変身
足の爪を切るのに、やたら時間がかかった。
前は何も考えずに、パチン、パチンで終わっていたのに、
今日は角度を変えて、少しずつ、慎重に。
どうやら巻き爪らしい。
痛いほどじゃない。
でも、無視できるほどでもない。
そこでふと疑問に思った。
いつから、私は自分の身体をこんなに気を遣いながら扱うようになったんだろう。
思い当たることは他にもある。
ちゃんと保湿しているはずなのに、乾燥がすごい。
お風呂上がりに塗って、朝も塗って、
それでも夕方には、かさついている。
昔は、
何もしなくても平気だった。
少なくとも、こんなに
「手入れしている感」はなかった。
老いた、というほど大げさな話じゃない。
壊れた、という感覚とも違う。
ただ、前と同じ扱い方では、追いつかなくなっただけ。
たぶん私は、
身体が変わったことよりも、
何も考えずに使えていた頃が終わったことに、少し戸惑っている。
でも考えてみれば、
時間がかかるようになったのは、
身体が弱ったからだけじゃなく、
雑に扱えなくなったからかもしれない。
爪は、急がずに切る。
肌は、乾く前に気づいてやる。
今日のところは、
「面倒になった」と思う代わりに、
「付き合い方が変わった」と咀嚼しておく。
たぶんそれくらいの距離感が、
今の私と、この身体にはちょうどいい。




