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第3章 Tha first summer vacation!!! 【肝試し編】②

 第二話 七不思議とは?


 とりあえず新館一階の購買部に来た三神と井下、この購買部には三神達以外もちろんいない購買部も広さは畳三畳分しかなく机が二つ程置いてあるだけである……。

 三神はなんとなく周りを見渡している。井下は、購買部に置いてある文具や食品などの下などをひっくり返したりして探している。だがまだ見つからないらしい……。それを見た三神は『そのうち見つかるだろ~』と思い机の下などで探してるフリをし始めた。が三神が机の下でゲーム機の電源を付けた途端、目の前に紐でぶら下がっている見覚えのある長方形の箱と懐中電灯があった。

「どうしたんですか? 変態さん……ってあれ? これ、さきちゃん(南野)が持っていたはずじゃ……。なんでこんな所にぶら下がってるんでしょう?」

「さぁ? あいつらの事だから忘れるはずないし、もし、忘れたとしてもすぐに取りに戻ってくるはず……」

 ってなんで僕は気ずかなかったんだ⁉ そう。忘れるなんて、絶対ありえない。あの五人、こーゆーことに関して忘れ物をするなどありえない。今まで、学校行事で忘れ物をした事が一回もないのだから100%ない。それに……紐でぶら下がっていた事が……。

「じゃあ……なんで、こんな所に……。」

「…………。」

「変態さん?」

 もしかして……また、アレなのか? いや、でもこの薄暗い中、懐中電灯なしで、札をなど無理だし……でも、たしか……

「変態さん‼」

「うわぁ⁉ 何、何⁉ 耳元でさけばないでよ‼」

「話しかけても返事してくれないのがいけないんです‼」

「へ? あ、ごめん……。って、そーだ!! ねぇ、井下!! 瀬戸って確かリュック持ってたよね⁉」

「え? あ、はい。持ってましたけど……それがどうかしたんですか?」

「いや。なんでもない。ありがとう。」

「?」

 やっぱり……。じゃあ、いつものやつだな……。確実に。瀬戸の事だ。どーせ、僕と井下を二人きりにしてどんな反応するかな~? とか、考えてんだろーな。あいつ……ころしてやろうか?

「変態さん。とにかく先に進みましょうよ‼」

「え? あ、うん。そーだね……って、まだ札見つけてないじゃん。」

「それなら平気です。先にひなちゃん達(瀬戸達)が見つけてたみたいで、二枚入ってますよ‼」

「あ……あっそう……。」

「早く、追いつきましょう!!」

「うん……。」

 おかしい……。瀬戸達にしては優しすぎる。一枚ならともかく、二枚なんて……。まさか、いつものやつじゃないのか? いや……でも、忘れたはないと思うし……。幽霊が出て、あわてて逃げたとかは、ないかぁ~(笑)第一、佐次や水木がいる。100%逃げないと思う。……考えてもキリがない。先に進もう。前を歩く井下を駆け足で追いかける。……佐次に見られたら確実に殺されるな……。とか、考えていた三神は周りを見ていなかったため前で急に止まった井下にぶつかってしまった。

「いったぁ……もう‼ いきなり止まんなよ‼」

「…………。」

「おーい。聞いてんのか? 井下ー?」

「変態さん……見ましたか?」

「え? 何を? ……はっ⁉ もしかして……い、井下の下着なんてみ、見てないよ⁈」

「……そういうことじゃないです‼ 変態さんは馬鹿ですか? 死にますか? 殺しちゃいますよ?」

「……ごめんなさい…。」

 三神は、井下が予想外の言葉を吐いたので突っ込む事や反論することが出来なかった。

「それより……い、今……白い服を着た女の人が……スーーーっと通って……いったんですけど……。」

「……はぁ?」

 僕はあたりを見渡したが誰もいなかった。現在位置は本館二階。3ーFの前だ。

 たしか、七不思議であった様な気がするな……。えーっと……確か……

志羽浦高等学校しばうらこうとうがっこうの七不思議図鑑!』ってタイトルだったかな? 内容が……


「その1、本館二階の図書館。

……夜七時を過ぎると白い服を着た女の人が歩き回り無くなった本を探している。

 その2、本館三階の科学実験室。

……夜になると、人体模型が動き出しフラスコが宙に浮いたりするという未確認の噂。

 その3、本館四階の美術室。

……学校の電気が落ちると日の出まで、スケッチブックが飛び、作品が動いたり笑いだしたりする。

 その4、部室棟二階の空き教室。

……元演劇部部室のこの部屋。今は、文化祭用の道具があるが、時々衣装に命が宿り踊りだしてしまう。

 その5、本館五階の音楽室。

……夜七時を過ぎるとベートベンなどの肖像画が額から出てピアノなどを弾いたりする。

 その6、中庭の銅像。

……なんでも、歴代校長の像が夜中、話し合ったりするらしい。日によって銅像の向きが変わっている。という噂。

 その7、焼却炉。

……よなよな焼却炉の中から女性の叫び声が聞こえる。


……だったかな?まぁ、それはともかく本当にこんな事あるわけな……」


   スーーーーーー


……い、いたぁーーー⁉ え? 何? 今の何⁉ 本当に⁉ いや、幻だ‼ 絶対にそうだ‼ いるわけねぇよ‼ 100%幻だ……。

「い、今の見ましたか⁉ いましたよ! さっきの人、いましたよっ⁉」

「……井下。……お願いだから現実逃避させてくれよ!」

「へ? あ、ごめんなさい……。で、でもさっきあの人が行った方向におふだありますよ?」

「え? なんで、そんな事わかるの?」

「だ、だって図書館の所に印が……」

「……マジで?」

 井下が持っている地図を見ると図書館の所に赤い丸印が書いてあった。

……さっき、こんな丸印なんて無かったんだけど……。まさか……あの幽霊が付けたとか? あはは……そんな事無いよな。きっと見間違いだ、たぶん前から付いてたんだよっ! うん。きっとそうだ‼

