第一章~謎のチャラ男、イホエル~
「ここは…。」
俺はあの惑星に入るとき気絶してしまったらしい。そしてなぜか俺は布団をかけられていた。あたりを見渡してみると、ここは何者かの家だということがわかった。俺は急いでこの家から出る支度をした。そのとき、この家の主らしき人物に声をかけられた。
「おう、起きたか!もうここ出るのか?ゆっくりしていってもいいんだぜ!」
その人物は 二十代前半くらいの男性で、茶色い髪をしており、目も茶色かった。俺はおもわず、
「誰だ‼」
と問いかけた。男は問いかけに対し、
「まあ、そう言わず少し落ち着こうぜ!」
と俺の問いかけには答えず、チャラけた感じでごまかした。俺はその男の様子をみて何を言っても無駄だと思ったが、この惑星について気になることがあったのでそれについてきいてみた。
「さっきから耳を澄ましているのだが、外から何も音が聞こえない。なぜだ?」
そう問いかけた瞬間、男は表情を変えた。
「おい、きいてんのか?」
さらにそう問いかけた。
「……。」
しかし男は黙ったまま口を開こうとしなかった。いや、口を開けずにいた。それから十数秒たってから、男はやっと重い口を開いた。
「ほんとはこの惑星のこと、誰にもおしえてはいんだけど、君には教えるよ…。実はここにいた住人は俺も含めて、みんな地球から連れてこられた人たちなんだよ……。」
「えっ⁉」
俺は驚いたが、すぐに男の話に耳を傾け直した。
「二ヶ月くらい前まではまだ地球にいた。でもある日、一枚の福引券が俺たちの人生をくるわせたんだ。」
「はっ?」
「たまたま友人から福引券をもらったんだ。で、それをやったら特賞のハワイ旅行が当たったのさ。でも五十名様ご招待っていうふざけた数だったから、友人をみんな誘ってやった。でもそのせいでみんな…。」
これ以上男に思い出させるのは悪いと思い、俺は話をかえた。
「俺はもうここを出る。でもその前に名前だけおしえてくれ。」
男はそれに対し、今度はしっかりと答えた。
「俺はイホエルさ。」
「俺の名はアレンだ。」
俺はイホエルにあいさつを済まし、その家をあとにした。イホエルの家から出てすぐのところに、自分の乗ってきた宇宙船を見つけた。どうやら気絶している間に不時着したらしい。しかし、もういたるところが壊れてしまい、使いない状態だったので気にせず、先に進んだ。また少し進んだところで今度は森を見つけ、森の中へ入っていった。奥へ行ってみると、あやしげな階段があった。いかにも何かありそうだったので、俺は音を立てないよう、ゆっくりと下っていった。