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カウントダウン

ハリーと邂逅したカノンだったが、アクシデントによりサタンに連れ帰ってもらう形で家の前に来ていた。

カノンは家には入らず、家の近くでサタンと話をすることにした。

『もう問題は無さそうだな』

「うん、もう大丈夫、それでさ...」

今までの辛そうな表情はどこかに消え、鋭い目つきでサタンを見上げる。

「さっきの何?どうせあんた知ってるんでしょ?」

『さぁな?よく分───』

「くどい!いい加減にして」

サタンの悪ふざけに本気でキレたカノンは、殴りかかる訳でも、掴みかかる訳でもなく、意外にも辛辣な言葉だけに留まっていた。

「今まであんなことなかった、視界はぼやけるし、魔術は使えなくなるし」

『まぁ...ただ事でないのは確かだな』

サタンはカノンの怒り心頭な態度に対し、ふざけず真面目に応えることにした。

『貴様ではなく貴様の母親の方が問題なのだがな』

「どういう事っ!?」

カノンの顔は一気に青ざめ、怒りの表情から一変して戸惑いの表情へと変わる。

『寝たきりだからなんとも言えんが...多分、死が近い、だから魔力の供給が途切れ途切れになっている』

「...」

当たり前のように口から出た死という言葉に、カノンの脳が理解出来ずに呆然とする。

「ちょっと...待ってよ...」

凛とした美しい声は震えていた。

「意味分かんないから...なんでそうやって嘘つくわけ?」

眼球に張った涙の膜は、より一層蒼の瞳を輝かせていた。

「どうせいつもの下らないおふざけでしょ?そうなんでしょ?」

細く伸びた白い腕は、異形の身体を力強く揺さぶっていた。

「なんとか言ってよ…嘘って言ってよ!」

求めた言葉は一向に発せられ無かった。

カノンの問いかけに、サタンは沈黙で答えを示していた。

「絶対に死なせない!ねぇ、いつまでに儀式を終わらせればいいの?」

『いつ死ぬかまでは我とて分からん、早いに越したことはないとだけ言っておこうか』

「なんでそう役に立たないわけ?確か次の13日の金曜日は…」

カノンはサタンそっちのけで、何かを確認するために家へ入る。

「おかえりカノン」

「ただいま」

祖母に対して愛想の無いぶっきらぼうな返事をし、カノンはカレンダーをめくり始めた。

「どうかしたのかい?カレンダーなんかめくって」

「いや別に、修学旅行っていつだっけって思って」

「そういえば今年は修学旅行に行くんだっけ?楽しんできなねぇ」

「うん」

(9月か...12月に儀式をやるつもりだったけど仕方ない、でも終わらせられるかどうか...)

カノンの頭は完全に儀式のことでいっぱいだった。

学校の行事など何処吹く風と言わんばかりに。

置いてけぼりを食らったサタンは、全てを見下すかのような嫌な笑みを浮かべていた。

『人間はなぜそこまで数字に拘るのか...666然り、13日の金曜日然り、儀式には不必要だというのに、キリストよ、お前はどう思う?』

今は亡き仇敵に、サタンは帰ってこない問いを投げるのだった。


一方で、ハリーもカノンと同様に新たな動きをしようとしていた。

(もう少し時間をかけるつもりだったがやむを得ないな...)

ハリーはRINEの画面を開くと、魔白にメッセージを送るのだった。


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