第8章 覚醒 ③
「あのさ、俺、いつになったらこの幻惑魔法とやらから現実に帰還できるの?」
《・・・・・・・・・・・・・・・・・》
辺りに沈黙が舞い降りた。
暗い部屋の中に、チッチッチッと、時計の秒針だけが静かに響いていく。
「ええと・・・・おーい? アナウンスちゃん?」
《・・・・・・・・・・・・・・・・・》
「もしもーし?」
《・・・・失礼致しました。先ほどサーバーに問題が発生していたため、一時的に通信が遮断されておりました。現在は完全に復旧しましたので、ご安心ください》
「は? サーバー・・・・?」
何か突然、メンテに入ったソシャゲみたいな台詞言い出したぞ、こいつ。
いや、それよりも今更だが・・・・そもそもこの声っていったい何なんだろうな?
今まではこの世界特有のものかと思って普通にスルーして過ごしてきたが、ルーナやヴァイスの話によると、あいつらにはこういった声は一切聞こえていないみたいだし。
質問すると必ずその答えを教えてくれたり、困ったときにはヒントをくれたりもするし、雰囲気的にどうにも敵のような感じはしないのだが・・・・・正直、正体が分からないってのはどうにも不気味だな。
いっそのこと、こいつに「お前は何者か」って直接聞いてみるか??
でも、まぁ・・・・今優先すべきことはこいつの正体を探ることよりも、幻惑魔法を解くことの方が最優先、か。
こいつのことは後回しにするとして、まずは、この空間から帰ることだけを考えるとしよう。
「それで、アナウンスちゃん、さっきの質問なんだが」
《幻惑魔法からの帰還方法、でしたね。幻惑魔法には解除方法が二つございます。ひとつは、魔法を使用した発現者の活動を停止させること。もうひとつは、現在のように完全催眠に陥った時にだけ使用できる方法で、幻影の中にある核を壊す、という手段です》
「幻影の中にある核?」
《この幻影が作られる元凶、と言いましょうか。淫夢であれば貴方様の中にある情欲の原因になった存在の幻影を。願望夢であれば貴方様の最も欲したものの幻影を。そして、悪夢であればー----貴方様の最も忌むべき存在を投影した幻影こそが、その幻惑魔法の核でございます》
「・・・・・・・・・・・・・・・なるほど、な」
俺はベッドから立ち上がり、先ほどまで見ていたスマホを再び起動させる。
SNSが発達した現代社会において、その人間が今現在、どこにいるのかなんて割と簡単に分かるものだ。
俺はかつての同級生たちのSNSのアカウントをタップして、直近で書かれた発言を細かく見ていく。
そして、目的の人物がUPした食事風景の写真を確認した後、俺はパーカーのフードを被ると、そのまま部屋の外へと出た。
「・・・・・まったく、幻影だってのにすげーリアルな世界だな」
部屋の外に広がっている懐かしき自宅の風景に、思わず感嘆の息を零してしまう。
部屋の前に置かれていたのは、トレイに乗った、米、みそ汁、コロッケといった手製の食事の数々。
そのトレイに添えられていた手紙には、「部屋から出てきてください」と、一言、震えた文字で書かれていた。
それらを申し訳ない気持ちで一瞥した後、俺は薄暗い廊下をまっすぐ進んでいく。
そして、廊下の先にある階段を降り、その先に広がっている誰もいない真っ暗闇のリビングへと足を踏み入れた。
「・・・・・・・・・・」
この幻影の中で過ごした時間で言えば、俺は今、引きこもって三年目、といったところだろうか。
実際の俺は10年近く引きこもっていたから・・・・・ここは俺が知る家よりもさらに過去、と見て良さそうだ。
俺はダイニングテーブルに立てかけられた家族写真・・・・幼い頃に母、父、兄と共に撮った写真を数秒見つめた後、ふぅっと、短く息を吐き出す。
そして、「ごめんなさい」と、今は睡眠中であろう人たちに謝罪した後、このくそったれな幻影を終わらすために、静かに家の外へと出て行った。
「またねー、古東さん!!」
「うん! また明日サークルでね!」
深夜0時。
大学の友人との飲み会を終えた古東 紀香は、足元をフラつかせながらも、静かになった駅前を一人歩いていた。
辺りに、人の影は無い。
まぁ、それは、当たり前と言えば当たり前だ。
この駅の周りには基本的に住宅街しかなく、それに加えここは都心からもここはずいぶんと離れている過疎地。
深夜12時過ぎともなれば、周辺はしんと静まり返り、人の気配はどこにも感じられなくなる。
まともな光源も、街灯と自動販売機くらいしか見当たらない。
辺りは完全な闇と静寂に包まれていた。
「お誂え向き、だな」
「・・・・・・・は?」
彼女が向かう道の先にある街灯の下。
そこで俺は、古東を待ち受けるようにして立つ。
そんな俺を、かつてのクラスメイトは不審そうな眼差しで見つめていた。
