第11章 人と魔物の生きる世界 ①
「・・・・では、ジャック様。命令通りに夢魔族たちを穴蔵へと連れて行って参ります」
「おう、頼んだぞー」
ぞろぞろと夢魔族たちを引き連れて去っていくアッシェの後ろ姿を静かに見つめる。
そして、彼女たちの姿が完全に見えなくなり、森の中へと消えていくのを見届けると、俺は紫色の空をゆっくりと仰ぎ見た。
「さて・・・・夢魔族どもの管理は一旦アッシェに任せておくとして・・・・やはり今一番の課題は奴らの餌となる生きた人間探し、か」
クソ、こればかりはただの運任せの賭けだな。
どうか、ゾンビに喰われていない個体が何匹かは生きていてくれると助かるのだが・・・・・・。
「ちょ、ちょっと!! は、離しなさいよアンデッド!!!」
「な、何なのじゃお前たちは!? いったいワシらをどうするつもりなんじゃ!?」
「ん?」
デュラハン・ゴブリンナイトたちに人間の捜索を任せて、数分後。
命令通りに生きた人間を発見してきたのか、デュラハン・ゴブリンナイトが見知らぬ女二人を両腕に抱え、俺の元へと戻ってきた。
そしてゴブナイちゃんはその女たちをポイッと俺の目の前に乱暴に投げ捨てると、くるりと背後を振り返り、再び人間たちを探しに丘から飛び降り、崖下の森の中へと消えて行くのであった。
「ご苦労だったな、デュラハン・ゴブリンナイト。・・・・・さて」
デュラハン・ゴブリンナイトを静かに見送った後、俺は、ツタのようなものによって両腕を拘束されている二人へと視線を向ける。
見たところ、耳の長いエルフ?のような女と、浅黒い肌に小柄な体格のドワーフ?のような姿をした者たちだった。
通常の人間とは少し異なったその出で立ちに、俺は思わずまじまじと倒れ伏す彼女たちの身体を注意深く観察してしまう。
すると、こちらのそんな様子に恐怖を覚えたのか、二人はヒィッと掠れた声を出して怯えた気配を見せてきた。
「あ、あんた、あの時大階段前で見た・・・・アンデッドの軍勢にいたジャック・オー・ランタンね!?!?」
「あの首のないゴブリンどもが絡んでいることから、大方黒幕の予測は付いていたが、やはり首魁はこのアンデッドだったというわけか・・・・・・・・・って、ちょ、ちょっと待て!!」
「どうしたの、ゴンド・・・・?」
「こ、こやつの身体をよく見てみい!!」
「身体・・・・? って、い、いったいどういうことよ!? 前に見た時はただのカボチャ頭だったはずよね!? それなのに何故、頭部から夢魔族の身体が生えているの!?」
「あ? 何だてめぇら? その口ぶりから察するに、以前の俺をどっかで見たことあるのか??」
そう声を掛けると、何故か二人は目を丸くしてお互いの顔を数秒見つめ合う。
そしてその後、こちらを見上げるようにして視線を向けると、心底驚いたような顔を見せてきた。
「あ、貴方、会話ができるの・・・・!?」
「て、低級の魔物である、ジャック・オー・ランタンが人の言語を? しかも、最も知能が低いとされるアンデッド種が、じゃと!?」
そういえば、フェリシアと初めて会った時にも同じような反応をされたっけな・・・・。
この世界で人語を喋れる魔物っつーのはそんなに珍しい存在なのか??
いや、黒狼族も夢魔族も、普通に人の言葉喋ってたよな??
