萌咲と陽華②
泣いてしまった。ついに、陽華ちゃんの前で。
「はぁ……ぅっ……はっ」
息を吸うのが辛い。苦しい。
どこかの教室に入ったのは分かった。
「すぅ……はぁ……ひゅー……」
過呼吸を起こしてしまった。しょーくん…
……突然後ろから抱きしめられた。
「七瀬ちゃん……?」
手で目を隠され、キスをされる。
「……七瀬ちゃん……?!」
「七瀬じゃない」
手を離され後ろを向くとしょーくんがいた。
「しょーくん……!?」
格好を見てみるとジャージに着替えていた。
「しょーくんここ学こ……んんっ」
何言おうとしてもキスで塞がれてしまう。
しょーくん……まだノノカちゃんのこと……
「萌咲、俺はさ確かに希夏のことまだ完全に吹っ切れてないよ。でも、萌咲を好きなのは事実だよ」
優しく笑ってくれた。
「……しょー……く……」
嬉しさに涙が出てくる。
「ごめんな、不安にさせて。」
「んーん……萌咲が弱いだけ……」
ふんわりと抱きしめてくれた。
ガラガラ……
教室の扉が開いた。
「あの……萌咲ちゃん……」
入ってきたのは陽華ちゃんだった。
「……え、お、小篠さん……?」
陽華ちゃんはビックリしてそのまましょーくんに飛び付いた。
「小篠さん……会いたかったんです。会えて、嬉しいです。」
しょーくんは慌てて離そうとしていた、
「ちょ、陽華ちゃん」
萌咲が止めに入ろうとすると、手をはじかれた。
「邪魔しないでください。今は、あたしのなの……」
陽華ちゃんの腕に力が入るのがわかった。
「小篠さん……セフレにしてください……彼女がダメなら……」
その言葉を聞いて、しょーくんは陽華ちゃんを引き離した。
「……俺セフレとか作らないから。それにセフレとか希夏で嫌な思いしたから次言ったら俺に関わらないで。」
しょーくんの目つきは怖かった。
陽華ちゃんは涙目になって教室から出ていった。
……セフレ、ね。




