第一章第三話:人徳
作者からの一言「更新遅れてすみません。体調崩してました」
本文3,455文字
俺がエクソシストになって一ヶ月が経とうととしたときに簡単な任務と言うことで、単独任務を任された。
任務内容は、ある悪魔が取り憑いた女の子の除霊であった。
本当に俺だけで良かったのか、と思いつつ目的地に着いた。
そこは立派なお屋敷みたいなもので、近隣住民からの妬み嫉妬がありそうだ。
まさか、悪魔はここからか呼び込まられたのか?と思ったがやめておこう。人を理由無く疑うのは嫌いだからな。
家に入ると、その子の母親と父親と弟らしき人物が来た。
早速その憑かれた子の場所に行くと、まず思ったのが汚いという感想だった。
部屋は薄汚れシミだらけで、蜘蛛の巣がいくつもあり、家具は椅子とテーブルそれとベッドそれもところどころ欠損していたり、ネズミの齧った後が多く見られる。
しかし、悪魔に憑かれている者にしては珍しくとても元気そうで、立って歩いたり少なくとも自我は保っていた。
俺は家族を出ていかせ、彼女の話を聞いた。
すると、いつももらえる服はボロ布で、料理は食えたもんじゃないものだと聞いた。
聞いてて、反吐が出そうだった。
その後彼女を座らせた。本当に何かのお嬢様みたいだ。
悪魔祓いをしようとしたが、手を触れた瞬間に気づいた、これは悪魔ではない。呪われているんだ。
しかも、犯人はこの家族内にいそうだ。そういえば、この子を紹介して目をあわせた瞬間に視線を向けていた。
こいつらは何者だ仮にも家族を呪ったり、汚い扱いや奴隷以下の生活を虐げているのか。
クズすぎるだろ。しかもこの家族の中に誰かが呪っていて、更にその子を悪魔と思って祓おうとしているのである。
涙が出そうだ。
いや実際涙は出たのだろう。
なぜならその子が心配したからだ。「大丈夫?」と。
「大丈夫」と答えてから、家族に「まだ何も無かったが心配したほうがいい」と報告し、帰ったふりをし、人から見えなくなる簡易幻妖術『透明化』を使った。
このエクソシスト界には、主に七つ分類されるものがある。その七つが『呪術』『幻術』『妖術』『武術』『魔術』『錬金術』『幻妖術』だ。
呪術は、相手をじわじわ殺していく毒タイプ。
幻術は、透明や幻影で相手を翻弄するトリッキータイプ。
妖術は、主に妖怪の名前や技を使い誰でも使えるものが多い万能アタッカータイプ。
武術は、自分のフィジカルに全部を使うゴリ押しアタッカータイプ。
魔術は、相手の回復や攻撃を行う万能タイプ。
錬金術は、回復薬や毒消薬などのサポートタイプ。
幻妖術は、隠れたり逃げる時などに使用する隠密行動タイプ。
影山の『影人間』は幻妖術が重視で、山本の『武器拡張』が幻術と武術重視、青山の『武心体』が武術重視だ。
それでもって、人は必ず魔力を一定以上持っていているが、自覚が無く使えず俺たちエクソシストだけしか使えないし、魔力がないと見れない場合もある。
武術は魔力を使わない。それ以外の術は使う時に魔力がどんどん減っていくパターンと一括で減っていくパターンがあり、魔力が消費されると術を使う人のエネルギー、要するに栄養になる。
怪物系は魔力を必ず持っているが、影人間は召喚の際に影人間自身の魔力を消費しているので実質魔力ゼロだ。
俺は能力はないが七つの術全てが使える。
ちなみに、青山は武術全てが使えるため実際のランクは修羅に匹敵するレベルらしい。
・・・と、そこで父親が辺りをキョロキョロ見渡して、こっそり部屋に入った。
俺は後をつけた。
父親は地下室に入って行った。
地下室に入ると、そこは衝撃でいっぱいだった。
なぜなら聖遺物がいっぱい敷き詰められてあったからだ。
—神がモーセに作らせるよう指示したという十戒が入った『契約の箱』。
—キリストが殺された時に磔にされた『聖十字架』。
—キリストの血を受けた『聖血杯』。
—死海文書に記述された金銀財宝の行方が銅の板に書かれた『銅の巻物』。
—『マタイによる複音書』と『ルカによる複音書』の出典元である『Q資料』。
—イエス・キリストを包んだ布『聖骸布』。
—ノアを運んだ『ノアの方舟』。
—最後の晩餐の時にキリストが使った『聖杯』。
—イエス・キリストが処刑された際に使われた槍『ロンギヌスの槍』。
他にも聖水がフラスコに大量に入っていたり、悪魔の血らしきものがあったりした。
小さくなったルシファーが気持ち悪くなったり、死にかけることがなかったりしたり、授業で習っていたからわかった。
これはよくできた複製、すなわちレプリカもしくはパチモンだ。
しかしなぜこんな巧みなことができたんだ?
