相談
あの出来事から一夜明け、案の定、私は後悔の念に苛まれていた。
なんで、逃げ出しちゃったんだろう・・
せめて、挨拶して、何か話せばよかった。
後悔しても、もう遅かった。
これから、どうしよう。
電話では、佐々木さんは来週もお店に来てくれるって言ってた。
でも、その後、私が逃げ出したから。。
もう、来てはくれないだろうな・・
はぁ~。
私なんてことしちゃったんだろう。
佐々木さん・・ また、会いたいよ
突然、携帯が鳴った。
メールだ。
ミキちゃんから。
「おはよ 今日昼の仕事休みだよね? これからお昼ごはん食べに行かない?」
ミキちゃんに相談したい。
私、一人じゃ、どうしたらいいか分からないから。
PM 1時
池袋駅 西口
「さきちゃん お待たせ」
「あっ ミキちゃん 」
私たちは、ちょっとオシャレな感じのしゃぶしゃぶの店に入った。
「ここ、前から行ってみたかったんだ。ごめんね、急に誘って。」
「大丈夫だよ でも、ミキちゃん。今日これから仕事だよね? 」
「でも、夜からだから、大丈夫。 あっ、そうそう、サキちゃん あれから、あのお客さん・・どうなった? ずっとそればっかりが気になってって・・」
「!! ・・・うん。 そのことで、ミキちゃんに相談したくて。この後、ちょっとだけ時間もらえない?」
「いいよ 何でも相談にのるよ ・・・ってことは、何かあったんだ! ・・うれしい 私に相談したいって言ってくれて・・」
「ミキちゃんにしか、話せないから・・ 。。 後で、話すね 食べよっ 」
「うん。」
食べ終わった後、私たちは喫茶店に入った。
そこで、私は昨日の出来事を彼女にすべて話した。
彼が店に来てくれたこと、
リストカットの傷を見られたこと、
彼にもリストカットの傷があったこと
プレイ時間中、ずっと抱き合っていたこと、
連絡先を教えたこと、
真鶴の海で彼が私の手帳を拾ったこと、
電話で話したこと、
バーでばったり会ったこと、
私が、恐怖のあまり逃げ出してしまったこと・・
すべてを話し終えた私は、自分が泣いていることに気付いた。
「あ、あれ? ごめんね。。」
ミキちゃんは優しい笑顔で、自分のハンカチを私に手渡した。
「ありがと」
彼女は私の顔をじっと見つめながら、言った。
「すごい、。信じられない・・ そんなに奇跡的なことばっかり。。 きっとその人はサキちゃんの“運命の人”だよ 」
彼女のその言葉で、私はさらに涙を流した。
「でもね、ミキちゃん 私、ダメだよ。お店の外で彼のこと見たら、本気で怖くなっちゃって。。逃げ出しちゃったんだよ。。」
その後、彼女が発した一言に、私はとても驚いた。
「それは、サキちゃんが本気で彼のこと好きになっちゃったからだよ」
「えっ!!」