「変態s……じゃなくて三神君‼ えっととりあえず、これからどうしますか?」

「あ、あーうん。どーしようか……って、やっと名前をちゃんと呼んでくれたね‼」

「へ? あ、き、今日だけ‼ 今日だけですよ‼ お礼というかその……なんてゆうか……。」

「お礼?」

「だ、だって……さっきからしがみついているのに、怒らないでいてくれているから……。」

「へ? って、あれ⁉ い、いつのまに……」

 全っ然気づかなかった…。……たしかに、今思えば、さっきからずっと左腕がが重かった様な……。で、僕にこの状況をどーしろと言うんだ? 恋愛ゲームとかでよくあるパターンじゃないのか? この状況……。しかも、涙目だし⁉ どーすりゃいーんだよ⁉ ……今更だけど井下ってこんなに可愛かったか? 別人みたいだよ? ……よし、早いとこ瀬戸達を見つけよう。 理性もたねぇよ、こんなんじゃ……。

「あ、あの……嫌…でしたか?」

 うっ……めっちゃ泣きそう……。頼むから、その目で見ないでくれよ……。

「あ、い、いや‼ 全っ然気にしてないから、大丈夫‼」

「ほ、本当……ですか……? じ、じゃあ……ひなちゃん達が見つかるまで……このままでいいですか?」

……マジかー⁉ え、ガチで⁉ ど、どーしよう……。断れねぇぞ⁉ この状況……。しかもさっきより、泣きそうだし。えー……どーすりゃいいんだよ……。

「だ……ダメ……ですか……?」

「うっ……じゃ、じゃあ……瀬戸達が見つかるまでだぞ?」

「は、はい!」

井下は、涙目で僕の左腕から顔を上げて微笑んでくれた……

「よし‼ じゃあ、行こっか‼︎ 懐中電灯貸して?」

「あ、はい。」

 井下に懐中電灯を貰って歩き始める。……図書館にあいつらはいないだろう。今は七時四十分。あいつらが来ていたとすれば、二十分前になるだろう。ってか図書館に入らないと思う……。瀬戸が怖がりだから。まぁ、南野と住谷もだけど。多分二階はスルーするはずだ。七不思議の本を貸してくれたの瀬戸だし……。

「あ……着きました……」

「へ? あ、本当だ……。」

 考え事してたら、早く着いた……。入りたくないなぁ〜。

「み……三神君……。帰りませんか?」

「そーしたいのは、やまやまなんだけど、それやったら『リタイア』って判定出されて、後であいつらに殺されかねないから……。」

「そ、そーですよ……ね……。」

「ふぅ……よし‼ 入ろう‼ で、さっさと見つけて出よう‼」

「そ、そーですね‼」

ガラララッ

図書館の中は以外と明るかった。きっと窓から差し込む光のおかげだろう。札は何処かなぁ〜まさか、机の上にそのまま置いてあるとか? ははは……どれはないかぁ~さすがにね。

「あ、あそこにありますよ!」

井下の指をさしたほうを見上げると。そこには、お札があった。

「ん? ちょっとまって……。」

三神は、少し疑問に思った。それは、お札の置いてある…いや、貼ってあるお札の位置が微妙に高い位置にあるのだ。

「えーと……。どうする? 取る?」

「もちろんです! さっさと取っちゃってください!」

 三神は、お札を取るために椅子の上に上がり、手をお札まで伸ばす。

ほぼそれと同時だった。井下がふと周りに目をやると図書館の奥の方にある、〝あるもの〟に気が付く。それは……。

「あの……あそこにもお札があるのですが……。」

……なぜそこにも置いた⁉ 隠すきねぇだろ⁉ どー考えてもバカだろ⁉ なんで⁉ 先生……隠さなきゃ意味ないですよ~……。

 三神は、ちゃっちゃっと壁に貼ってあったお札を取り、井下が見つけたお札の近くに向かおうと思った時だった。

「……ねぇ……三神くん? あそこ……誰かいませんか……?

