第5章 掌握 ②
「ケルベロス様のお顔がカボチャに・・・・それもジャック・オー・ランタンの顔になっているのだけど・・・・?」
「あ、あの生物は何なんだ!? いったいこれは、どいうことなんだ!?」
ざわざわと、崖下にいる黒狼族たちが騒ぎ始める。
そんな彼らに対して、隣に立つルーナは大きく声を張り上げた。
「我が兄、ケルベロスは死にました!! そして今やその肉体は、新たにこの地を統べるお方、ジャック・オー・ランタン様の傀儡となっています!! 皆の者、新たなる階層支配者へ服従の意を示しなさい!!」
彼女がそう言葉を発した瞬間、黒狼族たちは口をポカンと開いたまま、呆然となる。
辺りに沈黙が広がったその光景に、ルーナは目を細めて笑みを浮かべると、俺へと視線を向けてきた。
「さぁ、ジャック様。スキルを解除して、あの愚かなる黒狼族たちに真のお姿をお見せください」
「「「ん?」」」
「最初はどうして、そのお姿でこの場にやってきたのかが分かりませんでしたが・・・・つい先ほど理解致しました。スキルを解除して、ケルベロスの死体を衆目に晒すため・・・・だったのですよね?」
「うむ」
「まぁ」
「それはそうなんだが・・・・」
確かに、その意図はあった。
前階層支配者の死体をフェンリルたちの目の前で晒し、奴らにこちらの力量を知らしめる策略は、当初から考えていたことだ。
だが正直に言ってしまうと、俺がこの身体を使っている目的の大部分は・・・・本体のただのカボチャの身であるよりも、三又の巨大なカボチャ犬の方が相手へ威厳を示せそうだなぁと、考えていた部分が大きかったことに起因する。
何たって、この公の場で舐められたら一巻の終わりだからな。
フェンリルたちから見たら、俺は奴らのトップを殺し、この地を不当に略奪しようとしている賊徒に過ぎない。
その俺が黒狼族どもから威厳も何も感じられない小物だと見なされた日には、お飾りの階層支配者の烙印を押されても仕方がなくなる。
そうなった場合、奴らの制御が叶わず、力量差を訝しんで俺に挑んでくる奴が後を絶たなくなるだろうし、下手したら暗殺まがいのことをしてくる奴も出てくるかもしれない。
そんな状況下ではこの第四階層を自分の安寧の地にすることはおろか、周囲が敵だらけの最悪な空間になってしまう可能性が高い。
そういった面倒な事態を避けるためにも、俺はこの場で新たな階層支配者としての威信を奴らに見せつけなければならない、のだが・・・・。
「・・・・なぁ、ルーナちゃん。はっきりと言ってほしいんだけど・・・・今の俺の姿って、やっぱ変?」
「? まぁ・・・・そうですね。率直に申し上げるならば、今のジャック様のお姿は、理解しがたい奇妙な生物・・・・といったところでしょうか」
はい、そうですよね。
白蜘蛛ちゃんも別れ際に微妙な顔をしていたし、眼下のフェンリルたちもこの巨体に対する恐怖、というよりは困惑の色が大きそうだったし・・・・。
カボチャ頭のキングギドラには誰も『意味が分からない』以外の感想出てこないよねはいわかっていました俺もです。
「・・・・・・・・【リビングデッドコントロール】解除」
そうして俺はケルベロスの身体から離脱する。
すると、身体は元のサイズに戻り、左右に付いていた二つのカボチャ頭は霧に消えるかのように瞬く間に空中へと溶けていった。
その不可思議な光景に驚きつつも、今は自分の能力にいちいち驚いている時間はないため、早急に行動を起こすことにする。
「よっと」
俺はドスンと力なく倒れ伏す、首のなくなったケルベロスの背中に乗ると、そのままフェンリルたちを見下ろした。
そして、不敵な笑みを浮かべながら彼らに宣言する。
「よう。見ての通り、ケルベロスは俺が殺した」
その一言とかつての第四階層支配者の亡骸を見て、フェンリルたちは一斉に悲鳴のような叫び声を上げ始めた。
「う、噓でしょう!? 守護者の末裔たるケルベロス様が、負けた!? それも、最弱のアンデッドのジャック・オー・ランタンに・・・・!?」
「信じられるかこんなこと!! あのアンデッドの裏に他階層支配者でも隠れ潜んでいるんじゃないのか!?」
「そ、そうだ!! 第五階層の回し者だろあのアンデッドは!! 夢魔族たちは常日頃から我ら黒狼族に敵意を向けてきているからな!!」
ワーワーと、群衆に混乱が巻き起こる。
