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嫉妬

今日は3の丘に行く事にする。


3の丘も、3の街の中にある。


この街の住人はいつも人の事ばかり気にしている。

だから情報屋がとても多い。


みな伏し目がちで、キョロキョロしている。


前にこの街の住人と何日か一緒になったが

「お前はいいよな」

というのが口癖だった。


オイラからしたら、彼も十分恵まれていると思うけど。


そう言っても、

「そういう気持ちになれるところが羨ましい」

と返された。


悪い人ではなかったが、少々面倒くさいなとオイラは思った。


探偵が、

「これ知ってるか?」

とニオイのする袋を見せてきた。


「これは霊避け花だね。

これがどうしたの?」

オイラはそう聞いた。


「いや……、

知ってるかなと思って」

と探偵は言った。


なにか隠しているのか?

あっそうか。

霊の事が聞きたいのか。


「それは霊避け花っていって、この街の人間は多分……、

みんな知ってる。

だいたい買っているんじゃない。

オイラもそんな良いものじゃないけど持ってるし」

とオイラは言った。


探偵はなにか考えている様子だった。


「霊の事って気になるよね」

オイラは聞いてみた。


「まぁ怖いとかではないが、一応知っておいたほうが、なにかと……、

ほらここの住人の考え方とかを知るのに、重要かもしれないからな」

と探偵は言った。


う?ん困った。なにから話そうか。

この手の話は見える人と、見えない人ではずいぶん違うから。


「探偵さんは霊とか見たことがある?」

とオイラは聞いた。


探偵はしばらく考えて

「いや。多分ないと思う。

正確にいうと、霊を仮に見えていても、認識できていないと思う」

そう言った。


なるほど、うまい事をいうなって感心した。


「じゃあ、なんかゆらゆら動く影みたいなのは見たことある?」

とオイラは聞いた。


「ゆらゆら動く影?

わからないな。ここらへんにあるか?」

と探偵は言った。


この辺か……、

ふだんそんなに意識しないからな。

あっ……

あそこにある。


オイラはゆらゆら動く影の近くまでいった。

そして指をさす。


「ここに影が動いているの、わかる?」

そう聞いた。


「そこに?」

探偵は眉間にシワを寄せ、目をこらす。


「そんな見かたじゃ見えないよ。ちょっとボケっとした顔をして、ボヤっと見るんだよ」

とオイラは見かたを教える。


「こうか?」

と探偵は変な顔してこっちを見る。


「どう見えない?」

とオイラは聞く。


「ちょっと見えないな」

と探偵が言うので、


「じゃあこっちに来て」

と探偵を近くにこさせた。


「じゃあ霊避け花をここに持ってきて」

と探偵の手を引っ張った瞬間


「冷たい」

と探偵は手を引っ込めた。


「あっわかったね。これが霊の冷気」

とオイラは言った。


「いや……、しかし驚いた。

あれが霊なのか、

あれ……、

なんかゆらゆら動く影が見えるぞ」

と探偵は言った。


「あっそれが霊だよ。近くに霊避け花もっていってみて」

とオイラ。


探偵は霊避け花を動く影に近づける。


動く影は、霊避け花をさけるように動いた。


「ほう。これは面白いな」

と探偵は言った。


「最初はね。

面白いけど、結構迷惑だよ。

ここいらでは、寝てる時に霊が近づいて来て、冷気で住人を凍えさせて、命を奪うって言われているから」

とオイラは説明した。


「そうか……、だからどこでも霊避け花があるんだな」

と探偵は言った。


「そう。少し値段はするけど、虫除けのハーブみたいなものだよ」


そう言うと、探偵は納得したみたいだった。


……

オイラ達は街の広場に出た。

なにか美味そうなものはないか。

オイラはキョロキョロする。

広場の隅っこで、丸いなにかを売っているのものがいた。


「探偵さん。あれはなに?」


探偵は、身体を乗り出し、眉間にシワをよせる。


「あれはピザだな」

と探偵は言った。


「ピザというのは?」

とオイラは聞いた。


「そうだな。膨らみのないパンにトマトソースとその他の具とチーズをのせて焼いたものだが……

トマトソースとチーズを食った事がないのか?」


と探偵は言った。


「うん。蒸しパン、イモ、クリームパン、ホットドッグ」

とオイラは食ったものを教えた。


「あのホットドッグの赤いソースが

あったろ。あれはケチャップっていうのだが、あれに似たソースだ」

と探偵は答えた。


不覚にもヨダレがたれる。


さすが探偵、

オイラのヨダレを見逃すわけがなかった。

「じゃ行くぞ」

と探偵は言い、ピザの店に向かった。


「いらっしゃい」

店員があいさつをする。


「ピザはなにがある?」

探偵は聞いた。


「今日はベーコンとマッシュルームにチーズをたっぷり載せたピザだ」

と店員は答えた。


「わかった。

じゃあ、それを2人分、

あとサイダーも2つ貰おうか」

と探偵は言った。


サイダーってなんだ?

店員は瓶に入った飲み物を持ってきた。

「蓋開けとくよ」

と店員が言うと、


「頼む」

と探偵は言った。


(ぷしゅ)

その音とともに泡が瓶から出てきた。


「うわ。なにコレ」

オイラは聞いた。


「これはな。サイダーっていって、空気の入った水に砂糖を溶かした飲み物だ。

シュワっとしてうまいぞ」

と探偵は言った。


探偵は飲んでみろという顔をしていたが、昨日のカラシの件もあるし、まずは様子をみたい。


「探偵さん。飲んでみて」

とオイラは言った。


「そうだな。よし飲むぞ」

(ゴクリゴクリゴクリ)

「プファァー」

探偵は、そう言い、満足そうだった。


オイラも恐る恐る口にソーダを含む。


口の中をシュワシュワしたものが暴れる。

「探偵さん。これなにかいるよ」

オイラがそう言うと、

「これは空気の泡だ。泡が動く時にシュワシュワする。

その気持ち悪い感覚が癖になるんだ」

そう教えてくれた。


続いてはピザ を食べた。

こっちはホットドッグと味が似ていた。

ただチーズというのが、とても美味しかった。

また食べたいなと思った。


サイダーは始めはちょっと苦手だったが、しばらくすると泡も少なくなって美味しくなった。


慣れると癖になるのかもしれないと思った。


……

15分ほど歩いて、

オイラ達は丘守りの住む塔についた。


丘守りは、窓のスキマからこちらを見ている。


オイラは丘守りに話しかける

「こんにちは。丘守りさん。廃人ゲーマーの事知ってる?」


「廃人ゲーマー?

私はたいした事を知らない。

この通り惨めな老婆だからね」

そう言った。


「それでもいい。

丘守りさん。頼む。廃人ゲーマーの事を教えてくれ。礼はする」

そう探偵は言った。


「じゃあ1Gおくれ」

と丘守りは言った。


探偵は丘守りにお金を払った。


丘守りは、金を確認して、こう言った。


「北だ」


「北?それはいったいどういう事だ」

と探偵は尋ねる。


「廃人ゲーマーなら北。それは常識だ。シロクマの毛の色が透明というくらい常識だ」


そう言ったきり、なにも答えなくなった。


青い柱、赤い壁、そして北とはどんな意味なのだろう。


探偵はオイラに言った。

「北、赤い壁、青い柱に心当たりはないよな?」


オイラはないと答えた。


探偵の表情は少し険しくなっていた。


そうしてオイラ達は3の街を出た。


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