「え? どこに……って……あ……あれってもしかして……。」

「たぶん……もしかしなくても……|《さっきの人⁇》」

 白い服に透明な肌。間違いなく、さっきの人だ。

「ど……どーしましょう。わ、私、怖くて近づけないです……。」

 それは僕も同じだ。怖い。でも、行くしかない……なんてかっこつけてみたけど……怖いものは怖い。佐次や水木なら取りに行けるだろう。でも僕は……。

ふと、井下の方を見ると…………めっちゃ『お願い! 行って』って顔している‼マジか……。でも……怖いし……。よしっ‼ ここで覚悟を決めなければ男じゃないしなっ! 山田の反省文を思い出しながら行こう‼

「……じゃあ、井下。ここで待ってて?」

「……え……ひ、一人で……ですか⁈」

「懐中電灯あげるから。なんかあったら、ダッシュで新館まで行って?あそこなら隠れられる所、いっぱいあるから。」

「で……でも……。」

 ごめん井下。僕には、こういう事しか出来ないんだ。だからお願い……僕の言う事をしっかりと守ってほしい。

「大丈夫。あまりにも、出てくるのが遅かったら先生達が探しに来ると思うし、瀬戸達だって探しに来るよ。」

「……わかり……ました……。き……気をつけて下さい……ね……?」

 ありがとう井下……。

「うん……じゃ、また後で‼」

 多分、追いかけられる……。これが、いつものやつじゃなきゃかなり危ない。でも……やってやる‼ あいつらがいない時くらい、かっこつけさせろ‼

 う、うわぁ……近い。今、2メートルくらいしか離れてない……。よし。ダッシュで取ってダッシュで逃げよう。…………他の方向に向いた! 今だっ‼ 《ダッ

「ふだGet‼」

 あ、しまった‼ 思わず叫んじゃった……。よし。振り向かずに、出口へGO‼……井下の顔が硬直してる……。後ろにいるな、これは……。

「井下‼ 走れ‼」

「…………。グスッ」

……だめだなこれは……。しかたない……。

「行くぞ‼」

「へ? え? あ、ちょ⁉」

 おもいっきり井下の手を引っ張ってそのまま新刊に向かって走った。後ろを見るとめっちゃ怖い顔をしたさっきの人が追っかけてきていた……。

「うわぁ――⁉ あ、あの‼ ごめんなさい‼ 謝りますから付いてこないで下さい‼」

 井下……幽霊に謝ってどうするんだよ……。でも、けっこう差が着いたな。これなら……。

「井下‼ こっち‼」

「へ? あ、うわぁ⁉」

 食堂の奥にある少しだけ大きな棚の一番下の所に潜り込んだ。多分、まだいるはずだから。井下は混乱している……。まぁ、無理もないか。幽霊に追いかけられたうえ、こんな所に半強制的に入れられたらなぁ……。


   ギィイイイイイイ…………。


 食堂のドアが開く音がした。やっぱり、来たか……。悲鳴を上げそうになった井下の口を慌てて塞ぐ。……後で殺されるかもな……。

「……どこいったぁ?私の寝る邪魔をした奴はどこいったぁ?」

「ひゃ……」

 うわぁ……よくあるシチュエーションだな……。……で、井下が無口で泣き始めたんだが、どうすればいいかな?……とりあえず、頭をナデナデしてみた。少しは、落ち着いたかな?


   ギィイイイイイイ…………パタン。


 しばらくして、扉が閉まる音がした。ゆっくり覗いてみると……誰もいなかった。とりあえずひと安心だ。

「井下。もう、行ったみたいだよ?」

 僕は、先に棚の外に出てもう一度確認した。よし、大丈夫だ。

「…………。」

「……井下? 大丈夫?」

「……………………。」

「え? い、井下? どうかしたの?」

 もしかして……幽霊と入れ替わったのか⁉ それなら逃げなきゃやばいぞ……。ど、どっちだろう……。

「……こ……こ……怖かったよ――――――‼ うわぁ――ん‼」

「え? あ、ちょっ……落ち着いて‼ ほら、もう大丈夫だから‼ ね?」

 井下に大泣きしながらおもいっきり抱きつかれた。……女子に抱きつかれたことないから照れるな~。……って、そんなこと考えてる場合じゃねぇ‼これでさっきの人が戻ってきたらどうしよう……。

「うっひっく……うぅ……」

「あーもう。いい加減に泣き止んでよ? ね?」

「うぅ……はい……。」

 うわぁ……目が赤くなってる……。本当に怖かったんだな~なんか……か、かわいい。

「じ、じゃあ……先に進みます……か?」

「あ、その前に……ケースにお札を入れて……っと、よし‼ じゃあ、行こっか。」

「あ、あの‼」

「ん? 何?」

「えっと……その……手……繋いでもらっても……いいですか……?」

「……はい?」


 え、今、井下なんて言った? 聞かなかったフリ……はダメだ。ってか、断ることが無理だな……だって……また、泣き出しそうだし……。はぁ~……しかたないな……

「はいはい。わかったよ……。瀬戸達見つけるまでだよ?」

「は……はい‼」

……やばい……。井下めっちゃかわいいんだけど……。って……さっきからキャラ崩壊ししまくってないか?だって、井下とかめっちゃ可愛くなってるし、『無口』ってキャラじゃなくなってきてるし…………僕は……何か、変化あったか? まぁいいや。とりあえず、前向こう……って、またいるよ……さっきの人……。……三階に上がるか。とりあえず二階はスルーして三階へ。

「三神くん……お札って……何処にあるんでしょう?」

「ん~……。先生達の事だから普通の教室には、隠さないと思う。」

「そうですね……。地図見ませんか?」

「あ、そうだね! えっと、三階は……準備室と、理科室があるのか……。って……あれ?」

「どうしたんですか?」

「……ねぇ、さっき地図見た時って、赤いしるし……図書館だけだったよね?」

「はい……。そーですけど……。」

「……理科室、美術室、音楽室にも……同じのがあるんだけど……」

「……え……。」

……嘘だろ……。まさか、本っ当に七不思議は実在すんのか? たしかに、さっきそれっぽいものはいたけどさ……。……行ったらまた出てくんのかな……? うぅ……どうしよう……。


