ーー眠くない?
私も寝るの好きですよ。
「ソフィア・ラーク公爵令嬢!王太子の婚約者という立場にいながら、このか弱いエリザにいじめを行っていたことを見逃してはおけない!貴様との婚約を破棄する!」
ここはルクシオ王国の学園の卒業パーティーである。もちろん、婚約破棄を叫ばれたソフィアも叫んだリック・ルクシオも本日の主役といえる卒業者だ。本来ならば、全員が大人になる最後の時として互いを祝い合う日に次期国王である王太子は婚約破棄を叫びだした。
ここまで何故説明したのか。それは私がソフィアであるからだ。元々私は、寝ることが好きだ。公爵令嬢という立場に疲れていた私にとって眠ることは自分を自由にしてくれる数少ない時間だったからだ。なら、この大好きな睡眠がある中で王太子妃教育があるとどうなると思う?こうだーーー
「いっよしゃぁぁぁぁぁ!「は?」本当にありがとうございます。面倒な王太子の婚約者に選ばれてから毎日毎日、勉強勉強って、私の睡眠時間を返してよ!まぁ、いいわ。王太子のことは好きになれそうになかったし、王太子妃とか絶対嫌だったもの!「ちょっとまってくれ!」…何?」
「お前は俺のことが好きでエリザのことをいじめていたんだろ?というより、お前は公爵家の権力を使って無理矢理、俺の婚約者になったんだろ?」
「なにそれ?自意識過剰すぎだわぁ。いい?
私は寝ることが何より好きなの。その大好きな睡眠が削られる王太子の婚約者に進んでなるかって。王太子殿下のことは面倒なことを押し付けてきた人くらいにしか思ってないわ。あなたの母が側室なのに正室の王妃様の産んだ第2王子をこえて王太子になれたのは、我が公爵家に側室大好きな陛下が何度もお願いしてきたからよ!」
本当にこの王太子は何を言ってるのかしら。あっ、けれど私が婚約破棄されたから王太子では無くなるのね。
あーースッキリするわぁ。はぁ、眠くなってきた。あとは、お父様に任せて帰ろうかしらお父様と陛下はまだ入場してこないの?
「そんな……じゃあ、エリザへのいじめは?」
「嫉妬なんてしないし、婚約者になりたいなら応援していたから、そんなことしていないわ。いじめなんて、するなら証拠なんて残さないわよ。」
バンッッッ勢いよく扉が開かれた
(やっと来たのね。お父様は)
「何をやっているのだお前は!公爵家の後ろ盾がなくなればお前は王太子から退けられるというのに!「えっ?」」
「何故ですか父上?」
「当然であろう!側室の者が正室をこえることはできない、だから公爵家に頼み令嬢を婚約者にしてもらったというのに!」
「そんなっ」
「ねぇ、お父様私帰ってもいい?婚約は破棄されたから寝たいわ。」
「…いいんじゃないか?」
「まってくれ!令嬢!もう一度、王太子と婚約してくれないか?そなたの望みも叶えよう。」
望みを叶えるーーなら、
「婚約破棄して、寝たいですわ。」
その後、王太子…第1王子は王家から除籍された。もちろん、エリザという方の証言は嘘だった。2人とも仲良く国外追放である。最後まで罪の擦り付け合いをしていて、とても醜かった。王太子は第2王子に移った。私は、新しい婚約者を手に入れた。
今の婚約者は私の卒業パーティーでの噂を聞き、婚約を申し込んできた。なんでも、位がある穏やかな婚約者がほしかったらしい。優しいから仲は良好よ?
あの、卒業パーティーは伝説になった。
けれど、私は手に入れた幸せを噛み締め、大好きな睡眠を満喫するの。
あぁ、今日のような日は、眠くない?