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怠惰

今日は7の丘だ。

7の丘は7の街のはずれにある。


この街の人間はしょっちゅう寝ている。

店をやっていても、客に起こされるまで寝ている。

そんな街だ。


あとココはブラックマーケット が有名だ。

呪術の道具や盗品などヤバイ商品ばかり売っている。


7の丘は街はずれにあり、そこに行くには、ブラックマーケットを通らないといけない。

このブラックマーケットはスリが多い事で有名だ。

探偵にも言っておかないと。


「ねぇ探偵さん。この街のブラックマーケットはスリが多いから、財布とか、持ち物に気をつけてね」

オイラはそう言った。


「あぁそうなのか。注意しよう」

探偵は、荷物を厳重に管理しだした。


オイラはブラックマーケットに入る際の注意点をあげた。

そうしておかないと、このブラックマーケットを歩くのは危険だ。

探偵は大人だから平気かもしれないけど、オイラが巻き込まれるのは勘弁してほしい。だからちゃんと注意しておくことにする。


「あのね。探偵さん。このブラックマーケットはいくつか注意して欲しい点があるんだ」

とオイラは言った。


「そうか。ボウズがいうんだから、よっぽどなんだろうな。

わかった。

なんだ?」


「まず1番目はスリに気をつける」


「あぁそれはさっき聞いたから大丈夫だ」


「次は売っているものに気を取られないようにする」

とオイラは言った。

このブラックマーケットは異質すぎるからだ。


「そんなに魅力的なものを売っているのか?」

と探偵は言った。


「まぁ一部の愛好家には魅力的かもしれないけど、一般的にいうと、おぞましいものが多いかな」

とオイラは少し濁した。


「具体的に聞いてもいいか?」

と探偵は少し遠慮気味に聞いてきた。


「たぶん。一番驚くのは、動物や蛇などの死体や頭蓋骨、そういうものが売っている」

とオイラは言った。


「それは肉という意味じゃないんだよな」

と探偵は眉間にしわを寄せる。


「詳しい事は知らないけど、呪術や魔術の道具や、薬として使うみたい」

とオイラは言った。


「そうか。それは知らないとビックリするよな」

と探偵は納得した様子だった。


「たまにブラックマーケットのことを知らない人が商店主を残酷だと言ってもめ事になったりするんだよ」

とオイラはこの街の事情を説明した。


「そうか。たしかにな。怒るほうの気持ちもわかるし、商店主も生きるためにやっているわけだから、そりゃあ収拾がつかないな」

探偵は納得してくれたみたいだ。


「そうなんだよ。褒められたことじゃないかもしれないけど、買う側、売る側、怒る側にも、それぞれ事情があるから……」

オイラがそういうと、探偵はオイラの頭をくしゃくしゃにして


「お前は、味覚はお子ちゃまだけど、精神は大人より大人かもな」

そう言って笑った。


「あと次はね。このブラックマーケットの商品は盗品が多いんだ」

オイラはそう言った。


「ほう。そうなのか?」

探偵は少し興味を持ったようだった。


「そうなんだ。だから例えばなにか落としたり無くしたりするだろ、そしたらその翌日にこのブラックマーケットに来ると、その無くした品がここで売っている」

オイラはこのブラックマーケットの裏事情を探偵に教えてあげた。


「そんなの。盗まれたほうは怒らないのか?」

探偵は驚いた。


「そりゃみんな怒るさ。でもここのブラックマーケットの店主たちは客の持ち込みを買っているという体だから、なにも言えないのさ」

とオイラは言った。


「そうか、だから中古品を扱う店は、警察に届けを出すのが普通なのだろうな」

と探偵は言った。

何を言っているのか、さっぱりわからなかった。


(ぐぅ~)

お腹がなった。


「そろそろ飯にするか」

と探偵は言った。


しかし広場についたが、活気がまるでない。

どこの店も店主はいるが、ほとんど寝てる。


そして看板もないから、何屋かもわからない。


オイラ達は屋台の近くまでよって物色する。


探偵がある屋台の前で足を止めた。


「おい、起きろ。

おい、起きろ……。

起きないな。

あっ泥棒」

と探偵は言った。


「えぇつ、泥棒?どこだ」

と店主は飛び起きた。


「なに寝ぼけてるんだよ。なぁココはプリン屋だな」

と探偵は言った。


「あぁそうだ。0.05だ」

と店主は言った。


「じゃあ二つ、スプーンもくれ」

と探偵は言った。


「そこにあるから、勝手に使え。ありがと」

そう言って店主はふたたび眠りだした。


探偵はプリンというものをオイラに渡す。


なんかクリームパンのクリームみたいなのが固まって、ぷるんぷるんしている。


「なぁ探偵さん。

このプリンって言うのは、ぷるんぷるんしているから、プリンって言うのか?」

とオイラは質問した。


「さぁな。もともとプディングって名前だったのが、訛ったんじゃねぇか」

と探偵さんは言った。


オイラは恐る恐る食べてみた。

なんだこの甘い香りは?


「ねぇこの甘い香りは何なの?」

オイラは質問した。


「あぁそれは、バニラビーンズっていう植物のニオイだよ」

と探偵は言った。


プリンは口の中ですっと溶け、甘さが口の中で広がった。


あれなんか少しの苦味がある。

オイラは苦味は苦手だけど、この甘いのと苦いのが、上手くまとまって、調和している。


「探偵さん。これ美味いね」

そう言うと、探偵は少しうれしそうに笑った。


……


30分ほど歩いて、

オイラ達は丘守りの住む塔についた。


塔の周りはいたるところにゴミが転がっていた。


丘守りは、ぼーっと空を見上げている。


オイラは丘守りに話しかける

「こんにちは。丘守りさん。廃人ゲーマーの事知ってる?」


「廃人ゲーマー?

1Gだ」

そう言った。


1G を探偵が渡すと、


丘守りは、金を確認して、こう言った。


「白い聖杯だ」


「白い聖杯?それはいったいどういう事だ」

と探偵は尋ねる。


しかし丘守りは、なにも答えなかった。


白い聖杯とはどんな意味なのだろう。


探偵はオイラに言った。

「白い聖杯に心当たりはないか?」


オイラは首を振った。


探偵の表情はやはり曇っていた。


これが最後のヒントだ。

これで答えがわかるのだろうか?


そうしてオイラ達は7の街を出た。


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