初経
「ミキちゃん、そろそろ帰ろうか」
「うん、そうだね。」
「私トイレ行ってくるね。」
「うん、先に外出てるから。」
「うん。」
トイレに行った私は信じられないものを目にした。
やだっ! 何これ!?
血!!?
怪我なんてしてないのに・・
これって、まさか、生理!?
トイレを出た私はミキちゃんのもとの走り、事の次第を話した。
「たぶん、生理だと思う。私のナプキン貸すね。」
「生理・・! うそっ 私が・・」
「きっと、そうだよ。サキちゃんの体、ちょっと遅かったけど、やっと準備が整ったんじゃないかな。」
「信じられない。生理なんてもう来ないって思ってた。月曜日病院行ってみる。」
「サキちゃん。おめでとう。」
「ちょっと、まだ分かんないよ。生理かどうかなんて。」
「きっとそうだよ。 今日のサキちゃん。今までと全然違ってたもん。彼に出会ったからかもね。応援するからね。」
「ちょっと、ミキちゃん。」
私が生理・・ 本当に信じられない。
居酒屋を出て、ミキちゃんとお別れした。
ビルとビルの隙間から顔を出していた朝日の眩しさに、思わず顔をそむけた。
その光はまるで私を祝福するかのように温かくて、眩しいものだった。
私は手帳を開き、5月7日の欄に“ キセキ♡ ”と記した。
まだ生理かどうか、分からないのに。
いや、きっと生理。
・・・
会いたい
また、あの人に会いたい。
でも、考えちゃダメ。
忘れなきゃ。彼がもう一度来るなんてあり得ないんだから。




