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泡姫  作者: ネンブツダイ
第2章
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一人じゃない



「私が...彼のことを本気で...。違うよ。まだ、本気で好きになんてなってない。まだ、、」




「サキちゃん。もっと自分の気持ちに正直になってもいいんじゃないかな。」



私は再び目に涙が溢れてきた。



「ミキちゃん、私ね、怖いの。本気で怖いの。」



「怖いって..?」



私は目の前にいるミキちゃんに思いの丈を全てぶつけてしまった。




「私、自分に自信がない。彼が私のことを深く知ったら、離れていってしまうんじゃないか。嫌われちゃうんじゃないかって。。


自信がないの。女としての自信が、んんん、人間としての自信がないの。今まで、どうせ私なんか何やってもダメって思いながら、生きてきたから。


もし、本気で彼を好きになって、それで嫌われたら、深く傷ついてしまう。それが死ぬほど怖いの。好きな人に嫌われるのも、自分が傷つくのも絶対嫌なの。


今なら、まだ間に合う。今なら彼のこと忘れられる。これ以上深く関わらなければ、傷つかなくて済む。だから、、もう忘れたほうがいいの。」




その瞬間、ミキちゃんの手が私の方に伸びた。彼女は指で優しく私の涙を拭い、じっと私の顔を見つめた。




「サキちゃん、ホントバカ。サキちゃんみたいに優しくて、性格がいい人どこにもいないよ。誰もサキちゃんのこと嫌いになんかならないんだから。


それに誰だって自分に自信なんかないよ。好きな人に嫌われるのも、傷つくのもみんな怖いよ。


でも、それを怖がってたら、恋愛なんかできないし、、、傷ついたっていいじゃん。それで、自分が少しでも成長できれば、それでいいじゃん。私、いつもそばにいて、サキちゃんの支えになるから。」



彼女の言葉が、心に響いた。私は今、一人じゃない。



今まで経験したことのない‘恋愛’っていう大きな壁に立ち向かうのはすごく怖いけど、私には力になってくれる友達がいる。



なんだか、勇気が湧いてきた。



「ミキちゃん、ありがとう。私、逃げないで頑張る。」



「うん、頑張ろ。」




「でも、ミキちゃん。これから、私どうすれば、いいかな。」




「その彼は、サキちゃんが逃げ出したことで、たぶん傷ついたと思う。でも、必ずまたお店に来ると思うよ。」



私が佐々木さんを傷つけた...。



確かに、私が彼の立場だったらって考えると、、、



私とてもひどいことしちゃった。



「私、やっぱり電話して、謝った方がいいかな。」




「んん、、サキちゃん、次彼がお店に来るまで、待った方がいいと思う。彼がどれだけサキちゃんのこと想ってるか、それもすごく大事だと思うの。


サキちゃんにバーで逃げられて、それでも彼がサキちゃんのことを想って、会いに来るってことがすごく重要な気がする。」




「また、来てくれるかな、、」




「来る。彼もたぶん、サキちゃんのこと、好きだと思う。」




「え! うそ!? どうしてそんなこと分かるの?」




「サキちゃんの話聞いてると、なんとなくそんな気がする。もし、彼がまた来てくれたら、逃げ出した本当の理由を彼に話してもいいんじゃないかな。」




「え! でも、そんなこと話せないよ」



「大丈夫。話せば彼も納得してくれて、いい方向に向かうと思うよ。」



「んん、、そっか。。分かった。もし、来てくれたら、そうする。」




今日、ミキちゃんに相談して本当によかった。



心の奥底から勇気が湧いてきて、前向きに頑張ろうって気持ちになれた。私には応援してくれる友達がいる。今までの後ろ向きな自分に別れを告げて、逃げずに正面からぶつかってみようと思う。




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