うーむ・・・・この迷宮で暮らしてきて、体感的にどうも人語を喋れる魔物がそんなにレアなもんだとはどうしても思えないなぁ。
だとすると・・・・もしかして喋れるアンデッドが珍しい、ってことなのかね。
俺は顎に手を当て、ボソッと、静かに独り言を呟く。
「でも、まぁ確かに、よくよく考えたら今まで人語を喋れるアンデッドを造ることはできなかったからな。そう考えると、やはり・・・・この世界において会話できるアンデッドっつーのはレアな存在、ってことなのかね?」
もし、デュラハン・ゴブリンナイトとかガルムたちが喋れるようになったのなら・・・・・その時は今よりも意思伝達が取りやすくなりそうだな。
・・・・・いや、別に今の状態でも何となくYES、NO程度の意志の共有自体はできてはいるか。
あいつらが喋れなくて困ることといえば、現時点では俺以外の連中とのコミュニケーション取る時くらいのものだろう。
けれど、俺の命令だけで動くような連中だ。
他の魔物との会話が必要になる、そんな事態が起こることも少ないか。
(しかし・・・・何が起こるのかは分からないからな。不測の事態に備えて奴らに言語を学ばせる実験をしてみても良いかもしれないな)
だが、とは言っても、な。
どうやらアンデッドは無条件で他の魔物に恐怖を与えてしまう存在のようだし・・・・無理やり黒狼族や夢魔族たちとアンデッドどもを関わらせても、マイナスとなる効果しか与えられないように思える。
むしろ、アンデッドたちを積極的に他種族に関わらせたところで、余計な恐怖を魔物たちに与えてしまうことに繋がってしまうだろう。
アンデッドに言語を習得させるメリットはあまりなさそうだ。
「奴らに言語を学ばせる実験をしてみること自体は面白そうだが・・・・別に今それをやる必要性もない、か」
「え・・・・?」
「何でもねぇ。気にするな」
そう言って、俺は胡坐をかき、拘束されて横たわっている二人の前に乱雑に座り込む。
そして、ニコリと(自分的には)会心の笑みを浮かべて、二人の少女に向けて優しい声色で声を掛けてみた。
「俺の名前はジャック。さて、てめぇら・・・・いや、君たちの名前はいったい何て言うんだい??」
「ひ、ひぃぃぃぃぃ!! こ、殺す気か!? ワシらを殺す気なのか!?!?」
何故か笑顔を浮かべただけで、二人を怯えさせてしまう俺であった。
自分なりに努めて優しい表情を作ろうとしただけに、ちょっと・・・・いや、かなりショックだが・・・まぁ、いいか。
俺はため息を吐きつつ、静かに口を開く。
「安心しろ。別に俺はお前たちを殺すつもりはない。ただ、対話を重ねたいと思っているだけだ」
「た、対話じゃと!?」
「あぁ。こちらの取引を聞いてくれるのなら、拘束も解こう。どうだ??」
そう言うと、ドワーフの女は怯えの色を消し、何やら思案げな表情を数秒浮かべた後、横に転がるエルフへと顔を向けた。
「・・・・パンジー。こやつ、どうやら相当知恵のあるアンデッドと思える。まずは奴の話を聞いてみても良いのではないか?? どちらにしろワシらは今、相当不利な状況にあるのじゃからな」
「な、何言っているのよゴンド!! 相手は人の血肉を喰らう悪しき魔物、しかも生者の敵とされるアンデッドなのよ!? 会話を交わしたところで、こちらの心を弄ばれて終わりよ!! 騙されて酷い目に合うに決まっているわ!!」
「ほほう? その様子から察するに、どうやら相当魔物を嫌悪しているようだな。そっちの耳長女は」
「誰が耳長女よ!!!! このカボチャハゲ!!!」
「ハ、ハゲ、だと・・・・?」
た、確かに、今の俺は誰がどう見てもハゲだ。
いや・・・・頭のヘタが髪の毛に含まれるのならギリセーフか?? まだ辛うじて峠は越えていないか??