   コッコッコッコッ…………


「⁉ い、今……てゆーか何か聞こえませんか⁉」

「……井下……走るぞ‼」

「え? あ、ちょっ……。」

 とりあえず、反対側へ……後ろ……いないよな? ゆっくり後ろを振り向くと…………い……いた――――⁉ やっべぇ、いるよ! さっきの人いるよ⁉ 部室棟に……だめだ。あそこは行きたくない。あ‼ 理科室開いてる‼……入るか……。でも……あー……どうしよう……。

「み……三神くん‼ あそこに入りますよ‼」

「え? い、井下 ‼あそこはやばいって‼ ……って、うわぁ⁉」

 井下におもいっきり手を引かれて入ったのは……理科室だった。


===>


 理科室に入ってから、十分程たった。今の時刻は八時四十九分。あいつらが逸れてから一時間半が経とうとしていた。ドアは開かないように鍵を閉めておいたら、あの幽霊は何処かに行ってしまったみたいだ。今はお札探しの真っ最中。何処にもないんだけど……。

「あ‼ あった‼ 三神くん‼ ありましたよ‼」

「え‼ 本当⁉」

「はい♪」

「よし。じゃあ、ケースにしまって……。次行こう次‼」

 井下の手を引き、理科室を出ようとしたその時……


   カタッ……カタカタカタカタッ…………


「⁉ な、何⁉ 今の音⁉」

「たしか……あの棚から聞こえた気が……。」

「い、井下‼ 危ないよ‼」

 音の鳴る方へ行く井下。やばい。絶対やばい。あの棚には多分、フラスコが……


   ガララララララッ


「へ? な、なんで……って、うわぁ⁉」

 井下が机の前まで行くと、いきなり棚が開き、フラスコや、ビーカーが急に飛んできた。あわてて、机の下に隠れたはいいけど……どうしようか?……ん? 今……棚の間から足が見えたような……気のせいか。

「い……今……棚の間から足が見えませんでしたか?」

……また、現実逃避させてもらえなかった……。でも……あの靴……どっかで……。


   ガララララ…………


「み……三神くん……あ……あれ……。」

「うっわぁ……最悪だ……。」

 入ってきたのは……さっきの奴だ。フラスコやビーカーが飛んでこなくなった……。宙に浮かんでるけど……。すると、どこからか声が聞こえてきた。

『出て行けぇ~いますぐでていけぇ~』

「…………。」⁇


   ガララララ


「い……いなくなった……?」

「……よし‼ 逃げるぞ‼」

「はい‼」

 井下とダッシュで教室の外に出ようとしたら……誰かに腕をおもいっきりつかまれた……。

「うわぁ――⁉」

「三神くん⁉」

「ちょっ、まっ……はーなーせー‼」

 無我夢中で腕を振り回したら、いなくなったけど……水道から赤い色をした水が流れていた……のは見なかったことにしよう。うん。 まぁ、なんとか逃げ切って美術室に逃げ込んだんだけど…………人体模型に追いかけられるってどういう事ですか? それとお札を見つけたのに……出られないよ……。

「……ねぇ……三神くん?」

「……何?」

「あの模型……いつまで居るんでしょうか?」

「……わかんないよ……。」

 部屋の片隅に立っている模型。今は、何も動かない。

 人体模型は、理科室から出ると後ろから追いかけてきていた。僕たちは、必死で美術室に逃げたのだが、一緒に教室内に入ってきてしまった……のだが……美術室に入ると教室の片隅に行き固まってしまって今に至るのだ。

「あとですね……。」

「どうかしたの?」

「……私の見間違いだと思うんですけど……さっきから、スケッチブックが飛び回っている様な気が……。」

「大丈夫……。僕にも見えてるから……。ついでに言えば、なんか石像的な物が動いてるのも見える……。」

「私もです……。」

「…………よし。ダッシュで、音楽室まで行こう。」

「え? なんでですか?」

「……地図の赤丸が増えたんだよ……。音楽室、部室棟の空き部屋に……ね……。」

「……はぁ~めんど。」

「でも……さ。行かなきゃいけないんだよ。さっさとお札を集めよう? もしかしたら、瀬戸達もいるかもしれn……『行きましょう‼』……え?」

 反応早っ⁉ まぁ……遅いよりはいっか……。

「でも……どーやってこの部屋から出ましょうか……?」

「あ……。」

「……。」

「たしかに……。」

 この部屋……扉が一つしかないからな……。しかも、固まって動かなくなってしまった人体模型がまだ居るし……どうすればいいんだろ……。


   ガララララ…………


「……え?」

 なんて、考えてる暇なんてないんだな……。悪夢だぜ……。また、さっきの奴だよ……。しかも、さっきの奴が扉を開けたと同時に人体模型が動き出したし……。最悪d……ん? みんな、後ろに行ったぞ‼ よし、今のうちに……

「井下、行こう‼」ヒソッ

「は、はい‼」ヒソッ

 僕たちはゆっくり廊下へと出て、そこからダッシュで音楽室に向かった。途中で後ろを振り向いてみたがあの変な奴らは追いかけて来ていなかった。……本館はこれで全部……かな? 音楽室に入ると一瞬、誰かに見られている様な気がした……が、あまり気にしないでお札を探した。

