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不変  作者: 遊己
1/1

変わらないということ

どんなに頑張ったって無理な事ってあるでしょう?

私はそれを知っている。

だから無理なことは絶対にしない。

したって無駄だから。

しんどいのは嫌いだし、人生どうせ生きるのであれば、楽していきたいじゃない。

きっと大丈夫。

きっと上手く生きていける。

そう、思っていた。

まさかね、私が恋なんてするとは思わなかったから。

愛しいなと思ったの。

初めて見たときから。

一瞬時が止まったの。

私の周りだけね。

彼が笑えば私も嬉しい。

彼が泣けば私も悲しい。

自分の気持ちが他人に左右されるなんて思ってもみなかった。

彼は私に絶対と言う言葉がなんてものが無いということを教えてくれた。

「絶対」も「必ず」も心意気の問題なだけで、現実には存在しない。

あるのは不安定な「現実」という名の「気持ち」だけ。

いつも不安定に揺れ動く気持ちを持つからヒトは人なんだ。

そう教えてくれたのは彼。

私は彼が愛しい。

でも、その気持ちも不変のものではない。

そう諭された。

そして彼は続けて私に言った。

「俺は不変が欲しい」と。

勝手な人。

人には不変なんてものはないと言いながら、それでも不変を欲しがるなんて。

人には存在しないと分かっている不変を人に求めるのであれば、彼は人ではなくヒトを求めているんだろう。

でのヒトではいやなのだとも言った。

あくまでも人が欲しいのだと。

人のありえるはずのない不変があることを証明し、それが欲しいのだと言う。

私は彼に不変を与えたいと思った。

私の人生、それだけに費やしても構わない。

彼の望む物を与えたい。

彼に笑っていてもらいたい。

何を投げ出しても構わない。

不変を、探しに行こう。


何が不変なのかなんて分からない。

だって今までは自分の気持ちが不変なのだと思ってきたのだから。

それを打ち砕かれた以上、何が不変なのかなんて検討もつかない。

考えた事すらなかったのだから。

とりあえず、周りを良く見るようにした。

人の話をよく聞くようにした。

何年たっても見つけると決めたのだから、あせらず、慎重に。

いろんな人に聞いた


「不変なものってなんですか?」


『結婚』

『恋愛』

『時間』

『愛』

そんな答えが飛び交う中、なぜかその一言が私の脳裏に引っかかった。


『死』


いろんな言葉がある中で、その一言だけ、引っかかった。

そう。それこそが不変なのではないか?

彼の言う不変とは『死』の事なのではないか?

人の不変を探したい。

でも、不変があってしまっては、それは人ではなくヒトになってしまう。

ヒトとは人でなくなってしまったもの。

死んだ人を人とはみなさないのだとすれば。

何もかもの辻褄が合う。

けれど・・・

いくら辻褄が合うからといって、私は彼に不変を与える事は出来ない。

死んでしまえば、人として見られなくなってしまう。

生きながらにしての「死」

そんな物がこの世に存在するのだろうか・・・?


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