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01 少女との出会い

初投稿です。

駄文ではありますが、最後まで閲覧していただくとありがたいです。

よろしくお願いします。

 ーーハルティア大陸。

 この世界でただ一つの大陸であり、ギルレンス帝国を中心とした5つの周辺諸国で成り立った大陸である。

 このハルティア大陸には未だ開拓されてない地域も多く存在しており、様々な生物がこの大陸の生い茂る自然の豊かさに助けられ続けてきた。


 そしてこのハルティア大陸には一つ、他の世界とは違う不可思議な現象が起こっている。

 本来、この世界の次元には存在しないはずの空間へのゲートが突如としてこの大陸の各地で確認された。



 その空間の名を人々は“迷宮ダンジョン”と呼んだ。



 迷宮ダンジョンは複雑な地形で成り立っていることが多く、大陸には存在しない不可思議な生物がたくさん存在しており、中にはドラゴンやワイバーンなどといった神話などでしか存在しない空想上の生物も多く棲息していた。


 そんな危険な迷宮ダンジョンに潜り込み、探索したり魔物退治をしたりする者がいる。



 その者達のことを人々は総称して“冒険者”と呼んだ。




 彼等が危険を冒してまで迷宮ダンジョンを探索する理由。

 それは、迷宮ダンジョンに隠された宝箱に眠る財宝や、強力な装備品、そして大いなる名声を手にするためだった。


 彼等はそんな富や名声を求め、今日もまた迷宮ダンジョンへと潜り込むのであったーー









 ーー大陸最西部に位置する港町、エルダス。

 海辺の景色が綺麗なこの街は観光名所として有名で漁業も盛んな比較的人口も多いにぎやかな街だ。


 そんなエルダスの街から少し南へ進んだ緩やかな高原、テュリオスの丘。

 数ヶ月前、そこへ新たな迷宮門ダンジョンゲートの開門が確認された。




「ハァ……ハァ……」



 ーーテュリオスの迷宮最深部、大森林の泉。

 そこにはハルティア大陸には本来存在しないはずの神話上の生物ーーグリフォンが待ち構えていた。


 熟練の冒険者が複数のパーティを組んで挑んだとしても倒すのが困難だといわれる神話級のボスモンスター、グリフォン。

 だが今、このテュリオスの迷宮最深部にたたずむグリフォンは全身から血が滲み出ており、象徴とも言える荒鷲の翼は血で汚れ、既に満身創痍の状態だった。



「はは……さすがに……きついな」



 そう呟いてフラフラになりながら立ち上がり、新たな矢を魔力で精製したのは、たった一人で迷宮最深部までたどりついた若い冒険者の青年ーーアルヴィンだった。


 かつてないほどの強敵に圧倒されつづけたグリフォンはもうすでに自らの死を悟ったのか、足掻こうともせずに目の前の強敵に殺されるのを、ただじっと待っていた。



「ごめんね……今、楽にさせてあげるから……」




 アルヴィンはそう言って手に握りしめていた魔力で精製した矢ーー魔弾を引く。



「ーー貫け……蒼魔弾」



 ーーそう言ってアルヴィンから放たれた青い光を放った矢ーー魔弾は、数m離れた所に立ち尽くすグリフォンの胸部を貫いた。


  傷口からは血しぶきが勢いよく飛びだし、貫くと同時に魔弾は光のつぶと共に消滅した。


 刹那、断末魔を上げ悶え苦しんだグリフォンだったがすぐに地面に倒れこみ、その後起き上がることはなかった。



「た、倒した……」



 アルヴィンはグリフォンの絶命を確認すると、緊張がほどけたのか、地面にドサッと座り込んでしまった。



「ふぅ……」



「流石に…きつかったな……」



 アルヴィンは一人空を見上げ、自分の成し遂げた快挙に内心、少し浮かれているようだった。



「そうだ宝箱……ッ!」