「ん~……ここはないな……。井下! そっちは?」

「こっちも無さそうですね……。」

「じゃあ、ピアノの裏とかは?」

「ちょっと待って下さい。えーっと……あ‼あった‼」

「よし‼ これで、本館は終了だ‼ あと、二枚か。」

 ケースにお札を入れながら僕は言った。しかし……いつまで経っても、瀬戸達に会うことが出来ない。もしかして、先に帰ったのか?……いや、それはないか……。後で僕がキレることくらい、あいつらなら分かるだろう……。じゃあ……一体どこに……。

「み……三神くん……。誰かが来るみたいですよ……?」

「えっ……。」

 耳を澄ましてみると、確かに喋り声が聞こえた。……もしかして……。

「……井下……一度隠れよう。」

「は、はい‼」

 僕らは、教卓の後ろに隠れた。徐々に喋り声が大きくなってきた……。隠れてから数十秒後……


   ギイィィィィィ…………


 勢いよく防音扉が開いた。

「だーかーらー‼ 幽霊なんているわけねーって、さっきから言ってんだろ⁉」by水木

「うぅ……じ、じゃあ、さっきのは何なんだったのさ‼」by瀬戸

「そ……そーだよ‼ 透明な人なんていないでしょ⁉」by南野

「……帰ろうよ……。」by住谷

「バーカ ‼三神と井下がいないのに帰れるわけねぇだろ?」by佐次

…………やっぱり、あいつらか……。しかも、あの幽霊見たのか……。

「たっく……。めんどくせぇ……。」by水木

「本っ当だよ……。おいていかない方が良かったかな?」by南野

「ん~? 別に良かったんじゃね? 面白かったし。マジ爆笑~」by佐次

「たしかにそうだね。笑いそうになったもん」by瀬戸

「佐次に同意~」by水木

「右に同じく~」by南野

「僕も、面白かったと思う」by住谷

……………………。

「……三神くん?」ヒソッ

「……何?」ヒソッ

「出ましょう‼」ヒソッ

「オーケー‼」ヒソッ

 瀬戸達が爆笑している所で井下と合図をして、教卓から出た。

「へ~……その話、詳しく聞かせてもらおうかなぁ~?」ニコッ

「⁉ み……三神⁉」by水木

「い……一体……いつからそこに……?」by瀬戸

「……やばい状況キター‼」by南野

「えっとですね……何ってゆーか……その……。」by住谷

「えっと……これは……その……。」by佐次

「つまり……僕と井下をワザと置いていったって事だよ……ね?」

《ごめんなさいっ‼》

 ったく……本っ当に懲りない奴らめ…………ん? なんか、こっちに向かって走って来てる奴が…………。…………あ……あ―――‼ さっきの奴だ‼ やばい……やばいって‼

「佐次‼ 水木‼ カギ‼ 防音扉の鍵を閉めて‼」

「へ? なんd……うっわぁー⁉ またかよ……。水木‼ 向こう側閉めろ‼」by佐次

「え、お、おう‼」

「教卓の下に隠れるか……。」by三神

…………ってことで、全員で教卓の下に隠れてるんだけど……音楽室の教卓広っいって、思った。全員入っても狭くない。もう九時五十八分か……。あの変な奴来てから十五分経ったな……。もういないと思うけど……。『じゃあ、なんで出ないの?』と思う人もいるかもしれないが……〝あれ〟がいなくなったら突然。ベートーベンとかが、動きだして、出るに出られない状態になってしまったのだ。最悪……。佐次と水木は、さっきから「強行突破‼ 強行突破だよっ‼」って、連呼してるけど瀬戸が「十時まで待って‼」って言うから、十時になるのを待ってるけど……。早くなんないかなぁ……。

「あ‼ あと、十秒‼ 9・8・7・6・5・4・3・2・1……0‼」by瀬戸


 ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン……


「この音って……」by南野

「時計……ですね。十時にしか鳴らない時計ですよね?」by井下

「うん。あ、ほら ‼いなくなったみたいだよ?」by瀬戸

「すげー……。」by水木

「よし‼ じゃ、帰ろう‼」by三神

 もう居たくないんだよ……こんなとこ……。恐怖しかねぇよ‼

「まーだ、だ・め‼ お札、あと二枚足りないから‼」by瀬戸

……最悪だ……。来なきゃよかった……。……ん? 地図に何か書いてあr…………。

「つってもどこにあんだ? 新館はもうないと思うし……。」by佐次

「……とりあえず、部室棟へゴー‼」by瀬戸

『《絶対に適当だ⁉》』by瀬戸以外の全員

「部室棟⁉ 僕、絶っっ対行かないからね‼」by三神

「え? なんで? あるかもしれないのに?」by瀬戸

「嫌なものは嫌だっ‼ 100%あると思うけど空き教室だけは絶っ対に行かないからね⁉」by三神

「なんかあんのか?」by水木

「……三神くん……まさか、また……ですか?」

「え? さーちゃん『また』って何が? 何がまたなの?」by南野

「……地図……。」

「へ? 地図?」by南野

 めんどくさいけど、説明したそしたら……

「じゃ、行くぞ‼」

 って佐次が言い始めて……皆も行こうって言い出し……只今、部室棟に向かっている所だ。……井下は、相変わらず僕にしがみついてる。瀬戸は……物音がする度に近くの人にしがみついている……。バカだなあいつ……。(ま、近くの人って言っても、佐次か南野だけど。)ってか、これに出ようって言ったの瀬戸じゃ……。まぁ、いっか。