そんな毛根の心配をしている俺を他所に、耳長女はこちらをキッと睨みつけると、怒鳴るようにして口を開く。
「私たちはね、今まで長い時間ずっとこの第五階層に幽閉されてきたのよ!! あの忌まわしい双子ー---第五階層支配者の魔法によって傀儡にされて、家畜みたいに飼われていたの!! 5年間もよ!!」
そう叫ぶと、彼女は悔しさを滲ませた顔で、眼の端に涙を浮かべ始めた。
どうやらその様子から鑑みるに、こいつも夢魔族たちと同様、ムレアたちによって散々な目に遭ってきたようだ。
安易に推測するのならば・・・・・この女は今まであの人間牧場で飼われてきた、というところだろうか。
それならば、魔物に対する激しい憎悪を抱くというのも無理からぬこと、か。
「ふむ・・・・どうやら、相当な怨恨があると見える。さて、どうするかな。こちらが敵ではないと言っても、どうやらお前は俺の言葉を頑なに信じないみたいだし」
「当たり前よ!! 邪悪なるアンデッドめが!!」
そう叫ぶと、突如挑発的な笑みを浮かべ、長耳の緑髪の女は俺を見上げた後、勝ち誇った顔を見せてきた。
「でも? 今ここにいるのはあの双子どもじゃない。今ここにいるのは雑魚アンデッドである貴方だけ。金等級冒険者として、F級モンスターのジャック・オー・ランタンなんかに、恐れることなんて何もないわ!!」
そう言って、俺の顔に向かってペッと、ツバを吐きかけてくるエルフ。
そんな彼女の行動に驚いたドワーフは、顔面を青白くさせて唇をわなわなと震わせた。
「お、おい、パンジー、何を挑発しておるのじゃ!! 先程の『首なし』がこやつに臣下の礼を取っていたのを見たじゃろう!! どう見ても奴はあのアンデッドどもの長じゃぞ!! 怒らすでない!!」
「うるさいわねぇ!! 冒険者として、魔物に媚びへつらえとでも言うの!? 例え人と会話できたところで、奴らの脳にあるのは人間を弄んで苦しめることだけなのよ!! そんな連中と話すことなんてー---」
ギャーギャーと、喚き始めるエルフ。
俺は頬についたツバを手の甲で拭きながら、はぁと深くため息を吐くと、立ち上がり、青い炎が浮かぶ昏い眼光で静かに奴らを見下ろした。
「よくわかったぜ。てめぇらは、俺と会話する気はない。それで、いいんだな??」
「え、えぇ、そうよ!! アンデッドなんかと話す言葉なんて持ち合わせてはいなー---」
「ま、待て、パーー--!!!!」
「そうか。本当だったらてめぇらとは対話を重ねて、良好な関係を築きたかったんだがな。・・・・こちらの言葉に耳を貸さないんじゃしょうがねぇ。お前らの大嫌いな前の階層支配者と同じように、物言わぬ傀儡にしてやるとしよう。ー---【チャーム・ファンタズム】」
魔法の名称を唱えた瞬間、俺の右手に紫色の靄が漂い始める。
その光景を目の当たりにした瞬間、二人は信じられないものを見たかのようにその顔を唖然とさせ始めた。
「なっ、そ、それは、第五階層支配者の幻惑魔法!?」
「ど、どうして、お主がそれを使えるのじゃ!?」
「俺との対話を拒んだ奴らに、答える義理はねぇな」
はぁ・・・・当初の予定とは大分違うが、仕方ないな。
まず、こいつらには悪夢を見せて大人しくなってもらうとしよう。
そしてその後、デュラハン・ゴブリンナイトとガルムに別の場所に連れていってもらい、落ち着いた後に【スピシーズ・チャーム】で物言わぬ人形に変え、夢魔族の餌になってもらうとするか。
最初から【スピシーズ・チャーム】を使って牛や豚のようになってもらうのも手っ取り早いかもしれないが・・・・・・どうやら魅了魔法というのは相手に抵抗力があると無効化されたりするみたいだからな。
ここは、連中に大人しくなってもらうために強制的に催眠状態に陥らせて、先に抵抗力を奪った方が得策だろう。
俺は、紫色の靄がかかった掌を、エルフの頭へとかざす。
すると彼女はさっきまでの強気な態度がどこへやら、恐怖に顔を青ざめさせ、肩をカクカクと震わせ出した。
