素直になれなくて
ちょっと、ちゃんとききなさいよ
朝起こしたらすぐおきなさいよ
あんた目覚め悪すぎよ
卵焼きにマヨネーズかけるのやめてよ
なんかむかつくわ
笑うとき目を細ーくするのやめてよ
恥ずかしそうにして笑うのやめてよ
どきどきしちゃうでしょ
脱いだシャツはちゃんと洗濯機入れてよ
じゃないと洗濯してあげない
眠るとき抱きしめるのやめてよ
逆に寝れないわよ
こっそり女の人と出かけてんじゃないわよ
もう知らないんだから
拗ねたあたしの頭優しくなでないでよ
許しちゃうじゃない
なんであなたが謝るのよ
わがままなのはいつもあたしでしょう?
愛おしそうにお腹に耳あてないでよ
そうよあなたの赤ちゃんよ
ちゃんと誤解解きなさいよ
女の人って妹さんだったんじゃない
あたしのこと許さないでよ
優しすぎるのよ
なによ家事くらい余裕でできるわよ
そんな時ばっかり怒らないでよ
ピンクの服ばっかり買ってこないでよ
男の子かもしれないでしょ
少しくらい休みなさいよ
頑張りすぎなのよ
「何があっても君たちを守るから」
泣かせるんじゃないわよ
思い出の場所に行こうなんて突然すぎるのよ
あたし達が出会ったあの町へ
浮かれていたのよあたし
幸せだったのよ
ふいに背中が誰かとぶつかって
身ごもった体はバランスをくずしやすく
電車がせまる線路に
ホームから
あたしは
投げ出されて
「…だいちっ…」
無意識に呼んだあなたの名前
ちょっと、ちゃんときいてる?
あのねぇ、
あたし幸せだったのよ
あなたがいて
あたし幸せだったのよ
あなたとの子供もできて
あたし幸せだったのよ
これからもずっとだと思ってたわ
いいかげんにしなさいよ
素直になれないの、あたし
ありがとうもごめんねも言えなかったわよ
あれだけ愛してくれたのに
どうしてあたしなんかと出会ったのよ
こんな馬鹿みたいな女
子供の名前あなたから一文字もらったわよ
あなたのように優しく強く生きてほしいから
なんでこんな女守ったのよ
かわりにあなた死んじゃったじゃない
あの時あなたが掴んだ手首の熱
忘れないわ
子供の顔 見て欲しかったわ
細い目はあなたにそっくりよ
あの時
あたしが
もう少し
気をつけていれば。
ねぇ、
目、覚ましなさいよ
いつもみたいに寝ぼけてるんでしょ
卵焼きにマヨネーズかけてもいいわ
あのシャツ
あなたの香りがして辛いの
眠るとき寒くて寒くて眠れないの
あなたがいない
お前のせいだってどうか怒って
あたしの前にもう一度現れて
神様なんていないわ
もしいるのなら
あ の 人 を か え し て
いつかの約束あなたは本気だったのですね
「何があっても君たちを守るから」
守られてばかりで
何もしてあげられなかったわ
あたし素直になれなかったわ
ちゃんと伝えればよかった
愛してる
遅すぎた言葉
あなたに届いてほしい
ありがとう 守ってくれて
あたしたち 生きるね
生きて生きて またあなたに出会うわ
その時は、ちょっとだけ素直になってみるから