 アルヴィンはハッとしたようにそうつぶやくと、バッと起き上がり、グリフォンの亡骸のさらに奥にある扉へと視線を向けた。


 すると扉は、迷宮の覇者であるアルヴィンを待っていたかのように扉はゆっくりと開き始めた。


「やった……!」


 アルヴィンはボロボロになった体の事など気にすることなく、扉へと一直線に走り始める。


「ハァ……ハァ……ッ!」


 グリフォンの討伐は成功したものの、アルヴィン自身もかなりの深手を負っていた。

 しかしそんな痛みも忘れてしまうほどに、冒険者にとって宝箱とゆうのは心を躍らせる存在なのだ。


 扉の中へと入り、そこに用意されていた3つの宝箱を目の前にして、興奮を抑えきれずにいた。


「はは……すごいな……三つもあるよ」


 そういってそばにあった宝箱を開け、中に入っていた大量の金貨の上に置かれていた茶色い毛皮のついたコートを手に取る。


「へぇ……」


 アルヴィンが手に取ったのはグリフォンの討伐報酬であるグリフォンの素材で作られたグレイフコートだった。

 足の脛ほどまであるロングコートだが、グリフォンの素材で作られたコートは機動性もよく、防御性能もかなり高い。

 もちろん見た目も抜群である。

 どれをとってもまさに神話級モンスター、グリフォンの名に恥じぬ一品だった。


「これがグレイフコートか……」


 そう言ってアルヴィンはさっそくグレイフコートを身につけた。


(こんなに大きいのにすごく軽い……動きも制限することなく楽に体を動かせる)


 アルヴィンはストレッチをしながらグレイフコートの動きを確認しているようだった。


 宝箱に入っていた金貨を手に入れるため、背負っていた鞄ーーディメンションバッグを取り出し、宝箱ごと中へ放り込んだ。


(こうゆう時って、本当にディメンションバッグは役にたつなぁ……)


 ディメンションバッグとはバッグの中が異次元へと通じる摩訶不思議なカバンで、これにより冒険者の重量による制限はほとんどなくなる。

 ただしディメンションバッグの入手方法は迷宮内でのレアドロップアイテムであり、入手するのは極めて困難だと言われている。



 そしてアルヴィンは、次に二つ目の宝箱を開けてみる。

 中には一つ目の宝箱同様、大量の金貨の上に羽のついたハット、茶色い手袋、ブーツが並べて添えられていた。

 もちろん、これらの装備も全てグリフォンの討伐報酬の品で、すべてグリフォンの素材で作られている。


 アルヴィンは先程と同じようにグレイフハット、グレイフアーム、グレイフブーツを取り出し、宝箱をディメンションバッグに放り込んだ。


「おぉ……すっげぇ軽い」


 グレイフアーム、グレイフブーツを装備しあらためてグリフォン装備の操作性に驚く。


 そして最後にグレイフハットをかぶってみる。



「ーー!」



 ーーハットを被った瞬間、アルヴィンは何かを感じたようだった。



付加エンチャントスキル……だな)



 グレイフハットには、付加スキルが付けられていた。


 付加エンチャントスキルとは冒険者達が身につけたスキルとは別に、装備品本体に付加されたスキルである。


 付加スキルは冒険者達が意図して防具や武器に付加することは不可能であり、迷宮内で発見した防具や武器に稀についているものだ。

 最深部のボス級モンスターの討伐報酬には、どれか一つに必ず付加スキルがついている。

 アルヴィンが手にしたグレイフハットには、グリフォンの固有スキルである“鷹の目”が付加されていた。


 最後にアルヴィンは三つ目の宝箱に手を置き、ゆっくりと宝箱を開けた。


 中には大量の金貨が同様に入っていたが、先ほどまでの宝箱までとは違い防具の類などは入っていなかった。


(ま、そんな連続で希少装備が入ってたりはしないよね)