「や、やめて・・・・そ、それだけは・・・・・また、悪夢に落ちるのは、嫌よ・・・・」
「ふむ。俺もこいつを喰らったことがあるからな。その気持ちは非常に分かるぜ?? だが・・・・反抗の意志があるてめぇを管理するのなら、この方が手っ取り早い。俺は全てにおいて効率を重視するんだよ」
振り降ろされる掌。
その光景を見て、エルフの少女は金切声のような悲鳴の声を上げる。
「や、やめてぇぇぇぇっぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!」
「待ってください、ジャック様っっっ!!!!!!」
悲鳴と重なったその怒号に、俺は手を止める。
そして肩ごしに背後に視線を向けると、そこには息を荒げて立っているフェリシアの姿があった。
「フェリシア・・・・? お前は夢魔族たちと一緒に穴倉に向かわせたはずだったが・・・・?」
「ジャック様がアンデッドを使って人間の捜索をしているのが気にかかって、戻ってきたんです。あの・・・・・ジャック様はその人たちを、どうするつもりなのですか??」
「俺がこいつらをどうしようとも、てめぇには関係のないことだ。引っ込んでろ」
「・・・・・・ジャック様のやろうとしているその方法は、本当に正しいのでしょうか?? そのやり方は、ジャック様の本当に望んでいることなのでしょうか??」
「は? 何言ってんだ、てめぇ」
「私は先ほどまで、二人と会話しようと試みるジャック様の様子を背後から観察していました。貴方は一生懸命、人間との距離を縮めようとしていた。そうですよね??」
「・・・・・・」
「その努力を、簡単に諦めて良いのですか?? ここで彼女たちとの共存の道を、諦めてしまって良いのですか?? ジャック様は探していたのでしょう?? 人と魔物の生きる道を」
ハッ、おめでたい奴だな。
自分勝手に俺の行動を推測して、自分勝手に俺の心情を決めつけやがって。
俺にとって人間は・・・・この捕らえてきた連中は、夢魔族のー---飼っているペットの餌程度の認識でしかない。
確かに、人と夢魔族を共存させて、この第五階層で管理するというのは当初の目的ではあった。
人と魔物が友好な関係を築ければ、この先色々と利用できるメリットが多くなるのははっきりと分かりきっているからな。
外界の情報が無いに等しい現状においては、外の人間という人材は金にも勝る価値だ。
だが・・・・こちらに対して敵意を向けてくる奴を自分の懐に入れてやれるほど、俺は寛容ではない。
唾を吐きかけられても、それでも優しく対話を試みるほど、心が広くもない。
しかし・・・・・・。
「利用できるものがあるのなら、試してみるのも悪くはない、か」
「えっ?」
「フェリシア。そんなに言うんだったらお前、俺の代わりにこいつらに『夢魔族との協力関係』を、取り付けてみせろ」
「え、ええっ!? 『夢魔族との協力関係』、ですか? そ、それは・・・・この方たちに、夢魔族の糧になる欲望の供給をさせる、ということで合っていますでしょうか??」
「その通りだ。何、心配はするな。あの双子のように悪夢を見せ続けるってわけではない。1日の終わりの一晩に、楽しい夢を見させてそれで終わり、ということを確約してやるさ」
「ジャ、ジャック様の言いたいことは分かりましたが・・・・な、何故、その説得を私が?」
「てめぇが説得を諦めるなって言ったんだろ?? というか、どのみち俺じゃ無理だ。そこの耳長女は、魔物であるこちらの話に一切聞く耳を持たない様子だからな。俺にできることと言えば、そいつらを幻惑魔法で物言わぬ人形にすることくらいさ」
「・・・・・・・それは・・・・・それは私が説得に失敗すれば、この人たちはジャック様によって酷い目に合う、ということですよね? 脅し、ですか?」
「ククク、好きなように取りやがれ。てめぇは人々を助ける正義の冒険者様、なのだろう??」