「あ‼ ついたぞー‼」by佐次

 あーあ……ついに着いちゃったよ……。入りたくない……。井下も同じ気持ちらしく、足がめっちゃ震えている……。ってか、後ろに引っ張られてるんですけど……。

「ほーら‼ 二人共‼ 入るよ‼」by瀬戸

「い・や・で・す‼」by井下

 井下は、威嚇した猫のように僕にしがみつきながら瀬戸達の事を睨んでいる。なんか、本物の猫のようだ……。

「……。」by三神

「じゃ、強制だな。行くぞ‼ 三神‼」by水木

「は⁉ なんで僕なの⁈」

「だって三神連れてけば、井下も中に入るだろ?」by佐次

……すっげぇ『当たり前だろ?』みたいな言い方された……。最悪だ……。僕……入らないといけないのか……。

「よし ‼じゃあレッツゴー‼」by瀬戸


   ガララララッ


「うっわぁ……暗い……。」by住谷

「なんだ?住谷ビビってんのか?」by佐次

「べ、別にそーゆーわけじゃ……。」by住谷

「おかしいな……。この部屋、こんなに暗くなかったと思うけどなぁ……。」by瀬戸

「え? ひな、この部屋入ったことあるの?」by南野

「うん。部活で使うもの置いてあるからさ。衣装とか、大道具とかいろいろ。」

「え? ひなちゃんって部活入ってたんですか?」by井下

「今さら⁈ 入学そっこーで入ったけど?」

「マジで⁈」by三神

「三神もかよ⁉」by瀬戸

「だって、いっつも一緒にいるからさ~」by三神

「そーですよね……」by井下

「だって、部活の活動がないんだもん‼」

「それ部活じゃなくね⁉」by住谷

「あーもう‼ それはいーから、いい加減お札を探すの手伝えよっ! お前ら‼」by水木

 水木に怒られた……。うっぜぇ……。

「ってか、机の置いてあんじゃん‼」by南野

「へ? あ、本当だ‼」by住谷

……バカだ……あいつ……。ってか、このグループバカばっかじゃね?僕も含めてだけど……。まぁいいや、これでやっと帰れる‼

「じゃあ、あと一枚だね‼」by瀬戸

……そうだった……。すっかり忘れてた……。でも……あと、どこにあんだ?本館と新館はもう無いだろ、さすがに……ね。

「んー……。『校庭一周しろ』って書いてあるし……外探せって事じゃね?」by住谷

「うわぁ~めんどくせぇ……。」by佐次

「いーから……。なんでもいーから……早くこの部屋出ましょう‼」

「井下に賛成。」by三神

「だね~。早く出よっか~。」by瀬戸

 瀬戸……やっぱ、バカだ。何だかんだで自分が一番怖がってるって自覚あんのか? とりあえず、とっとと出y…………。

「三神? 何、扉の前で固まってんだ?」

「…………。」

「おーい。聞こえてますかー? 三神―?」

 水木は扉の前で固まっている三神に何度も呼びかける。だが、三神は固まったまま扉に付いている小さなガラスの外を見ている。

「三神くん?」by井下

「三神―?返事しやがれー‼」by水木

「…………。」

「みーかーみー?どーしたの~?」by南野

「みかみ?」by住谷

「…………………るなよ?」

 三神はボやっと口を開いてボソッと言った。

「はい?」by井下

「絶っっっっ対に扉を開けるなよ⁉ 何があっても開けんなよ⁉ 死んでも開けんなよ⁉ ってか、開けたら死ぬぞ⁉」

「何があったんだよ⁉ わかんねぇよ⁉ 開けんなだけじゃわかんねぇよ⁉」

 水木はいつも落ち着いてる三神の慌てっぷりは異常だと思い、緊急の事態だとはすぐに気づいた。だが、実際、廊下で何が起こってるかは分からなかった。

「……外見ればわかるよ…………。」

 水木は三神に言われ、扉のガラスを覗く。

「何があんだy…………マジか…………。」

 ほら、水木だって固まった。まぁ、誰でも固まるか……。〝あんなもの〟を見たらな……。

「水木ー? どーしたー? お前まで固まってさ~。」by佐次

「……廊下……幽霊だらけ……。」by水木

「……は?」by佐次

「え、えーっと……水木?」

「それ……どういうこと……ですか?」by井下

「え? 水木、それ本当?」by住谷

「…………。」by水木

「……どーする?」by佐次

 どーするじゃねぇし……。どーも出来ないだろ……。本っ当にバカだ。……死んでも本人には言わないけどさ。で、瀬戸はなんで他の方向を向いて固まってんの?

「ひな? どーしたの?」

 南野も瀬戸が固まっていることに気付いたのか、瀬戸に聞いていた。

「ん? んー……。……あれ……なんだろう?」by瀬戸

「あれって……衣装……じゃないの?」by南野

「さっきー? 衣装だったら〝あんなこと〟しないと思う……けど?」by瀬戸

「何があったんd…………。」

 佐次がポカーンとするの珍しいな……。見に行かない方がいいな……。

「……なぁ住谷―?」by佐次

「ん? 何?」

「……洋服って宙に浮かぶかー?」

「はぁ? 何言ってんの?」

……あーあ……。七不思議出たー……。最悪……って……あと二つじゃないか?七不思議……。やばくね?