まったく、話始めようとした矢先に面倒な事態だな、これは。
「あ、あのー、静かにしてくんねえか??」
俺のその注意の声も、フェンリルたちの大きな声によってかき消されてしまった。
恐慌する獣たちの様子に思わず、俺は呆れたため息を吐いてしまう。
するとそんな俺を見かねてか、隣に立っていたルーナが眼前の喧騒に負けじと大きく口を開いた。
「口を閉じなさい!! 新たなる第四階層支配者であるジャック様のお言葉を遮るつもり!?」
全体に広がりこだまする彼女のその声に、黒狼族たちは一斉に口を閉じる。
だが中央に立っていた3頭の若いフェンリルは、そんなルーナの怒鳴り声を意にも返さず、平然と俺たちに向かって怒りの声を返してきた。
「ふざけんじゃねーよ!! 誇り高き黒狼族の俺たちが何で最弱のアンデッドの下になんか付かなきゃならねえんだ!!!!」
「コウルスさんの言う通りッス!! てめぇら、紛い物の姫君とただのカボチャ頭相手に何をそんなビビッてんだぁ!?」
「そうですよ。確かに、階層支配者を倒した腕前は恐ろしいものです。ですが、流石に今はケルベロス様との戦いで消耗しているハズでしょう?? ならば、私たちにだって勝機はあるはずです」
そう口にしたのは不服そうな顔をした三匹のフェンリルだった。
その内のボス格の一頭は、普通のフェンリルより体格が二倍ほど大きく、顔がシュッと細長い馬面犬だ。
そんな馬面犬の横にぴったりと立つのは、人相の悪い瘦せたフェンリルと、足が異様に短いダックスフンドのような取り巻きの二匹の黒狼族だった。
その三匹の真ん中に立っている馬面犬ー---コウルスと呼ばれたフェンリルは、長い舌を出しながらヘラヘラとした笑みを浮かべると、群衆を搔き分け前へと躍り出る。
進行方向はというと、今現在俺がいるこの城の入り口であった。
「そこまでだコウルス。貴様、何をするつもりだ??」
しかしそんなコウルスと二匹のフェンリルの向かう先に、最前列にいたヴァイスが躍り出た。
自身より体格の大きいコウルスを睨みつけながら、隻眼の黒狼ヴァイスは、彼らの行く手を自らの身体を使って阻む。
「これはこれは、黒狼族最強のヴァイス近衛隊長殿。何、とは、愚問のようなことを聞いてこられますなぁ??」
「悪いことは言わない。列に戻れ。貴様じゃ、あのお方には傷一つ負わすことはできない」
ヴァイスがそう言った瞬間、三匹は気でも狂ったかのように大きく笑い声を上げた。
「ガッハッハッハッハッハッハッハッハッ!! 耄碌したか最強の戦士長ヴァイスよ!! あそこに立っているのは、跳ねるか火の粉を飛ばすしか能がない最弱のアンデッド、ジャック・オー・ランタンだぞ!? 黒狼族№2の実力を持つこのコウルス様が、後れを取るとでも!?」
「村に現れた、首のないゴブリンとアンデッド化したフェンリルたちを見たはずだ。あのお方は、それらのアンデッドを統べている尋常ならざる存在なのだぞ?? どう見ても貴様に勝てる道理はないと思うが??」
「悪いが、俺はその時昼寝をしていてな。村に来たアンデッドがどれほどのものかは見ていない。とは言っても、アンデッドごときにこの俺様が遅れを取るはずがないがな、ハッーハッッハッハッハ!!!!」
「・・・・・本当、相変わらず脳みそまで筋肉でできた奴。呆れるしかない」
そう口にして、はぁ、と、ヤオはヴァイスの後ろからため息を吐く。
そんな彼女に対して、コウルスはニヤリと下卑た笑みを浮かべた。
「ヤオ、お前いつになったら俺様のツガイになるんだ?? 東の村の村長は俺たちのことを認めているんだぞ??」
「悪いが、貴様とツガイになるくらいなら私は自害を選ぶ。それに、私には心に決めた方がいるのでな」
そう言ってヤオはチラリとヴァイスを見つめると、再びコウルスへと視線を戻した。
「まぁ、お前ほどのバカでも、同じ東の村出身のよしみだ、情けはかけてやるさ」
「情け、だと?」
「あぁ。悪いことは言わない。今すぐ元いた列へと戻れ。あのお方はお前が想像するよりもずっとー----」
「よっと」
ドスンと地面を割るような衝撃と共に、ヴァイスとヤオの背後に土煙が舞う。
俺はゴホゴホとせき込みながら、自分を抱える腕にチョンと頭の茎でタッチした。
「デュラハン・ゴブリンナイト、戦闘の後だっていうのにすまないなー」
「・・・・・・・・・」
