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泡姫  作者: ネンブツダイ
第2章
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苦悩

「これから話すことは結構重い話だから、引いちゃうかもしれないけど、あまり気にしないでね。」




「うん、どんな話でも大丈夫だよ。」


        


「私ね、実は・・今まで一度も生理が来たことがないの。」




「えっ、 本当に!?」




「うん、本当に。 それで、15歳の時に病院に行ったんだ。」




・・・・




私は21歳の今日まで一度も生理がない。原発性無月経と診断されたものの、詳しい原因は未だに分からない。お医者さんからは、もしかしたら精神的なことが原因なのかもしれないと言われた。確かに、私は普通の女の子とは何かが違っていた。


実は、私は今まで一度も人を好きになったことがない。本当に一度も。男性と接してもかっこいいとか、いい人だなって思うことはあったけれど、“好き”っていう感情に至ったことはない。

思春期に周りの人が異性を好きになっていく中で、私だけはそういう感情を抱くことは一切なかった。




周りの友達は異性の話や恋の話をよくしていたが、私は無理して周りに合わせているだけだった。

年齢が進むにつれ、Hの話がではじめた時、私はどうしてもそれについていくことができなかった。

一人取り残されたようで、猛烈な寂しさと孤独感を味わった。



周りの友達との明らかな温度差に絶望し、私は登校拒否をした。他の女の子との違いにもがき苦しみ、何度も手首を切った。睡眠薬を飲んだこともある。結局、行きついた先が風俗だった。




私が風俗で働いているのは、お金のためではない。女であることを実感したかっただけ。お客と肌を重ねてもまったく何とも思わない。どんな人が相手でもお客さんを異性であるとすら感じない。ただ機械的に行為を行うだけ。ただ、気持ちが全く伴っていなくても、同世代の女の子がしている、身を焦がすほどの恋愛の延長にあるその行為を自分もしているってだけで、なんとなくだけど、自分も女なんだって実感できるような気がした。


15歳から今日まで、産婦人科と心療内科に通い続けているが、未だに生理はないし、異性に恋愛感情を抱くこともない。




このことを話し終えると、ミキちゃんの表情は明らかに強張っていた。




「そうだったんだ・・ 」




ミキちゃんは話が重大過ぎて何を言ったらいいか、分からない様子だった。




「ミキちゃん、話聞いてくれただけで、私うれしいよ ありがとう」




「力になるから。何でも言って。」




「ありがとね」




私はこの後、ミキちゃんに最後のお客さんに抱いた不思議な感情について相談してみた。









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