「どーしよっか? 逃げ場ないよ?」by瀬戸

「どーしよっかって言われても……。」by南野

「お‼ あいつら科学部の部室に入ったぞ‼」by水木

「じゃあ……」by住谷

「生徒玄関までダッシュだ‼」by佐次


   ガララララッ


「井下‼ 行くよ?」

「は……はい……。」

 走った……はいいけど……井下、走るの遅っ⁉ 出てきちゃうって‼

「井下、走れよ‼」

「うぅ……はい……。」

……『はい』って言った割にはさっきとスピードが変わらないんだけど……。あ、瀬戸と南野に無理やり走らされてるよ……。ドンマイ井下♪(←プールの時の仕返しだっ‼)なーんて言ってる場合じゃねぇ‼ 逃げなきゃやべぇよ‼まぁ、あと少しで生徒玄関だ‼ 佐次と水木……もう靴を履き替えてるよ……。最低だあいつら。

「三神―‼ 早く‼」by瀬戸

「わってるよ‼」

 靴を履き替えて校舎の外に出た。外の方が明るいなぁ……。

「はぁ……はぁ……。もう……追いかけて来てない……ですよね?」

「多分……。」

 多分かよ……。まぁ、後ろを向いてる暇なかったしn…………またかよ……。

「? 三神―? どーした?」

「……逃げるか。」

 そう言ってダッシュで逃げ出した。……後ろで佐次達が叫んでいるみたいだけど、気にしないでおこう。うん。立ち入り禁止だけど、中庭に逃げよう。中庭の植え込みの所に隠れた。しばらくすると、佐次達が僕の事を呼んでいた。……瀬戸や南野、井下、住谷はともかく……佐次と水木の声が怖い。いつもより一段と声が低い……。確実にキレてる……。どーしようk……。

「あ‼ 三神くんいましたよー‼」

……井下のバカ―――‼ 殺す気か⁉ 僕を殺す気か⁉ 確実に殺されるぞ⁉ あの二人に……。

「みーかーみー‼」by佐次

「見つけたぞ‼」by水木

 あ……死んだな……確実に……。

「な~んで一人で勝手に先に逃げるのかなぁ?俺らは校庭一周したんだぞ⁉あの幽霊から逃げるのに‼」by佐次

「覚悟しろよ? 三神くん?」by水木

「あ。そーですか。ご苦労様でした。ついでに、ご愁傷さまでした。(プラスざまぁみろ‼)」

「ふーん……。三神くんはそこまでして死にたいんですか?」

「うわぁ……水木がブラックになったよ…。」

 説明しよう ‼水木はガチギレする何故か敬語を使うのだ‼……なーんてどーでもいーことは置いといて……ガチで殺す気だな……水木……(汗。

「みずゆー‼ やめときなって‼ だいたい、うちらが『ひどい』とか言える立場じゃないでしょー‼」by瀬戸

「あっ……。」by水木

「……そうだよなぁ? 僕と井下を置いていったんだしねぇ? 井下がキレるならともかく……なんでお前らがキレてんの?」

「サーセン。」by水木

……謝る気ないな……こいつ……。さぁて……どーしてやろうかなぁ?(←本当は『どう料理してやろうか』って言いたいんだけどな(笑))

「あーもう……三神も最後お札を探すの手伝って‼ あとでみずゆになにしてもいーから‼」二ヤッby瀬戸

「……マ……マジで⁉マジで何やってもいーの⁉」

「うん……〝みずゆ〟ならね!」

「おい‼ なんで俺なんだよ‼」

「え~? なんとな~く……かなぁ?」

「最低だこいつ……。」

 水木はブツブツ文句を言いながら、お札を探し始めた。瀬戸に後でお礼を言っとこう。あと、置いてった事については、なかった事にしてあげよう‼瀬戸〝だけ〟ね‼ その他は……殺すか☆

