表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/42

裏内 薫

「明日から夏休みなわけだけど、ハメ外しすぎんなよー?てわけでホームルーム終わりー」

生徒達は1学期最後のホームルームを終え、いつも以上の騒がしさを見せる。

魔白はそんな中で1人、友人に書類を渡すために下校しようとしていたそんな時だった。

「よっとー」

「うおっ!?」

後ろからの衝撃に思わず振り返る。

「なんだ涼太かよびっくりさせんなって」

「俺もいるぞ」

見慣れた2人、涼太と達也がそこにはいた。

「徹、結局学校来てなかったな」

「普通に風邪だって」

「やっぱそうなんか」

達也の問いに魔白が簡潔に答える。

「2人は部活?」

「ったりめーよ!でも徹がいねーとバスケ部盛り上がんねーんだわ、あいつ1番上手いし」

「そこまでなんだ」

徹と同じのバスケ部に所属している達也の持ち上げ様に、少し笑いながらも相槌を打つ。

「確か小学生の時からバスケやってたんだよな?」

「うん、体育の授業でバスケする時とか1人でバカスカ点取ってた」

今度は涼太の問いに対して答えを返す。

「涼太の方はどうなわけ?陸上ちゃんとやってっか?」

「やっとるわ!達也と違ってな?」

「はー?なんだお前やるかー?」

「元気だね君達」

相変わらず下らないやり取りをし、気づくと下駄箱の前にたどり着いていた。

「じゃーなー」

そうして友人2人と別れ、魔白は今日欠席していたもう1人の友人の元へ向かうことにした。


その背に1匹の黒い蝶がとまっているとも知らずに。


下校がてら徹の家に行く旨をRINEで本人に伝える。

帰宅してRINEを開くとあざ、待ってるという文が送られていた。

(RINEすぐ返ってきたし、そんなに心配しなくてよさそうかな)

そして、着替えるのは面倒だと学生服のまま、自転車で徹の家へ向かう。

アオンモールを少し過ぎた所で右に曲がり、数分自転車を走らせると徹の家がある。

そして魔白は呼び鈴を鳴らす。

「魔白でーす」

「待ってた、今鍵開ける」

数秒と待たずに徹がドアを開いて、魔白を家の中へと招き入れた。

「いやー悪ぃなまじで」

「この件は貸しにしちゃおっかな〜?」

「それ病人に言うセリフじゃねぇからな?」

「冗談だって、風邪は大丈夫そうなん?」

「もう大分良くなったわ、で、プリントは?」

「はいこれ」

魔白はカバンからプリントの束を徹に渡した。

「センキュー、ありがとな」

「どういたしましてっと、じゃあ俺帰るわ」

「早くね?折角来たんだしもうちょいいてもいいんだぜ?」

立ち上がって帰ろうとする魔白を、徹が呼び止めた。

「つっても別にする事ねーしなー、病人とゲームしますってのもあれだし...」

「変に気ぃ使うじゃん、お前そんなんだったっけ?」

「なんだよそれ、人は常に成長するもんなんですー!」

「はいはい」

軽口を交えた会話は一旦終わりを迎えた。

そして、ほんの少しの沈黙の後に徹の顔は険しくなっていた。

「...あのさ」

「ん?」

「あー...ん、いや、なんでもない」

徹は頭の中で色々考えた結果、言葉にしようとしてやめたのだ。

しかし、魔白はそれを見逃すほど、徹との友人としての歴は短くなかった。

「なんだよ気になるなー、なんか悩み事?」

「いや...その...進路を変えようかなって思ってさ」

「え!?そうなの!?」

「やっぱ俺勉強よりもバスケの方がしたいなって思ってさ、だからバスケが強い大学に行きたくてさ」

「まじかー...でも徹だったら絶対いけるでしょ!」

「でも...うちの親がなんていうか分かんねーんだよな」

「あ、そっか...」

徹の両親は上場企業の会社に勤めるエリートであり、自分の息子に並々ならぬ期待を寄せていた。

徹は親の期待を取るべきか、自分の意思を取るべきか悩んでいた。

魔白を呼び止めたのは、この事を誰かに伝えて安心したいという思いからだった。

「まぁ結局は俺がどうにかするしかないけどな」

「...俺応援するから」

翳りの見える友人の下手くそな笑顔に、魔白は心の底から出た不器用な言葉をそのまま伝える。

「ありがとな」

「ん、じゃあ俺今度こそ帰るわ」

「OK、まじでありがとな」

「気にしなさんな、じゃあな」

「じゃあな」

本来の目的+αを終え、魔白は帰宅する、つもりだった。

ふと、道中のアオンモールで帰る足を止めた。

(金曜日は黒魔さんいないよな...)

カノンは先日火曜と水曜に占いをやっていると魔白に伝えていた。

書店にいないのは分かっていたが、なんとなく確認したくなった魔白はアオンモールに入っていった。

書店に辿り着いた魔白は、奥の占い屋を確認する。

すると、黒いローブを被った人間がそこにいた。

(あれ?今日金曜日で合ってるよな?)

魔白はカノンだと思い込み、黒いローブの人間に話しかける。

「黒魔さん?今日占いやってたんだ」

しかし、黒いローブから見えたその顔には、カノンの面影を全く感じなかった。

「今日はクロちゃんの日じゃないよ」

「え?」

年齢は70代ほどで、皺のある顔つきと低くワイルドな声を持った女性がいた。

「なんだ学生さんじゃないか、今日は変な客ばっかだねぇ」

「あぁ、あのごめんなさい間違えました」

魔白は即座にその場を去ろうとした。

「待ちな坊や」

「へ?」

しかしその女は、魔白のことを何故かその場に留まるよう伝える。

「あたしは直感ってのを信じてるタイプでね、なんだか坊やのことが気になるんだよねぇ」

「えっと...」

「まぁ座りな、この老婆と少しばかり話しようや」

「帰ってよろしいでしょうか...」

形容し難い危険な雰囲気を感じた魔白は、撤退しようと試みるも、無言でこちらを見る鋭い眼光に押し負け、話をすることになった。

「私は裏内 薫、まぁ見ての通り占いやってるよ」

裏内 (うらないかおる)と名乗ったその女は、舐め回すように魔白を見つめる。

(早く帰りたい...)

魔白は断ることの出来ない自分を悔いるのだった。

新キャラー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