 アルヴィンは少し残念そうな表情を浮かべ、ディメンションバッグへと宝箱を放りこむ。


「宝箱も全て回収したし……とりあえず迷宮を出ないとな」


 そう言ってアルヴィンは立ち上がり、部屋の中に出現していたワープゲートへと歩き始める。

 ワープゲートはこの部屋に入った時点で出現し、テュリオスの迷宮門ダンジョンゲートから少し離れた場所へとワープし、通常の世界に帰ることができる。


 ワープゲートは迷宮内の各所に存在しており、迷宮探索をする際はワープゲートの位置を確認しながら進むのが最も一般的な迷宮攻略の手法だ。


(最近は慣れてきたけど、初めてワープゲートを通った時は気持ちが悪かったなぁ……)


 アルヴィンは苦笑といった表情を浮かべ、ワープゲートをくぐりハルティア大陸へと帰還した。










「ーーふぅ」



 ワープゲートをくぐり抜け、アルヴィンは小さくため息をついてハルティア大陸の大地へと足をついた。

 見慣れた景色に少しばかりの安心感を覚えると同時に蓄積されてきた体の疲労感やダメージがドッと押し寄せてきた。

 迷宮に丸一日潜り込んで、その上グリフォンとゆう強敵と戦ったのだから当然といえば当然だろう。


 遠方に見えるエルダスの街を眺めながら、少し憂鬱な気分になっているようだった。


(ここから街まで普通に歩いても多分、街につく前に日が暮れてしまうだろうな……)


 すでに空は紅色に染まりかけており、一日の終わりを告げているかのようだった。


(まぁ、ここでそんなこと考えていても仕方ないよね)


 アルヴィンは深いため息をつき、重い足を上げてエルダスの街へと向かい始めるのだった。










(ハァ……やっと着いた……)


 街についた頃にはすでに日が暮れており、門の衛兵もランプを手に持ち、街の入り口の目印となっていた。


「お疲れさん、今日も迷宮帰りかい?」


「ああ、ありがとう。今日は特に疲れたよ」


 衛兵と何気ない会話を交わし、大きなため息をつく。

 よくこの門を通るアルヴィンは顔を覚えられたのか、近頃はよく声をかけられている。


「はは、今夜はいい夢がみれそうだな」


「あぁ、まったくだよ」


 そう言って軽く手を振りながら門をくぐり、街へと入る。

 アルヴィンはひとまず、街の中央にある冒険者ギルドへと向かうことにした。


 冒険者ギルド。

 ハルティア大陸各地の国や街に点在する大規模なギルドの一つ。

 街周辺のクエストは全てこのギルドが仕切っており、クエストの依頼やクエストの受注には必ずここを訪れる必要がある。

 冒険者ギルドに冒険者として登録されない限りは冒険者として認められないため、冒険者なら必ずこの場所を訪れることになる。


「カレンさん、テュリオスの迷宮攻略のクエスト完了しました……」


 アルヴィンはギルドの受付嬢であるカレンにクエストの成功を報告する。


 迷宮攻略クエストとは、ギルドからの依頼で新しく発見された迷宮を攻略し、迷宮内の地形情報や出現モンスターを報告するクエストである。

 これにより、ギルドは他の冒険者が既存の迷宮への探索をする際のリスクを減らすことができる。


 ただし、迷宮攻略クエスト受注者は未知の迷宮に潜り込むため、既存の迷宮を探索するよりも遥かに難易度の高く、危険なクエストとなるため、実力のある冒険者しか受注できないクエストの一つでもある。