 ま、とりあえず僕も探さなきゃ。……って言っても、どこにあるんだか……。みんな、銅像以外の所探してるしなぁ……。……もうルール破ってるし……銅像の裏入るか‼

「三神―‼ お前も探すの手伝え……って、何やってんだよ、お前⁉」by水木

「み、三神くん? それ、ルール違反じゃ……。」by井下

「え? だってもうルール破ってるし……。あと、探せるのってここくらいしk……あ……あった――――――‼」

「マジで⁉」by佐次

 右から三番目の銅像の裏にお札は付いていた。そーか。だから、ルールにあったのか……。

「よーし。早く出よう。今すぐ出よう‼」by瀬戸

「うん。とっとと帰ろうぜ‼」by住谷

「そーだね‼ そーしよっか~‼」by南野

「は、早く出ましょう‼」by井下

……幽霊苦手だな……あいつら……。まぁ、早く帰るって所は賛成だ。早く帰ってギャルゲーの続きをやらなくては‼

「じゃ、行こうぜ~。」by水木

 ワイワイ話しながら裏校門を目指す。……と、焼却炉のそばを通ったときだった……。

  シクシクシクシク……

……はい? 今のなんすか? みんな、驚いて焼却炉を見つめている。しばらく沈黙が続いた。僕が

歩き出そうとすると……

 『なんで……なんで無視するの~?』

 という声と共に焼却炉の中から手が…………

《うわぁああああああ――――――――――――――――――――⁉》

 全員悲鳴を上げてダッシュで逃げた。そりゃそーか……だって…………焼却炉の中からだし……ね……。


===〉


「お‼ やっと帰って来たか……。お前ら‼ 遅いぞ⁉ 今何時かわかってるのか?」

 金満先生に言われ時計を見ると。今の時間……十一時五十分。うっわぁ……あと十分で日付が変わるよ……。

「ったく……。お前らが遅いから最終電車・バスに間に合わねぇじゃねぇか‼ お前ら、俺のホテル代払えよっ⁉」

「あ。それは嫌ですっ‼」

 瀬戸は、先生の言葉に即答で答えた。

「……ま、まぁいい。とりあえず校庭は一周したか?」

「もちろんですっ!(あの事は言わないでおこう)」by三神

「よしっ!それではラストのふだを渡そう‼」

 金満先生は、優しい顔をして俺たちに最後? のふだを渡してくれた。

「さて。これできもだめしは終了だ。……では、ふだの確認をする! これで合計何枚のふだを回収した?」

「先生‼ 十枚全部集めましたよ‼」by瀬戸

「は?」

 急に先生の顔が真っ青になった。どうしたんだろう……。

「んん? もう一度聞くぞ? 何枚のふだを回収した?」

「だから~。十枚ですって‼」

「……。」

「先生? どうしたの……ですか?」by井下

先生は、そっと口を開いた。

「……俺は、ふだを4枚(又は5枚)しか、隠してないぞ……。」

 それを聞いた俺たちは顔を青くした。

「マジすか」by佐次

「え? それって、この札の束の中に隠してない謎のお札が五、六枚あるって事ですよね?」

By南野

「ちょ、ちょっと確認するから見せてみろ……」

 南野は、金満先生に集めたお札を渡すすると……

「俺が隠したふだは全部集まってるな……でも……俺が知らないふだが五枚もあるだと⁉」

そして、金満先生は、俺達の方を向いて、再度質問してきた。

「お前たちは、何処のふだを回収したか言えるか?」

 金満先生の質問に、瀬戸が指を折りながら答える。

「もちろんです‼ え~と、まず食堂でしょ。あと購買部と……あと、3ーBの教室でしょ、それと……理科室、あと新館の空き部室と歴代校長の後ろと先生から?……あれ? これで七枚……。ん~。後どこだっけ三神?」

「え? 俺⁈……えっと図書館で二枚と~。美術室と音楽室もかな?……ってあれ? これで十一枚⁈……え? 合わないんだけど……。」

「あ。ごめん三神~。たぶん図書館の二枚の内一枚は、3ーBで見つけたやつだわ」

 佐次が修正を入れた。

「……おい。おまえかよ。まぁ、じゃあこれで十枚だね。」

「……うむ。わかった。この中で俺が隠したのは、食堂、購買部、3ーBの教室、(校長の後ろ)と俺からだな。……つまり俺は、図書館、美術室、音楽室、理科室、新館の空き部室には、まったく隠してなどいない。」

「……え。つまりそれって……。」by住谷

「お前らが見つけた場所や七不思議の場所が一致する事から……たぶん、学校の心霊現象の原因の危険なお札だと思われる。」

 え? それって俺達って一番やっちゃいけないことをしたって事か、もしやこのお札は、この心霊現象の封印をする大事なお札だったりして……あ、あはは……。

「それじゃあ、お札は、急いで焼却処分した方がいいかと……。」

「あぁ。そうだな南野の言う通り、至急焼却処分をするのが適切だな。」


 その後、金満先生と一緒にお札をすべて、焼却処分をしました。


「コホンッ。……さて、余りのこの五枚で一つ聞くぞ?普通は、四枚でいいんだがこの五枚目は何処で手に入れた?」

 金満先生は改まって俺達に聞いてきた。

「゛あ。……ど、銅像の裏のこ、ことですか?」

「うむ。その通りだ。……ではルールは?」


   ギクッ


「えっ、えっと~……六、銅像の裏に入らない。です……。はい。」

「さて、それを見つけたのは……。」

「三神くんが。」「三神が。」「三神だね。」「三神です。」「三神ですよ。」「三神だな。」

「え、あ、ちょっ、み、みんな⁉」

「そーか……。まぁいい、元々、ルールなんてあまりいみないしな。」ボソッ

……今、先生が言ったことは、聞かなかった事にしよう。うん。

「じゃあ、懐中電灯とふだのケースを返してくれるか?」

「はい。」by南野

「よし‼ じゃ、これで終了だ‼ 始業式の日に景品と賞状渡すからな~。気おつけて帰れよ~。」

 やっと終わった……。よし、さっさと帰えr……っとその前に……。

「……で、瀬戸?」

「ん? 何?」

「僕と井下を置いてこう‼ ってなった時のことと……理科室のこと……詳しく話してもらおうか?」

「え⁉ バ……バレてたの⁈」

何故か、南野達まで驚いている……。バレバレだっつーの。理科室での〝あの時の声〟瀬戸にそっくりだったし……。

「……さっきー説明よろしく。」by瀬戸

「え。なんd「よ・ろ・し・く‼」……はい……。」by南野

……いきなりブラック出たぞおいっ……。

「じゃあ……説明するね。」by南野

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