おかしすぎる。
その疑問はあったがバレたら怖いので、フラッシュなしで写真を撮り、宮下さんに報告だけをして帰って寝た。
次の日ーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺はあの子の家の庭にて、クラスメートの頭から体?らしきものが出てきたのを発見した。
見た目は頭から手や足が生え首はなく顔があり、妖怪の五体面らしき見た目だ。
俺はクラスメートを容赦なく改造銃で眉間を狙い打ち込んだ。と思ったら素早く避けられた。
しかし俺はそこを狙っていたかのように、さっき庭でどさくさに紛れて取った草取り鎌をとり顎部分に突き刺した。
その刺した瞬間に勢いよく引き抜き、何度も刺しまくった。
なぜクラスメートを殺すのか?それは悪魔となって行動している間は永遠なる苦しみを与えられるからである。
だから、俺は苦しみから解放させるために殺す。
たとえそれがクラスメートでも。
しかし刺している途中に泣いてしまった。
人を殺すのはたとえどんな見た目でもつらい。そう実感したが、他の人に見られないようにルシファーに食わせた。
こいつにも、魔力があるだろうから、力が復活するかもしれないと思ったからである。
その後、あの子の部屋に入ると俺はもう一度確認した。
やっぱり呪われている。
椅子に座っている彼女は、心配そうにこっちを見ている。
まず自分の心配をすればいいのに、俺の心配をすればいいのに。
と思いつつ呪われているていることを確信し、部屋を出た。
また父親の部屋を覗いたが、誰もいない。すると奥の部屋から話し声が聞こえた。
「ちゃんとやれると言ったじゃないか」
父親が言っている。
『ちゃんとやってやったぞ。さてどうする』
父親ではない何かも喋っている。この独特な喋り方は悪魔か。
父親が「なら俺を使え、俺の命を燃やし全てを燃やし尽くせ」そう言ったのか?聞き取りにくい。
と思った瞬間、父親が発火して燃え始めた。
どうやら、あの悪魔は火で出来た悪魔だったらしい、燃えた父親だった人は煤を立て高笑いしながら消えた。
地下室の中にあった偽物の『ノアの方舟』が燃え始めた。
俺は他の聖遺物が燃え切らないように『聖骸布』と『聖杯』をとり逃げた。
母親や弟が助けを求めたが、俺は彼女がいる部屋に一目散に入った。
入る前に後ろを見たが火の手はそこまで来ていて、母親と弟だけ姿が見えたが、燃えるゾンビと化している。
その後彼女の手を取り屋敷の扉を目指した。
扉が見えてきた。
背中が熱い、燃えそうだ。
せめてこの子だけはと思ったら、
ドンッ
と背中を押された後ろを振り返ると彼女が口で、「今までいろんなことをしてくれてあ」その跡天井が落ちてきて、彼女の声を最後まで聞くことはなかった。
その後、青山が来た。当然のように問い詰めた。
「このことを知っていたのか」
「そうだ。お前だからできると思った。だからお前1人の単独任務だ」
「じゃあなぜあの子が死んだ!あの子は俺よりもっともっと幸せになるはずだった!なのに俺のせいで死んだ、俺が殺したんだ!」
「お前が言ったらそうかもな」
青山がそっけなく言う。
「なぜお前はそっけないんだよ、答えてみろよ!」
俺は全てに対して怒った。あの子のために。
「少し昔の話だ。若い時の話だが、ある単独任務で少女が悪魔に誘拐されたのを救い出すために、俺は少女のいる部屋まで探したが、悪魔が1人いて気付かれてしまった。俺のせいで、俺は死を確信したよ。けどな、その子が死んじゃ嫌と叫んで、俺を押して自分が撃たれたんだ、銃でな。俺はその死にかけだった少女に誓ったんだ。無敵になって、天国で積もるほど話してやるってな」
俺の目から涙が出た。
ついでに叫んでもいた。
「うああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
俺は誰も守れない、何も強くなんかない、なのに人に八つ当たりだ。
俺はクズなんだ。そう理解した。しかし、強くなりたい、俺みたいなやつを救ってやりたい俺の手で。
「—俺、強くなりたい。鍛えてくれねぇか………いやお願いします。」
いいぞと数秒後聞こえてきた。