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さあ、世界創造の時だ

作者: オ氏茸挟

真っ白な空間に思い通りに世界を描き魂を吹き込み、バクテリアはあっという間に独り歩きを始め、いつの間にやら私の手を離れてしまっていた。



寂しさと同時に嬉しさもあっただろう。


だって息子たちはお互いに共存しあいながらすくすくと育つ、手を取り合いながら一歩一歩着実に育つ。

いくつもの苦難を乗り越えたどり着いた完成への道。まだまだ先だと思っていたらもうそこには私に良く似た者達が溢れていた。



 今日の善きに日に私は旅に出る。

人類の代表、いや地球の代表としてたった一人としてカプセルに乗り込んだ。



「おめでとうアダム、貴方は創造者になるのだ。貴方が世界を造るのだ」



「ああ、任せておけ」



 神は世界と人間を六日間で作り上げ、最後の七日目におやすみを取ったのが一週間の始まりらしい。

私はたったそれだけの期間でそれだけの大仕事が出来るだろうか心配だ。

だが期間は絶対の七日間だ。



 それはちょうど三年前のこと、掌サイズの隕石がどこぞの納屋に突っ込んだのが事の始まりだった。

それと同時期に、絶対不可能とされてきたタイムマシン理論が覆されたのもその年、



テレビでも引っ張り凧の占い師が緊急特番でお告げを代弁した。



……約束の時。

神の力により時を遡り、

世界を始めよアダム



 意味がわからないがその年から沢山の失踪者やわけのわからない事件。イギリスやアイスランドが地図から消えてしまう事態まで起こった。

世界は混沌とし、科学でも全くの理解不能のお手上げ状況。



神にも(すが)るとは正にこのことか、やれることはやるしかない。科学的に全くの意味を成さないこれは一種の願掛けみたいなものだった。



 タイムマシンで世界の始まりに行く計画が持ち上がった。



 両親がおらず、たまたま孤児院引き取られた私はたまたま親しみを込めてアダムという名前になり、これまたたまたま世界の各地で選出されたタイムマシン候補生に最後まで残り、

今正に、私は片道切符のタイムマシンに乗り込んだところ。

三年前に降ったとされる隕石に付いていた生命の源になったファーストバクテリアとかいうのを大事に抱え、小さなカプセルに乗り込んだ。

ちなみに、タイムマシンで時を越えれば肉体の果てる速度が凄まじく、私は七日目に死んでしまうらしい。



 カプセルが閃光に包まれ、世界が始まったとされる時からちょうど一兆年の今日、一人の若者が消えた。

それから直ぐに失踪者は続々と生還し、イギリスやアイスランドは元に戻ったニュースが速報で飛んできた。

それからとくに歴史は変わらなかった。



 いや、もう既にアダムによりそれが変わっているのかもしれない。


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