俺のその言葉にデュラハン・ゴブリンナイトは片腕を胸に当て、膝を地面へ付ける。
そしてゴブナイちゃんは俺を抱く腕をそっと下げると、地面へと優しく降ろしてくれた。
「さて・・・・お前か? さっきから何かゴチャゴチャうるせーのは」
巨大な馬面犬に、俺は視線を向ける。
すると、コウルスという名前のフェンリルは、ハンと鼻を鳴らし、嘲笑じみた笑みを浮かべ始めた。
「も、申し訳ございません、ジャック様!!!!」
「こ、これは、私の責任です!! 村の者をまとめるのは私の役目でしたのに・・・・!!」
ヴァイスとヤオが慌てて背後の落下してきた俺へと頭を下げてくる。
そんな二人に、俺は頭を横に振ることで鷹揚に応える。
「いや、別に気にすんな。むしろこういう輩は好都合だ」
そうヴァイスとヤオに声をかけた後、俺はピョンピョンと跳ねて、件の騒いでいた三匹のフェンリルの前へと飛び出した。
そして三匹の目の前にたどり着くと、俺は巨大なフェンリルたちを静かに見上げ、眼光を向ける。
「んで? てめぇらは俺に従わない、ってことでOKか??」
「あぁ!? そうに決まってんだろ!! ここに御座すコウルス様はな、次期東の村の長になられる偉大なお方でー---」
コウルスを庇うように前に飛び出てきた、瘦せた人相の悪いフェンリル。
「【スラッシュ】」
「へ?」
俺は、前に出てきたのその取り巻きAが話し終わる前に【スラッシュ】で奴の首を素早く切断した。
ズバッと、肉を切り裂く音と共に、辺りに緑色の血しぶきがスプリンクラーのように飛び散っていく。
「いやー、本当、助かったよ。最初から素直に従うって言っている奴を不当に殺したんじゃ、ヴァイスとヤオへの心象が悪くなりそうだからなー。お前らみたいに自ら進んで死にに来てくれる奴は歓迎だ。何たって死体は俺にとって宝にも等しいものなのでな」
「なッー----!?」
馬面とダックスフンドが驚いた顔で俺を見つめている。
「ん? 何でそんなに驚くんだ?? お前ら、俺と戦いたかったんだろ?? 俺が攻撃をして何かおかしなことがあったのか??」
「な、なんだ、今の斬撃は・・・・」
「み、見えましたか? コウルスさん・・・・」
「い、いや、まったく・・・・」
「【アンデッドドール】発動」
困惑する二匹のフェンリルを無視して、俺は首のないフェンリルをアンデッド化させる。
《報告 【アンデッドドール】の効果により、デュラハン・ガルムが支配下に加わりました》
むくりと起き上がる、首のないフェンリル。
その光景に、さっきまで威勢の良かった二頭は、顔を青白くして啞然としていた。
「前々から気になってたんだよな。デュラハン化したアンデッドと首のある普通のアンデッドって、ステータスに何か変化があるのかなって」
チラリっと、俺は怯えるダックスフンドに視線を向ける。
すると足の短いフェンリルは「ヒィ」と、か細い悲鳴を上げた。
「前に作ったデュラハン・ガルムは、通常のガルムに比べて攻撃力とHPが低い代わりにSP値と俊敏性が増加していたんだ。でもそれって生前のステータスが影響していただけの可能性があるだろ?? だから機会があったら確認のために何体かデュラハン・ガルムを作りたいと思ってたんだ」
「や、やめ、た、助けてください、おねがいします・・・・!!」
ガクブルと震えだす、フェンリル。
俺はそんな彼に、不思議そうに顔を傾けた。
「え、助ける? 何で? お前、俺の下に付くの嫌なんだろ??」
「い、いえ! やっぱり、あ、貴方様の配下になりますぅぅぅ!!!! ですからどうか命はー---」
「嫌だよ。一度こちらに敵意を覚えた奴を生かすメリットなんてねーだろ。【スラッシュ】」
腹を見せて泣きながら懇願するフェンリルの首を容赦なく切断する。
そしてすかさず【アンデッドドール】を発動させた。
《報告 【アンデッドドール】の効果により、デュラハン・ガルムが支配下に加わりました》
「さて、残るところはお前だけか・・・・・」
取り巻きだった者たちが首のないアンデッドに代わり、俺の側へ付いたその光景に、コウルスは眉間にしわを寄せ、焦燥した顔で奥歯を嚙み締める。
「お前、身体でかいなー。SP値と俊敏性が上がる確率があるデュラハン化よりも、攻撃力と体力に自慢がありそうなお前は、そのままアンデッドにした方が都合が良いかな?? どう見てもパワータイプだろ、お前」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ジャック・オー・ランタン、様」
