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泡姫  作者: ネンブツダイ
第2章
34/44

夢の少年


夕日の光で、宝石をちりばめたようにキラキラと輝く海。



空も砂浜も、夕日の色に染められて、まるで物語の中のような幻想的な世界が広がっている。



幼い少女は浜辺に体育座りをしながら、こうべを垂れ、膝に絡めた腕に額をピッタリとくっつけて、眩しさを凌いでいる。



その少女は私。



隣には、一人の少年が座っている。



この人は誰なんだろう。



幼い私は、隣にいる少年に向かって、話しかけている。







・・・・






はっ。




カーテンの隙間から漏れる光で目が覚めた。



私は小さい頃から、毎日この夢を見続けている。



今日は途中で目が覚めちゃったけど、この夢には続きがある。



どうして私はこの夢を毎日見るのだろう。



分からない。



それに、隣にいる少年は誰なの?



夢の中で、私は彼の名前を呼んでいる。



その名前に聞き覚えもない。




物心ついたときから、ずっとこの夢を見ている。



でも、苦痛ではない。



いや、むしろ、この夢を見ているときは幸せ。



辛いことがあっても、この夢があるから、私は頑張れる。



隣にいる少年に会うことが、私の一番の癒し。



私はもしかしたら、子供のころから毎日夢の中で会っているこの少年に淡い恋心のようなものを抱いているのかもしれない。



誰だかも分からない。実在すらしない少年に。






午後1時 



私は家を出て、銀座に向かった。



誕生日にはいつも、銀座のKID-Gというお店でクッキーを買う。



いや、誕生日以外でも、しょっちゅう買ってるけど。




でも、ホント偶然。



昨日のお客さんはここのクッキーを持っていた。



ダメっ。



思い出しちゃダメ。



彼のことは忘れなきゃ。





・・





お母さんに聞いたことがある。



私は小さい頃から、だだをこねたり、わがままを言ったりしない子供だったらしい。



でも、4歳の時、お母さんとこの店の前を通りかかった時、私はしゃがみこんで、ここのクッキーをねだったという。



それから、私はここのクッキーが好きになった。




買い物を終えた私は、電車に乗った。



行先は、神奈川県の真鶴。







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