「何、あんた。変質者?」
「俺を覚えているか? 古東 紀香」
「意味わかんない。あんたなんて知るわけないでしょ? 何? 新手のナンパ?」
「ハハハッ! 誰がてめぇみてぇなクソ女ナンパするかよ! のぼせ上がるのもいい加減にしやがれ!」
「はぁ? 誰だか分からないけど超不愉快なんだけど」
俺を無視し、横を通り過ぎようとする古東。
そんなすれ違う彼女の腕に、視線を向ける。
そして俺は、ある言葉を発した。
「【スラッシュ】」
「・・・・・・・・・え?」
街灯の光の中に、鮮血が舞う。
俺の横で、彼女の関節から先の腕はボトリと、鈍い音を立てて地面に落ちていった。
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!! 腕が!!!!! 私の腕がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「へぇ? 幻影の中だってのにスキル、使えるんだな。もしもの時のためにこいつを台所から持ってきていたが・・・・意味は無かったか」
ポケットの中からナイフを取り出し、それを地面に落とす。
そして俺は、地面に尻もちを付いて怯える古東の髪を掴み、自身の顔に近づけた。
「本当、ムレアの野郎には逆に感謝したいくらいだな。なんたってあいつのおかげで、こうして念願の復讐の場ができたんだからよぉ。ククククッ、幻影だとしても、こうして怯えるお前の顔を見れたのは良かったぜ」
「やめて、痛い痛い痛い痛いっ!!!! やめてよッ!!!!」
「お前、今から新篠の奴をここに呼び出せよ」
「ひうっ!? 新篠!?」
「てめぇが高校時代付き合ってたあのクソ男だよ。覚えてんだろ??」
「わ、わかった!! 呼ぶから!! 呼ぶから病院連れて行かせて!!!!! 救急車!!!!」
「あー、あー、うるせぇなぁ。この幻惑世界に警察がいるかどうかは分からないが・・・・・なるべく静かにことを進めた方が良さそうなのは間違いないだろうからな。おい、古東、お前のスマホのパスワード教えろ。そうすりゃ今すぐ助けてやる」
「本当!? ば、番号は、55256!!!!」
「OK、ありがとう。そんじゃ、ま、あばよ。二度と会うことはないだろうが達者でな。あの世で往生しろ」
「は!? ちょ、待っ、約束が違ー----」
「ー---【スラシュ】」
スキルを発動させて、俺は速やかに古東の首を切り落とす。
そして、古東の死体からスマホを奪うと、ロックを解除し、中身を確認する。
案の定、新篠の連絡先はあったし、過去の同級生たちの住所と連絡先もちゃんと電話帳に登録されていた。
とりあえずは、クラスメイト全員が地元の就職先や大学に進学しているみたいで一安心だ。
県外に行かれていたら少々面倒なことになっていただろうからな・・・・ひとつ懸念が減って大助かりだぜ。
「ふぅ・・・・まずは一人目。あとは新篠の野郎と、かつてのクラスメイト37人、か。骨が折れるなこりゃ」
まぁ、文句を言っていても仕方ないな。
この幻惑魔法から脱するためにも、俺は恐怖の対象であった奴らを殺す必要がある。
俺の恐怖の元凶・・・・それは、桜野さんを死に追いやった人間たちと、俺をいじめていた奴らのこと。
あのくそったれなクソ人間共を、俺は今から殺して回っていく。
そうだな・・・・どうせなら憂さ晴らしも込めて思う存分、10年培った今までの憎悪をぶつけてやるか。
一人残らず、極限まで恐怖と痛みを覚えさせながら、容赦なく首をかっ裂いて殺してやる。
涙を流す奴らの目の前で、大事な人を殺させて絶望させてみるのも良い。
その時、奴らはいったいどういう表情をするのかー---今から楽しみだ。
「あぁ・・・・良いな、これは」
俺は、静かに闇夜の街路を歩いていく。
これから起こる復讐に、殺戮に、俺は、今まで感じたことのない高揚を覚えていた。
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「や、やめろ、た、助けてく、れ!!」
「新篠先輩。あんた、因果応報って言葉を知っているか??」
「だ、誰だかは知らないが謝る!! 謝るから命だけはっ・・・・!!!!」
「桜野さんを死に追いやるまでおもちゃにし続けたってのに、自分が許されるなんて思ってんじゃねえぞ? 何、安心しろ。下の階でぐっすり寝てるてめぇの親父も一緒にあの世に送ってやる。自分のやったことを後悔しながらじわじわと炎に焼かれて死んでいくんだな。ー----【エンファイア】」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああッッッッッッ!!!! 足が!! 足が、燃え・・・・・!!!!!!!」