「ア、アルくんほんとに一人でクリアしちゃったんだ……?」




「ま、まぁなんとか……かなり苦戦しましたけどね……」



 そう言ってアルヴィンは心底疲れきったような表情をうかべ頭をポリポリとかく。


「まったく、アルくんにはいつも驚かされてばかりね。絶対に不可能だ、って思ったことをいつも平気な顔でこなしてきちゃうんだもん」


 カレンはそう言ってカウンターのしたからクエストの報告書取り出し、アルヴィンへと手渡した。


「はは……そんなことないですよ。今度ばかりは流石にきつかったですって」


 そういって苦笑いを浮かべながら報告書を受け取り、ギルドを去ろうとする。

 アルヴィンとしてはさっさと報告を終わらせて宿屋で眠りにつきたいところのようだ。


「それじゃ……これで」


「あぁアルくん、ちょっと待って」


 ギルドを出ようしたアルヴィンをカレンは急に引き止めた。

 疲労が溜まっているアルヴィンは一体なんなんだと言わんばかりの険しい顔つきで振り返る。


「な、なんですか……?僕もう疲れてるんで宿屋で休みたいんですけど……」


「あの子」


 ーーそういってカレンが肘をつきながら指を指した方向にはにらめっこをするようにじーっとクエストボードを見つめ続ける少女がいた。


「ここ数日、同じようなクエストを受けては失敗して帰ってくるんだけど、アルくん明日からヒマならあの子のクエストに同行してあげてくれない?」


「い、いきなりそんなこと言われても……」


 カレンのいきなりの頼み事に困ったような表情をみせ、頭をポリポリとかく。


「迷宮から帰ってきて疲れてるだろうけど……なんとかお願いできないかしら」


「うーん……」


 カレンの真剣な眼差しに、アルヴィンは少し考えるような表情を浮かべる。


(……まぁ、ここ最近高難易度クエストばかりだったし……たまには息抜きも必要かな)


