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レボリティー・レポート  作者: アルフ
新日本都編
1/55

プロローグとは言い難い開幕

西暦2999年。世界が七つの大国によって統治されている時代……。この物語はとある謎を追い求める少年の軌跡の物語である。

 ……ここはどこだ? そんな疑問が俺の頭を駆け巡る。

 見覚えのない風景。辺りは暗い……今は夜だろうか。


 それにしても、現状を説明すると今目の前に割と美しい出で立ちの女性が立っているわけだが、コイツは一体誰だ?


「その願い、叶えてやるぞ、少年」


 願い? 何のことだ? 俺は別に何も……って、口に出さね―とわかんねえよな。


「おっ――「ガアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 俺の声は、女性の背後から急に現れた怪物の怒号に掻き消された。

 というか何だ!? あの怪物!! こっちにくるぞ! 危な――ッ!!




「うわあああああああああああ!!!!!!」


 少年は布団から勢いよく飛び起きた。頭には寝起きですと言わんばかりの寝癖がついている。

 簡単に言うと、夢オチだ。


「なんだ、夢か」


 そんなお決まりの言葉を吐きながら一階にある居間へと降りて行った。


 居間に降りると、うんざりするほど聴かされてきたBGMが流れていることに気付いた。


「おはよーねえちゃん、今日は起きるの早いじゃん」

「んーちょっと大切な用事が」

「用事って…ゲームしてるだけだろ」

「あー晴人、おなかすいたから早く朝ごはん作ってよ」

「……ハァ」


 こいつはわざわざゲームをするためだけに慣れない早起きをしたのかよ……という意味のこもった溜息が自然と出てしまった。

 が、朝ごはんは弟である彼の仕事なので、仕方なく自堕落な姉に言われるがままに、柊晴人は支度を始めた。

 


 十分後――


「朝メシできたぞ」

「おそいぞー少年!」

「ならねえちゃんが作れよ」

「いっただきまーす!!」

「無視かよ」


「ところでさ。ねえちゃん」

「んー?」


 食事中に晴人は今日見た夢のことを姉に話した。すると、


「あぁ、それ正夢だわ」


 姉はきっぱりと断言した。


「いやいや、ありえねぇだろ」


 晴人が半分呆れたように言ったときテレビからのニュースが耳に入ってきた。


『えー本日未明に田坂総理|(53)が突然お亡くなりになりました。病院はこれを心臓発作とし、……』


 テレビの向こうのニュースキャスターは若干慌てた様子でちらちらとメモ用紙のようなものを見ながら話していた。下のほうには速報の文字がある。

 その国一個を揺るがす大事件に晴人の姉が一言物申す。


「へー、総理死んだの」


 まるで他人事でした。

 しかし姉はいつもこんな感じなので、晴人も気にせず食指の手を止めなかった。


「心臓発作……ねぇ」


 気になったわけではない。誰彼が死んだ。というニュース自体は、一週間に一度はあるから今回の件が特別というわけではない。しかし、まだまだ若かった総理が心臓発作で死ぬのはどうかと思う。


『警察はこれ以上の情報を掲示しようとせず、評論家の一部からは事故死ではなく他殺だという意見もあがっており……』

「なんか変な話だなー。晴人はどう思う?」

「まあ警察が心臓発作っていうなら心臓発作なんじゃねぇかな」

「ふーん」


 晴人の姉は自分から振っておきながら適当な返事をした。そして朝ごはんを完食し、「さて!」と気合をいれて元気に立ち上がった。

 姉が朝食後に気合を入れる時、それはどういったときか晴人は把握していた。まあ週三はあるので、どちらかというと覚えてしまったというほうが正しいかもしれない。


「ねえちゃん今日もバイト?」

「うんっ!」


 姉は嬉しそうに答えた。晴人の予想通りである。


「あんたもダラダラしてないでさっさと学校行く準備しなさいよ」

「わかってますよっと」


 そう言って晴人も支度を始める。


 何も変わることはない。いつも通りの日常風景だった。





 この時までは――





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