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「あ、秋月!? な、何で、どうしてここに!?」
「よぉ、国崎、久しぶりだな。お前に踏まれた右足、めっちゃ痛かったな~。おかげであの後バッキバッキに骨折れちゃって、治るのに大分時間がかかっちまったんだよ」
「秋月! わ、悪かった!! 俺、あの時、怖かったんだ!! 周りに同調しとかないと、次は俺がいじめられるんじゃないかと、そう思ったからー--」
「で? 笑いながら俺を痛ぶった、と? ハッ、自己保身のクソ野郎が。てめぇを友人だと思っていた過去の俺が情けないぜ」
「お、おい、何する気だ? や、やめろよ、おい、来るな! 近づいて来るなー---!!!!!!」
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「待って! 先生だけはどうか! 彼だけはどうか助けて!!!!」
「おいおい、相模、お前が俺にそんな懇願をするのか?? 桜野さんを死に追いやったお前が、俺に?」
「む、昔はヤンチャしてただけなの!! 色々と自分と他人の環境の違いにむしゃくしゃしてて・・・・でも今、私は変わったの!!!! だから許してよ秋月くん!! ね!? 当時のことは悪かったと思っているから!!!!」
「うーん、そっかぁ、変わったのかぁ・・・・じゃあ・・・・許す!! お前が心を入れ替えたのなら許すよ!!!」
「え!? 本当!? ありがー---」
「なわけねぇだろ、【スラッシュ】」
マンションの一室に、鮮血が飛ぶ。
そして床にごとんと、かつて担任だった男は転がっていった。
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっ!!!!!!!」
「ハッハッハッハッ!! 綺麗に首チョンパできたなぁおい!! ついでに腕と足も斬り落として胴体だけのダルマにでもしてみるか??」
「酷い、何で・・・・何でこんなことを!!!!!」
「何で? 何でって、楽しいからに決まってんだろ。お前も楽しいから桜野さんを死に追い詰め、俺をいじめてきたんだろ?? いやー、今ならお前の気持ち分かるぜ。確かに、他人を不幸に陥れるってのは快感だわ。すげーストレス解消になる」
「・・・・・・人間じゃない」
「ん?」
「他人を殺しておいて罪悪感のひとかけらもなく、その惨状を純粋に笑えるなんて・・・・あんたなんか人間じゃない!! あんたは・・・・ただの化け物よ!!」
「ただの幻影のくせに面白いこと言うじゃねえか。いや、こいつは俺の心がそう言わせてんのか? ま、どうでもいいか。そうだな、確かにお前の言う通り、俺は人間じゃない。俺はーーーーーーーーーーーーーアンデッドだ」
「え・・・・?」
「さて、長話もこれくらいにしとくか。お前で37人目、ラストだ。これでこのくそったれな幻惑魔法も終幕だと思うと感慨深いが・・・・さっさと現実に帰らないと俺の恩人がやばそうだからな。じゃあな、相模・・・・【スラッシュ】」
その言葉を最後に、部屋の中は無音になった。
マンションの外に出ると、そこには雨が降っていた。
暗い夜の闇の中、ザーッザーッと、激しい豪雨の音が鳴り響いている。
俺はフードを取り、返り血で真っ赤に染まった身体を雨の中に晒した。
そして、両手を広げ、空に向かって咆哮を上げる。
俺の中にあった人間性。
俺の中にあった秋月 透という人間だった頃の残滓。
それらが、この雨・・・・いや、今までの殺人によって、すべて流れ落ちていってしまった感覚がする。
幻惑魔法の中であろうと、俺は、人を殺した。
多くの人を、たくさんのクラスメイトたちを、殺してしまったんだ。
最初から・・・・分かっていたことだ。
サキュバスという魔物、ムレアと対峙した、あの時から。
人型の存在を殺したその時、俺は、完全に人では無くなる。
秋月 透ではなく、アンデッドのジャックになる。
それは何度も、俺の中にいたもうひとりの自分が警告してきたこと。
その一線を越えたら戻ってこれない。
何度もあいつはそう、俺に警告してきた。
だけど俺は、ついにその一線を越えてしまった。
最早、今の俺は、生きた人間を殺すことに完全に躊躇はない。
今の自分なら、必要とあらば、善人も悪人も、どんな者でも情け容赦なく殺すことができるだろう。
これで俺は、あのいじめていた屑共と同じ、加害者側ってわけだ。
もう俺は、桜野さんの言っていた、「お人好しの秋月 透」ではない。
俺はー-----アンデッドのジャック・オー・ランタン。
俺は、ただの化け物だ。
「ん・・・・・・・?」
意識が覚醒する。
