思ってんの?ミーティング!全く、1()()()何してんの?」

「あー、ごめん千尋。今行く!」

 女の人(多分、千尋さんと言うのだろう)に呼ばれ、髙橋さんは部屋に入ろうとした。

「さきちゃん、おいで。ミーティングだよ」


 見ず知らずの人が私のことを『さき』と呼び、ミーティングに出るように促している。

 普通なら、怪しむべきことなのかもしれない。

 でも、その声はとても優しくて、聞いたことがない声なのに、聞き覚えのある、なぜか懐かしい声のような気さえしていた。

 だからだろうか。

 私は、髙橋さんと一緒に部屋に入った。

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