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泡姫  作者: ネンブツダイ
第2章
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彼からの電話



佐々木さんが帰った後、お客さんはいなかったので、この日の仕事は終わりになった。




着替えて店を出た直後、携帯が鳴った。




誰? 知らない番号・・




私は電話に出た。




「はい。」




・・・




・・・




間違いかな? それとも、いたずら?





「もしもし・・ もしもし・・」





・・・



・・・






「こんばんは、あの、佐々木と言います。」




!!! 





「えぇっ! 佐々木さん? うそぉっ えっ どうしよ・・」




うそっ、彼から電話!!? うそでしょ!? 何を話せばいいの?




落ち着いて、




とにかく冷静にならなきゃ




受話器の向こうから、彼のやさしい声が聞こえてきた。




「あ、先程はどうも、ありがとうございました。」




私は動揺しながらも、平静を装い返答した。




「えっ、いえ、こちらこそ、ありがとうございました。」








「・・あのっ、すみません。遅い時間に。しかも、突然、お電話してしまって・・今大丈夫ですか?」



「あっ・・はい。大丈夫です。 お店終わって、外にいますから。 連絡くれるなんて、うそみたい・・信じられません、うれしいです。」







「手帳のことで、お話が。」



「あっ!! そう、あの・・どうして佐々木さんが私の手帳を?」







「先週の5月7日の夕方、真鶴の海で、あなたらしき人が手帳を落とすのを遠くから見かけて・・」



「えぇっ!・・ あの日、真鶴の海にいたんですか!?」








「はい。浜辺にいました。ただ、落とした手帳に挟んであった名刺を見るまでは、あなただとは分かりませんでした。」




「ぇ・・・・・   偶然、、・・ですね。」





うそでしょ? 彼もあの時、真鶴にいたの? 信じられない。偶然すぎる。。







「はい、僕もしばらくの間、信じられませんでした。」




「・・・・ こんなことって・・あるんですね・・」






「ええ、偶然、、というより奇跡に近いかもしれませんね」



「はい、、、、ホントですね・・・  あ、あの、その、なんというか、また・・会えますか?」





やだ。私、何言ってるんだろ!?  はしたない女だと思われちゃう。。





「 ・・ また、会いたいです。あの、来週、またお店に行きます。その時また詳しく話します。」




「え!、お店・・ お店じゃなくて・・その、、んん。・・・・待ってます。 来週、お店に来てください」







「はい、必ず行きます。今日は遅いので、これで。 なんか、すみませんでした。」




「いえ、電話くれて嬉しかったです。」







「じゃ、おやすみなさい」



「はい。おやすみなさい」






うそみたい。電話・・しちゃった。彼と




うれしい。さっそく連絡くれるなんて。




来週、また来てくれるんだ・・




すごい。




また来る? 彼が?




これは夢?




私、これからどうすればいいのかな?





ミキちゃんに相談したいな。




本当にうれしい。




もう12時を過ぎているというのに、歌舞伎町の街は相も変わらず、賑わっている。




なんだか、世界が変わったように感じた。




いつもの見なれた風景なのに、




なんだか、街を歩いてるだけで楽しい。




私はとてもうれしくて、なんだか1人で飲みたくなった。





ふと目に留まった小さなバーに吸い寄せられるように入っていった。




不思議。




1人でバーに入ったことなんて今まで一度もなかったのに。





・・・




お客さんが1人だけ・・




もう閉店かな・・?





「いらっしゃいませ」




「あの、ここ何時までやってますか?」




「朝の5時までやってますよ」




「あ、よかった」





・・・



「・・ すみません。マティーニください」




「かしこまりました。」





カウンターの一番奥に座っている男性がこっちを見ている。。





んn? ・・・





え!!





「ええっ!!!!、うそっ!! 佐々木さん・・!?」

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