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交錯

ハリーは仕事を終え、家へと帰る途中だった。家に繋がる夜道には誰もおらず、ただ1人足音を鳴らす。

(黒魔術は不幸の連鎖を招くとあれだけ忠告したのに...断ち切るには絶やすしかない...たとえローズの娘であってもだ...)

瞬間、静かな夜闇の中を超高速の何かが頬を掠め、ハリーの皮膚を薄く裂く。

脳が動く前に、身体から発せられた危険信号が次の動きを決めていた。

ハリーが右腕を突き出し、正面に白金の五芒星が描かれた障壁を展開する。それと同時に、稲妻のような音が辺りに轟き、モノクロの閃光を放つ。

「Shit!腕が...」

今の一瞬で、ハリーの右腕は力無くぶら下がるだけのお荷物になってしまう。

『人間にしては大したものだ』

「誰だ!?」

低い声と高い声を同時に鳴らしながら、暗闇から姿を現したのは、黒山羊の頭と下半身に人間の上半身をくっつけたような、異形の怪物だった。

『白魔術を使う貴様なら、この姿で分かるだろう?』

「バフォメット...いや、サタンと呼んだ方がいいか...」

『好きな方で呼べ』

「何の用だ!直々に殺しにでも来たのか?」

『人間とは殺す価値の無い、愛すべき存在だ、大体殺すつもりなら最初の一撃で仕留めている』

ぐうの音も出ない正論だと、無情にも頬から垂れる鮮血がそう告げる。

「だったら何のつもりで───」

『挨拶だ』

察しが悪いとばかりに冷ややかな視線をサタンは送る。

『物語の重要人物には、挨拶をするべきと思っただけだ』

「ふざけるなッ!」

ハリーはサタンの口ぶりに苛立ちを覚え、残った左腕で眼前に魔法陣を描き出し、そこから無数の光球を敵目掛けて放つ。

『我は命を宿したこの青い星が好きだ』

ハリーの放った全ての光球は、独白を行うサタンと共に爆発することは無く、サタンの数十cm手前で動きを止める。

『なればこそ!我ら悪魔を介さない魔術で、この大地を穢すことは許さん、この大地を穢すのは我ら悪魔の特権よ』

余りにも傲慢すぎる演説を終えると同時に、周りの光球はその輝きを失い、闇となって虚空へと消えてしまう。

『ではさらばだ、貴様は貴様のやるべき事を全うすればよい』

挨拶はもう済んだとばかりに、サタンもまた闇となって消えていく。

ハリーは自分の無力さに呆然と立ち尽くすしかなかった。

おま○け的なストーリーだけど結構大事な場面的なヤーツ

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