表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
泡姫  作者: ネンブツダイ
第1章
5/44

思い出せない

思い出せない。どこかで会ったことがあるような気がするのに、どこで会ったのか、誰なのか全く思い出せない。


その時、彼女の口から驚くべき言葉が出た。



「あの・・どこかで会ったことありましたっけ?」



僕は驚いた。彼女も同じことを考えていたのだ。



「あっ、僕もあなたとどこかで会ったことがあるような気がしてたんです。」




「本当ですか!? ・・でも、ごめんなさい。思い出せないんです。」



「僕も・・思い出せません。」



僕は必死に過去の記憶を手繰り寄せた。しかし、彼女の記憶はどうしても出てこない。

思い過ごしなのだろうか・・



「気のせいなのかな。でも私、あなたと話してるとなんだか懐かしい気持ちになるんです。」



驚いた。彼女は僕と同じことを考えている。



「本当ですか!?・・僕もです。」



彼女と目が合い、再び沈黙が訪れた。

心臓の鼓動が徐々に速くなり始めた。

そう言えば、さっきまであんなに緊張していたのに、彼女と話している瞬間は信じられないほど、落ち着いていることができた。初対面の女性と話しているとは思えないほど自然体でいられた。



沈黙を破ったのは彼女の一言だった。



「あの、お仕事何されてるんですか?」



「あ、飲料メーカーの営業です。」



「へぇ~なんか、かっこいい。確かに営業マンっぽいですね。営業って具体的にどういう仕事なんですか?」



瞳を輝かせ、興味津々な様子で見つめる彼女を前に、僕は仕事の話を力説していた。



「あっ、すみません。自分の話ばかりして。」




「いいえ、なんかすっごく真面目な方なんだなって思いました。 あの、、お幾つなんですか?」



「29です。」



「そうなんですか、もっと若いのかなって思いました。」



「そうですか?・・  お幾つですか?」



「二十歳です。」



「あぁ、若い。じゃあ、だいぶ離れてるんですね。」



「はい。ああっ 今日、そうだ。12時過ぎてるから、もう21歳です。誕生日なんです。今日。」






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