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返り咲く日常

魔白本人が寝不足である以外は、何も変わらない朝だった。登校する際に、昨日不審者と出会った辺りを確認する。

「何も無い...」

何も残されてはいなかった。"その瞬間"は目撃していなかったが、あの場に居続けたら"殺人現場"を目の当たりにしていたという想像で、魔白は震えが止まらなかった。

「いや、本当に何も無かったかもしれないし...はは、は」

虚しい自己暗示をかけながら、魔白は学校へと向かう。


「よーっす魔白ー!ってお前どした?顔色悪いぞ?」

「あー...寝不足的な?」

「さてはモンスポやってたかー?お前ハマると一生やってるもんな」

「あー...そんな感じ」

(昨日の事言ったところで誰も信じないよな...)

「なんか結構マジでやばそうじゃん…具合悪かったら休めよ?」

「わーってるって!てか徹が心配するとか気色悪いっての!」

「はぁー?あーあ心配して損したー!」

ほんの少し友人の優しさを感じながら、それを軽口で流しつつ教室に入る。


「魔白くん、これ」

昨日は聞くことが出来なかった声だ。

「黒魔さん!日誌ありがと」

「昨日は連絡し忘れててごめんね」

「いや大丈夫、特に困った事なかったし」

「そっか、そういえば魔白くんって部活に入ってないって言ってたよね?」

「うん、そうだよ」

「なんか部活以外で───」

「はーい皆席着けー!ホームルーム始めるぞー!」

話題を出そうとしたカノンだったが、担任の先生(さきお)に図らずも遮られてしまう。

「先生来ちゃった...放課後に話の続きしよっか」

「うん...」

(何話したかったんだろ?)


「おーし帰りのホームルーム始めるぞー、おい魔白ー!もうすぐで終わるんだから寝てるなー!」

「はいっ!?」

寝不足が祟り、ついつい瞼が閉じてしまう。今日の魔白は常に、隙あらば居眠り小僧となっていた。

(皆に笑われてるし...恥ずかしい...)

しかし、瞼が開いていたとしても人の話を聞く耳は持っていなかった。

(結局昨日のあれはなんだったんだろ...あの黒い奴が刃物っぽい物を持ってたのが気になるし、なによりなんで急に家の外から家の中に移動してたのかも不思議だし...)

「というわけでホームルーム終わり!部活行ってこーい!」

先生の声で我に返った魔白は、当番日誌をカノンに手渡しに行く。

「黒魔さん、当番日誌」

「ありがとう、そういえば朝の話の続きなんだけど」

「あーそういえばなんか聞こうとしてたね」

「うん、前に部活に入ってないのは趣味があるからって言ってたけど、その趣味って何かなって思って」

「あーっと...その...聞いても別に面白くないよ?」

「そう言われると余計気になる」

「いやー...動物を見るのが趣味で...動物園とか水族館によく行くんだよね」

「動物園とか水族館...あっははっ」

「笑う事ないでしょ!?」

「ごめんごめん、でも部活行かないでする事かなって思って」

「ぐうの音も出ないです...」

「もしかして毎日どこかに行ってるの!?」

「流石にそこまでじゃないけど、でも週に1回は必ず少摩動物公園に行ってるよ」

「へー好きなの?」

「昔からその動物園が好きで今も通ってるって感じ、その週に1回っていうのが木曜日なんだよね」

「木曜日って事は今日だね、折角だし私も行こうかな!暇だし!」

「へ、なんでそんな話に?」

「私も動物見るのは好きだから、よし!書けた!じゃあ行こっか」

魔白には何が何だか分からないまま、とても強引な流れで2人は少摩動物公園まで行くことになった。

時間かかった...

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