 腕を組み、しばらく考え込んでいたアルヴィンは小さなため息をつきカレンの方へ振り向く。


「……わかりました、責任を持ってあの子の面倒をみます」


「ありがとう!あの子もきっと喜ぶわ」


 いつもお世話になっているカレンの頼み事。

 無下にもできず、アルヴィンはしぶしぶ了承したという表情を浮かべた。


「エレアちゃん! エレアちゃん!」


 カレンがクエストボードの前に立つ少女の名を大声で呼び、振り向いた少女ーーエレアに手招きをした。

 エレアはカレンに気づき、カレンのいるカウンターの前へと近づいてくる。


「なにか用でしょうか?」


「あそこの弓を持ったお兄さんが、エレアちゃんと一緒にクエストに行きたいってゆってるんだけど……」


 カレンはそういってアルヴィンを指差して微笑みながらエレアへと語りかけた。

 エレアはカレンの指差した方向をちらりとみる。



 エレアはアルヴィンの装備するグレイフコート、そして背中に装備されている大きな弓に目を丸くしてみつめていた。



「あ、あんなに強そうな人がですか……?」


「そそ、どうかな?」


 エレアは怯えるようにカレンへと問いかける。


「私は全然大丈夫なんですけど、どうして私なんかのクエストに……」


「あら、気づかなかった? 彼、エレアちゃんに一目惚れしちゃったみたいよ」


「ーーなぁっ!?」 「えぇっ!?」


 すこし距離を置いて腕を組んで壁にもたれかかっていたアルヴィンも揃ってエレアと声を上げる。

 カレンはゲラゲラ笑って二人の反応を楽しんでいた。


 エレアはおどおどして戸惑っており、アルヴィンはカウンターに駆け寄ってきてバンッと机をたたきカレンに抗議する。


「ちょ、ちょっとカレンさん!」


「あはは、冗談よ冗談」


「び、びっくりさせないでください!」


 二人とも顔をすこし頬を赤らめてカレンに怒鳴るが、カレンはヘラヘラして反省の色がない。

 彼女はこういう人だとわかっているアルヴィンはそれ以上追求することなく、小さなため息をついて頭をポリポリとかく。


「エレアちゃんね、よくクエストに行っては失敗して帰ってくるからこのお兄さんに私が頼んだのよ」


「え、そ、そんな……なんか悪いですよ」


 そう言ってエレアは不安気な表情を浮かべた。

 そんな彼女の様子にアルヴィンは少し強張った表情を浮かべた。



「エレアちゃん……でいいのかな、まだそんな駆け出しの内にソロでクエストにいくのはやめておいた方がいいと思うよ」


 アルヴィンの真面目そうな表情にエレアは少し怯えるようなそぶりを見せる。


 というのも、ソロでクエストをこなすとゆうことは、全てのことを自分でやり遂げなければならないとゆうことだ。

 冒険者になって間もない内は、複数人で協力をするとゆうことを覚えてやっと半人前とゆうレベルである。


 初心者が一人だけでこなせるクエストなんてごくわずかしかない。

 たとえ、有る程度実力がついたとしても初心の頃に協力とゆうことを覚えているか、覚えていないかでかなりの差がつく。


 そうゆう点でアルヴィンは、エレアのソロでクエストに出かけるとゆう姿勢にはあまり賛成はしていない様子だった。


「見た所まだ冒険者になって日も浅いようだし、まずは仲間と協力してクエストをこなす、とゆうことを覚えた方がいいんじゃないかな?」


「で、でも……」


「先人の知恵に学ぶことも大事よ?」


 黙って二人の様子を見ていたカレンの言葉にエレアは少し悩んだように頭を傾ける。


「あ、あの……それじゃよろしくお願いします」


「うん、こちらこそよろしく」


 そういってアルヴィンは手を差し出す。

 エレアはアルヴィンの差し出された手を握り握手を交わした。


「ふふっ、それじゃあとはよろしく頼むわね」


 そういって肘をついて様子をみていたカレンは軽く微笑みながらカウンターを離れて奥へと消えていった。


「さてと……今からじゃクエストにいくのは遅いし今日は明日に備えてゆっくり休もうか」


「はい、それじゃ私はここで……」


 そういってエレアがこの場を立ち去ろうとした時だった。



 グゥ〜……




「……!!!」




 ーーエレアのお腹から可愛らしい腹の音が聞こえた。

 エレアはそれに気づくと顔を真っ赤に染めてうつむいてしまった。




「あはは……とりあえず酒場にでもいこうか」



 そういってアルヴィンは優しく笑い、エレアをフォローして場を和まそうとする。



「は、はい……すいません」



 そういってエレアは真っ赤に染めたままの顔をあげることができずにアルヴィンの後をとぼとぼとついて行った。








「あ、あの……」


「うん?」


 そういってエレアはうつむいていた顔をあげる。

 まだかすかに頬は赤らんでいた。

 アルヴィンはそれに反応してエレアの方を振り向いた。


「お名前をまだ伺っていなかったので……」


「あぁ、ごめん、そういえば自己紹介がまだだったね」



 アルヴィンはすこし申し訳なさそうな表情を浮かべる。



「僕の名前はアルヴィン。見ての通り弓使いだよ」


「あ、私はエレア・フローレンスという者です……あの、ふつつか者ですがよろしくおねがいします……」



 エレアはアルヴィンに少し固そうな、それでいてつたない自己紹介を始めた。

 そんなエレアの様子にアルヴィンはくすりと微笑む。


「ふふ、そんな固くならなくても大丈夫だよ」


「え、でも……」



「ここ最近ずっと難しいクエストばかり受け続けてきたからね。すこし息抜きをしたいと思っていた所なんだ」



 そういってアルヴィンは酒場へと歩き続ける。

 エレアはアルヴィンに大して敬意を払おうとしていたようだった。

 口ではそういってくれているが自身の成長のためにクエストについてきてくれることには変わりはないのだから。


 そんな会話を交わしているうちに、二人は酒場へとたどり着いた。



「それじゃ、中に入ろうか」


「あ、あの」


 エレアはすこしうつむいてアルヴィンから目線をそらした。


 アルヴィンは首を傾げ、エレアへと問いかける。


「どうかした?」


「お、お金がもうほとんどなくて……実は今晩宿屋に泊まるお金も、もうないんです」


「え、そうなの?」


 アルヴィンは少し驚いたような表情を浮かべる。

 アルヴィンは少し悩むそぶりをみせたがすぐに酒場の扉を開け、中へ入ろうとする。


「ま、とりあえず中に入ろうよ。今日は僕がおごるからさ」


「い、いいんですか?」


「それくらい構わないよ」


 そういってアルヴィンはにこりと微笑んだ。

 エレアは申し訳なさそうに酒場へと入って行くアルヴィンの後を幼い子供のようについて行くのだったーー

閲覧ありがとうございます。

アドバイスや、矛盾点などありましたら感想を頂けると、作者としてはありがたいです。

よろしくお願いします。

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