Wデート②
理人とこんなとこ乗るつもりなかった。
「……なんで、理人なんかと。」
「陽華は僕のこと嫌いなの?」
「理人はモテるしあたし何かといるとあたしがいじめられる。それが嫌なの」
「……そっか。」
遊園地でこんなことしてるのバレたら……またいじめられる。それはもうイヤ。
「陽華はさ、自分が傷付けられるのが嫌なだけだよね。」
「え……?」
「だってそうでしょ?僕といるからいじめられる、それって僕のせいで巻き込まれたくないってことだよね?」
「……」
「僕はさ、陽華が好きだから話しかけるんじゃん。近くに行くんじゃん。」
「……え?」
「幼なじみ、って言う形でいつも傍に居たけれど。」
「……」
「陽華、僕とつき合ってよ。」
「……」
「陽華?」
「あ、たしは小篠さんが好きなの。だから……」
あたしは腕を捕まれ、キスされた。
「んん……い……や……」
「そんなに僕が嫌い?」
「……だって、理人は幼なじみだし……」
「……そうだよね。頑張って。僕はもう、関わらないよ。そうすれば陽華もいじめられないもんね。」
気がつけば1周したらしくドアが開いていた。
理人が手を取り下ろしてくれた。
「……小篠さん達あそこにいるから送ってってもらいなよ。」
「……うん。」
理人はMOEちゃんに声をかけ、出口へ歩いていった。
「柘植さん?」
小篠さんが声をかけてくれた。
「ごめんね、どうしても観覧車だけは好きな人と乗りたくて。」
”好きな人”と聞くと、改めて実感される。
「……今日はあたしとのデートじゃないですか、」
「彼、久遠くん萌咲に相談してたんだって。告白したいから観覧車の時2人になってもいいですか。って。」
「……え?」
「あの様子だと上手く行かなかったんだね。」
「あたしが好きなのは……っ。小篠さん、だし……」
「ありがとう。でも、ごめんね?」
「……あたしをセフレにしてくれませんか」
「……は?」
「ダメですか……」
「……………それを本気で考えてるなら、もう俺に関わってこないで。」
急に小篠さんの目つきが変わり声も低くなった。
「小篠さん……?」
あたし、なにか悪いこと言っちゃった?