何故か、後頭部が柔らかい感触に包まれていた。
ぼんやりと眼を開けてみると、そこにあったのはー----こちらを心配そうに覗き込む、絶世の美少女の姿だった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「へ? だ、誰・・・・・?」
グレーがかった銀髪の髪に、同じ色の長いまつ毛。
そして、半開きのどこか眠そうな紅い瞳。
目鼻立ちはどれも均整が取れていて、そこらのアイドル女優顔負けの美貌を、彼女は携えていた。
俺はぼけーっとしながら、そのこの世のものとも思えぬ美しい顔立ちに思わず見惚れてしまっていた。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
無言で見つめあう。
とても毛量が多いのか、彼女の前髪は俺の身体に垂れ下がっていた。
何となく、某有名なホラー映画の井戸から出てくるあの幽霊に近い髪型だ。
横になっている俺を上から覗き込んでいる形だから目鼻立ちが分かるが・・・・これ、普通に立ったら彼女の顔は髪に隠れて全く見えないんだろうなぁ。
そんな綺麗な顔をしているのに、その髪型は本当に勿体ない。
俺が凄腕のスタイリストだったのなら、もっと似合う髪型をセットしてあげるのに。
なんて、どうでも良いことを考えていると、少女は表情を全く動かさずに、ゆっくりと口を開いた。
「・・・・・・・・・・ジャック様」
「え!? あっ、はい。ジャックです。初めまして」
「・・・・・・・・・・・・・・」
そう挨拶すると、何故か少女は口を閉じ、ジッと黙り込んでしまう。
何か、考え込んでいるのだろうか?
不思議に思い見つめていると、かすかに声が聞こえてきた。
耳をすまさないとよく聞こえないが、小さく、「ミュ~」と、唸っているのが分かる。
ミュ〜? 何だそれ? しかしその鳴き声、どこかで聞いた覚えが・・・・。
「アッシェ」
「へ?」
「私の名前は、アッシェ。・・・・・ようやく、言えた」
「アッシェ?」
「・・・・・嬉しい。名前、呼んでもらえて・・・・白蜘蛛ちゃんも良かった、ですけど・・・・」
「白蜘蛛ちゃん? へ? まさか、お前はー---」
「はい。ジャック様と行動を共にしていました、デス・スパイダー、です」
「やっぱりそうか! 確か、お前、俺の眷属化でアラクネに・・・・でも、あれ?」
俺は現在、彼女に膝枕をしてもらっている。
後頭部を見ると、確かにそこには人間の女の子の太腿があった。
だが・・・・今の彼女は俺の眷属化によって、アラクネになっているはず。
確かアラクネは、殆どの二次創作物上で、下半身が蜘蛛で上半身が人間のモンスターに描かれていた気がする。
それなのに、彼女の足は、普通の人間の形をしていた。
靴も履いてなく、ただの綺麗な生足。
そしてあえて見ようとはせずに我慢・・・・していたが、彼女の上半身も普通の裸の女性だった。
巨乳好きとしては胸がめちゃくちゃ小さいことだけが、残念ポイントではあるが・・・・いや、これはどうでもいいか、話が脱線してるな。
コホン。と、とにかく、彼女はどこをどう見ても普通の人間の姿なのだ。
蜘蛛である部分がひとつも見当たらない。
(いったい、アラクネ要素は、何処に????)
まぁでも、虫みたいな部分無い方が俺としたら非常に嬉しいところではあるんだけどね、うん。
むしろ、無理にアラクネ要素は無い方が良いまである。
なので、この姿の方がオールOKだ。
「ほっ、白蜘蛛ちゃん・・・・いや、アッシェに、毛むくじゃらな足とか付いてなくて良かったよ。蜘蛛の足で膝枕されてたら目覚めた瞬間に発狂してたわ。マジで蜘蛛要素無くて良かった~」
「・・・・・蜘蛛要素?」
「あぁ、いや、見た目は完全に人間になったなぁ、って。前の姿の名残、今の姿に全然ないじゃん??」
「・・・・・・ありますよ」
「へ?」
そう言うと彼女は、突如、力み・・・・・腰の部分から大きな蜘蛛の足を生やし始めた。
それは・・・・・・超巨大な8本の蜘蛛の足だった。
一番長い前足の長さ、目算だが、2メートルくらいはあるんじゃないだろうか。
白い毛に覆われたその見慣れた足は、正しく白蜘蛛ちゃん時代のもの。
それがパワーアップして、巨大化して帰ってきたという訳だ。 やったね!!
こんなぶっといおみ足♡思わずフリーズしちゃう!!
「・・・・・・・・・・・ジャック様?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・あの」
「・・・・・・・ぎょ」
「魚?」
「ぎょえええええええええええええええええええええッッ!!!!!!!」
俺は、盛大に跳ねて、気付けば彼女の膝の上から転げ落ちているのであった。




