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白魔術III

僕は今舞台の上にいる、観客は大勢、タキシードも蝶ネクタイもばっちり!シルクハットもしっかりある、よし!

「レディースアンドジェントルメーン!!皆様今日は私のマジックショーに来て頂きありがとうございます、是非斉藤魔白のマジックショーに最後までお付き合い下さい!」

フー!フーフー!ピューイ!

沢山の歓声が聞こえる…

「では最初にちょっとした手品を、今私の手には何もありませんね?瞬き厳禁でご注目!なんと虚空からステッキが!現れたではありませんか!?」

おぉ〜パチパチ

「ありがとうございます、ではお次はこのシルクハットにご注目、帽子の外にも中にも何もありませんよね?よく見て下さい、何もありませんね?なんとステッキを叩くと...はい!あら不思議花束が出てくるんですね〜、ではそこの貴婦人にプレゼントを」

おぉ〜パチパチ

「あら、綺麗な花束をありがとう」

「お気に召したようで何よりです、貴方にピッタリですよ、ではこの不思議なシルクハットからもっと面白いものを出してあげましょう!私の赤いハンカチを被せると...なんとハトがいるではありませんか!?」

おぉーー!パチパチ!フーフー!ピューイ!

「おや、飛び立ったと思ったら私の肩にとまりましたね、この子私の肩が大好きなんですよ」



「...ろくん!魔白くん!」

途端、聞き慣れた声が聞こえる。

「なんですか!今いい所なのに!」

「白魔術で鳥が作れてる!目を開けてみろ!」

「え!?…って何もないじゃないですか…」

待望の台詞に目を開け、確認してみるが掌に鳥の影など微塵も無かった。

「違う、肩を見てみろ」

「肩?...うわっ!いた!」

掌ではなく、肩に白魔術で形作られたハトがいた。

「ようやく成功したんだー!」

時間がかかった分、成功した喜びが大きかったのか、魔白は兎のように飛び跳ねながら喜んでいた。

「ハトー!お前に会いたかったぞー!ってあれ?いないし」

「まだ白魔術を長時間持続するのは難しいということだな」

「そんなぁ〜」

「でもこれは大きく前進したと言っていい、今ので白魔術を扱う際のイメージがどういうものか分かったんじゃないか?」

「結構分かったと思います!」

「とりあえず、今の所はこれを繰り返して、白魔術を素早くイメージ通りの形にするのが目標だ、時折ハト以外でやってみるといいかもな」

「素早くってどれくらいですか?」

「こんなもんだな」

そう言ってハリーは、1秒よりも早い速度でハトを作り上げた。

「あはは...」

乾いた笑いしか出ない魔白に、ハリーは更に格の違いを見せつける。

「こういう事も出来るぞ?」

魔白から少し距離を置いたハリーは、ハトを握りしめ、魔白目掛けて豪速球で飛ばす。

「え、ちょっ...」

ハトは魔白にぶつかったはずだが、何かが当たる感触は全くなかった。代わりに、ハトが当たったはずの部位から、温かい何かを感じた。

「今のは...?」

「あのハトが君に当たったら、君の魔力に変換されるようにしたんだ」

「そんな器用なことができるんですね...」

「まぁ頑張ればこういう事も出来る、とりあえず今は───」

「白魔術を素早くイメージ通りの形にする、ですよね?」

ハリーの言葉を先読みし、セリフを奪う魔白だった。

「ああ、とりあえず今日はここまでにしよう、もう5時過ぎで暗くなってくるしな」

「はーい、あ、そういえばRINE交換しません?」

「いや、別にそういうのは...」

ハリーは仕事の連絡以外でRINEはあまり使わないタイプだったので、魔白の申し出を断った。

「えぇ〜...白魔術がどれくらい上達したかとか報告しようかなって思ってたんですけど...」

「そういう事か...確かにそれは大事だな、分かった」

「やったーあざーす!」

ハリーは掌を返すように、先程とは真逆の行動をとる。

そして、そんな大人の思惑に気づくことも無く、魔白はRINEの交換を行った。

「じゃあ気をつけて帰れよ!」

「はーい!今日はありがとうございました!」

魔白とハリーは、ある種の師弟関係を築いたのだった。

(斎藤魔白...サタンの行動を見るにカノンのキーパーソンなのは間違いない...最大限利用はするつもりだが、逆に変に首を突っ込んで邪魔になる可能性もある...どう扱えばいいものか...)

仮初の師弟関係を築いたハリーは、1人今後の事を考えていた。


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