フェリシアが過去の自分に似ている分、その扱い易さ、弱点は誰よりも把握している。
こういう、誰かを見捨てることができない性分の馬鹿は、目の前の命を人質に取られた途端、自分の損得勘定抜きに盲目的に行動することしかできなくなる。
だから、俺の掌の上で良いように動かされていても、黙って動くことしかできない。
それが、自分の信念への反逆だとしても、気付かずに、な。
正義感を持ったくだらない矜持を掲げている奴ほど、御しやすいことはこの上ないものだ。
(それに、魔物である俺が人を恐怖させてしまうのなら、その交渉相手に人間を使えば良いだけのことだからな)
フェリシアを今まで生かしてきたことが、今になってこういう形で役立つことになるとは思いもしなかったぜ。
これからは外の世界との関わりを持つことも考えて、人間との交渉に使える手駒を、いくつか手元に置いておくのは良いことかもしれないな。
「・・・・・分かりました。でしたら、約束してください。この方たちから了承が取れた場合、どんなことがあっても、彼女たちに決して危害を加えないことを」
「クク・・・・さっきも言っただろう?? 悪夢を見せるようなことはしないと、な」
そう口にすると、フェリシアはふぅっと短く息を吐き、倒れ伏す二人へと近付いていくのであった。
「ワシはゴンド・グルーシュフルじゃ。ベストラ共和国の冒険者ギルド『覇月の牙』で銀等級冒険者をやっておる」
「・・・・・私はパンジー・リストライフ。ノーザラッド王国の『栄華の剣』の・・・・金等級冒険者よ」
30分後。
何とかフェリシアの説得を聞き届けたのか、二人は落ち着いた様子で地面に胡坐をかいて座っていた。
・・・・・まだ両腕は背中に拘束させたままだが、な。
「ふむ・・・・さっきよりは幾分か会話が可能な様子にはなったか」
二人に近付き俺がそう声を掛けると、彼女たちはビクッと肩を小さく震わせる。
そんな様子を見て、二人の前で正座をしていたフェリシアはコホンと咳払いをした後、肩ごしに俺の方へと静かに視線を向けてきた。
「とりあえず、私がジャック様に出会ってから今までのことを彼女たちにはお話しました。ジャック様が、むやみやたらに人間を襲うような魔物でないことは、理解してくれたと思います」
「本当か・・・・? さっきよりは落ち着いたようだが、まだ俺を怖がっている様子に見えるぞ??」
そう言うと、ドワーフの少女はゴクリと唾を飲み込み、怯えながらもこちらへと視線を向けてくる。
「すまぬが・・・・ワシら人間・・・・いや、生きし生ける者すべては、アンデッドという存在には過敏に反応し、尋常ではない恐怖を感じてしまうのじゃよ。そこのフェリシア殿が人間としては特殊な例として捉えて頂きたい」
「そんなことは・・・・私も最初は、皆さまのようにジャック様に怯えてしまっていたんですよ。でも、彼が他の魔物とは違うということを知って、人と変わらず会話が可能だということを知って、その恐怖心が徐々に薄れていったんです。あと・・・・元人間さんだということも、忌避感が拭える要因になりましたかね」
「元・・・・人間じゃと!? お、お主、生前の記憶があるというのか!?」
「あぁ。しっかりと残ってるぜ。本名から死因まで、な」
その言葉に、目を丸くする二人。
生前の記憶があるだけでなく、異世界からやってきたという事実もあるのだが・・・・今その情報を奴らに開示してもメリットはないな。
俺は頭を軽く振り、フェリシアを静かに見下ろした。
「それで? 『夢魔族との協定』の話は奴らに説明したか??」
「・・・・今からします。なので、ジャック様は彼女たちを怖がらせないようにお願いします」
「ククク、了解した」
そうしてフェリシアは大きく息を吐くと、二人の少女に対して、身の安全と控えに夢魔族への欲望の提供する、という俺が奴らに話したかった取引のすべてを、話し始めたのであった。




