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アオスジアゲハ
ふるさとの街の真ん中の神社
御神木は大きなクスノキで
春になると落ち葉の上を
いっしょに歩いたんだよね
落ち葉の香りと 若葉の木漏れ日が
とてもなつかしいよ
過ぎていった日々のモノクローム
そこだけが色づいている
私は飛び立ったつもり 大空の彼方へと
でも気持ちはあのクスノキの
そばにいるんだ
あなたはきょうも同じ服を来て
木漏れ日を見上げながら
あの道を歩いているのでしょうか
ふるさとの街の思い出の神社
御神木のクスノキのそばでは
夏になるとアオスジアゲハが
よく飛んでいたんだよね
深緑の香り 蝉しぐれの参道
いつも歩いたよね
景色は透明な氷の中で
鮮やかに色づいている
アオスジアゲハが舞い上がる 太陽に向かって
でもいつか帰ってくるよ きっと約束だよ
わたしはきょうも同じ顔をして
灰色の都会の空の下
あの道のこと 思い出しています
アオスジアゲハは舞い降りる 枝から枝へと
思い出の大クスノキは 命の依代
わたしはきょうも同じ顔をして
灰色の空を見上げながら
あなたのこと 思い出しています