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11話「奇跡の撃退」

 四人で話していた時、突如、何者かが玄関の扉を強く叩いた。


「見てくる」

「お願いね父さん」


 父が席を立って、対応に向かった。


「いきなり扉を叩くとは珍しいこともあるものですね……」

「確かにそうねぇ」

「予定していなかった訪問客ですか?」

「多分そうだと思うわ、今日は他に予定は入っていなかったはずだもの」


 そんな風に話していた刹那――訪問してきたのか何者なのかが発覚。


「今日もお願いしに来たんでつ!」

「やり……直、し……て、ください……」


 まさかの、ルリードとその父親だった。


 またか。

 うんざりした。


 もう寄ってこないでほしいのに……。


「アメイリアさん、もしかしてあの方が?」

「はい……元婚約者ルリードとそのお父様です」

「まだ来ているのですか?」


 ルクセーは驚いたような顔をしていた。


「そうなんです、実はたまに。というのも、帰ってもらってもまたすぐに来るんです……困っています」

「ああ、じゃあ、僕から言いましょうか~」

「え」

「貴女にやり直す気はなく、お断りするのでしょう?」

「はい、それはそのつもりです」

「そうですよね~。では僕が次の婚約者だと言っても?」


 気が早くない!? と一瞬思ったけれど、でも、よく考えたらそれは効果的な断りの方法なのかもしれない。


 次の人を見せる方が話が早いのかもしれない。


「よいですか?」

「はい」

「ああ、はい、じゃあ~今から言ってきますね!」


 ルクセーはさくっと立ち上がると速やかにルリードらがいる方へと歩き出した。そして、何やら騒いでいる二人の前に堂々と立ち、品を感じさせるような整った姿勢を作ってから口を開く。


「すみませんが、アメイリアさんにはもう婚約者がいます」


 いきなり言葉を紡ぎ出すルクセー。


「にゃ、にゃにい!?」

「ですからやり直すということは不可能ですよ」

「にゃんだと!? なぜでつか!?」

「アメイリアさんは僕と婚約したのです。もう他の人には渡せません」


 するとルリードの父親は急に肩をすぼめて小さくなってしまった。しゅんとした表情で今にも泣き出しそうになる。しぼんだ身体は微かに震えていた。


「しょんな……どうちて……なぜ……」

「婚約破棄されたのでしょう。今さら出てきてももう遅いのですよ」

「ううっ……」

「泣けば思い通りになるわけではありません。というか、失礼ですよそういう行動は。アメイリアさんの意思を無視するというのはいけないことです。無礼なことですよ、そのようなことは」


 それによって撃退に成功した。


 ルクセーは攻撃的な態度を取ることはしなかった。

 でもその冷ややかさにやられたようで。

 ルリードとその父親はついに諦めて「もう来にゃい」と言って去っていった。


 ようやく解放された!


 何よりも嬉しかった。


「ありがとうございました! ルクセーさん!」

「いえいえ~」


 彼は相変わらず柔らかな表情のままでいる。


「本当に! 追い払っていただけて、助かりました!」

「お安いご用ですよ~」

「でも、その、かなりしつこくて困っていたんです」

「力になれたなら良かったです~」

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