表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/61

●第十話 【竜眼】

「あ、すみません、あそこにもオトギリソウがあるので、ちょっと取ってきます」

「ええ、構いませんよ。でも、良く見つけられますね。私より視力が良さそう」

「ほんま、ようあんな遠くの、しかもツタの裏とかに生えてるのを、よう見つけるな。あそこ言われても、ワイには全然見えんかったで」


 自分でも視力がかなり上がったのが実感できる。これもこの黄金の瞳、『竜の瞳』のおかげだ。これって、治さない方がお得な気がしてきたな。


「久々津、その視力、やっぱりおかしいから、早めに『万能薬』を手に入れたほうがいい」

 晶が難しい顔でそんなことを言ってくるし。


「いやいや、『万能薬』は十五億円もしただろ。ちゃんと薬草も集めてるし、もう少し待ってくれ、晶」

「うーん。でももし、左目だけじゃなくて、顔全体が金色になったりしたら……」

「なんやなんや、リーダーはんのその左目って、カラコンとちゃうんか。えらい決めてる中二病やなぁ……って怖ぉてあえて触れずにおったんやけど」


 そう思われてたのか。黒のカラコンでも入れておこうかな。


「久々津さん、体調はどうですか?」

 二条が心配してくれた。


「ああ、まったく問題ないです。よく見えるくらいで。痛みもなし」

 時々、幻覚も一緒に見えているのだが、そこは晶を心配させたくないので黙っておく。


「ならいいけど……」

 晶が自分の責任を感じてか、心苦しそうに言う。


「気にしなくて良いよ、晶。さて、回収完了っと」


 立ち上がってみんなの方を見ると、新手の敵がいるのが見えた。


「マーモットがいます!」


 僕はすぐに警告する。

 マーモット、上野ダンジョンの東エリアではもっとも注意すべきモンスターだ。

 二本足で立つビーバーみたいな格好はむしろ可愛らしいのだが、こいつは【絶望の叫び】というスキルを持っており、これを聞いてしまうと、金縛りになってしまうことがある。単体では怖くないが、集団で現れたり、金縛りになったところをホーンラビットに襲われると重傷を負いかねない。


「うおっ、どこや。はよ片付けな」

「一時の方向と九時の方向にそれぞれいます。私は前方を。どなたか左をお願いします」

「よっしゃ、左はワイに任せたってや! ――赤き四元素の精霊サラマンダーよ、我が熱き魂の叫びに――」


「AHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH――!」


 マーモットが古手川が呪文を唱え終わる前に叫んできた。

 耳障りで猛烈な叫び声に、古手川は金縛りになってしまったようで、呪文の詠唱が途中でピタリと止まる。


「古手川さん! いけない、ホーンラビットが!」


 さらに左から、ホーンラビットが出てきた。まずいな。


「私が止めるわ」

「いや、晶、先にマーモットを」


 見ればマーモットは今にも再び絶叫しようと息を吸い込んでいる。

 させるか、止まれ!

 マーモットに向かってショートソードを振りかぶり駆け込みながら、にらみつける。


「AH!」


 止まった? まあいい。そのままショートソードを振り下ろし、厄介な敵、マーモットを片付けた。


『レベルが2つ上がりました。

レベル 5 久々津凪

STR 8+2

AGI 8+1

VIT 5+1

MAG 3

DEX 4

LUC 9

残りボーナス 4

次のレベルアップに必要な経験値 21』


な、なんだこれ? まるでゲームみたいな表示が、脳裏に浮かんでいる。


『【竜眼】がレベル2になりました。

 獲得済み:【夜目】【視力向上】【探知】【直感】【レア発見】【威圧】【赤外線】

 新たにに獲得:【察知】【鑑定】【推測】New!』


『ツリー:

土竜【突進】

風竜【羽ばたき】

炎竜【炎の息】

氷竜【凍てつく瞳】

水竜【メイルシュトロム】

雷竜【サンダーブレス】

白竜 ??? 

黒竜 ???』


「なん……これ? え? え?」


 目の前に現れるゲーム画面に困惑する。特にツリーの土竜や炎竜って、僕、これを選んだら、竜として進化しちゃうのだろうか? さすがにそれはいろいろと困る。スキルだけなら良いけれど……。


「クリア! 久々津さん、今、あなたはマーモットをその【竜眼】で止めたようですが、そんなスキルを?」

「久々津、何ぼーっとしてるの、マーモットの金縛りになった?」


 自分が呼びかけられていたことに気づいて、我に返った。


「ああ、いえ、そんなスキルは持ってなかったはずなんですが。大丈夫、金縛りじゃないよ。ちょっと変なステータスが見えただけ」


「ステータス?」


 晶のほうを見ると、


『レベル 7  里森晶

STR  9

AGI  9

VIT  5

MAG  6

DEX 10

LUC 8』


 こんな数字が顔の横に並んでいる。彼女のレベルは7で間違いないので、これは……ステータスが見えるスキルか!


 試しに二条を見てみたが、彼女のステータスはすべて???となっていて何も分からなかった。


「んん? 二条はん、【竜眼】ってどういうことや? ワイと二条はんは野良で、このパーティーとは初顔合わせやったんちゃうんか?」


「はっ! そ、そうですけど、なんだか竜っぽい目だなぁーって」


「そうか? まあ、竜と言われてみればなるほどそう見えるかもしれんが、ワイは猫の目に見えたで。でも……」


「ささ、次に行きましょう、みなさん! どんどん薬草を集めましょー!」


「んん? まぁ、そうやな。細かいことはええわ、調子ええし、どんどん行こか」


 ステータスの事は気になるが、今はダンジョンの中、あとにしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