「あ?」
コウルスは突如仰向けになって腹を見せると、そのまま俺に対して謝罪の言葉を述べた。
「数々の無礼ある発言、申し訳ありませんでしたッ!!!! 貴方様は、真の強者です!! 弱肉強食の世界を生きる我々黒狼族にとって、貴方様はこの階層の頂点に立つ資格があるお方!!」
「あっそ。じゃあな、【スラッー--」
「このコウルスを生かしてくださるのなら、貴方様にひとつの利益を提示致します!!!!」
ピタリと、俺は詠唱を途中で止める。
「利益? それは何だ?」
「はっ!! それは、俺がこの階層の奥底に隠した、複数の魔道具の存在でございます!!」
「魔道具、か」
以前のヤオが使った魔道具、【空間断絶の宝剣】の存在が脳裏を過る。
もしあのレベルのアイテムがこの階層のどこかに眠っているのだとしたら、それは、俺にとってかなりの脅威になり得る代物だろう。
今のところ、こちらの陣営で最強のステータスを持つのはデュラハン・ゴブリンナイトだ。
そのデュラハン・ゴブリンナイトを一撃で真っ二つにできる魔道具。
そんな、【空間断絶の宝剣】と同様のものがあったのなら早々に回収しておかなければ、後々厄介なことになる可能性が高い。
「・・・・その、魔道具の場所は?」
「それは・・・・教えたら、俺を殺さないと確約してくださいますか??」
「別に俺はこの場でてめぇを殺した後に、階層中を虱潰しに魔道具を探しに行ったって良いんだぞ??」
「それは無理ですね。魔道具は地中深くへ埋めたので。いくら鼻の利くフェンリルといえども、絶対に見つけられはしません」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
見つけられる見つけられないの問答は置いておいて、ここで一番の問題は人間と同じ嗅覚しかない俺では、地面に埋められたアイテムを見つけることは絶対に叶わないという点だ。
もし、コウルスの死後、その魔道具を内心俺に敵意を抱くフェンリルがたまたま見つけ、手に入れでもしたらー----それは俺にとって、かなり危うい状況といえる事態だ。
そうならないためにも早々に、その魔道具はこの俺が回収しておく必要がある。
「・・・・いいだろう。その魔道具を俺へ渡せば、てめぇを生かしてやる。だがな、今度俺に対してさっきのような敵意を見せてみろ?? 一瞬でお前をアンデッドに変えてやるからな」
「あ、ありがとうございます、偉大なるジャック・オー・ランタン様」
俺のその言葉に、怯えた表情から一変、コウルスのその瞳は涙で濡れ、喜びに満ち溢れたものへ変わっていった。
俺はそんな馬面犬を一瞥した後、デュラハン・ゴブリンナイトの肩へと乗って、全体に声を張り上げる。
「そんで、まだ俺の下に付く気がない奴はいるかー?? いるのなら俺のアンデッドの材料にー---」
そう言葉を発した瞬間、フェンリルたちは一斉に仰向けになって、俺へと腹部を見せてきた。
総勢160匹のフェンリルたちが腹を見せているこの光景ー---何というか意味不明な風景すぎて笑えてくる。
「よし。そんじゃ、ま、俺に対して敵意を見せないのなら今まで通り普通に生活していてもらって構わない。だがもし、一頭でも反逆の意思を見せる者がいたのなら・・・・その時は南の村を消した時のように、お前らの村をひとつ、地獄に落としてやるからな」
その言葉に、全てのフェンリルたちがブルリと身体を震わせていた。
その様子からみて、十分、こちらの力を見せることは叶っただろう。
俺はデュラハン・ゴブリンナイトに命令を出して、城へと踵を返す。
「じゃあ、ヴァイス、ヤオ、後の事後処理はお前らに任せるぞ」
「御意!!」「はっ!!」
二人の返事を聞いた後、城の中へと戻る。
すると、玉座の間に、ルーナの姿あった。
ルーナは俺の姿を確認すると、にこりと、柔和な笑みを浮かべる。
「お疲れ様でした、ジャック様。見せしめに二頭を殺した結果、十分に黒狼族たちに恐怖を植え付けることができたでしょう」
「まぁな。しかし、ああいったバカがいて本当にラッキーだった。誰も俺に対して挑戦する奴がいなかったのなら、逆に難癖付けて見せしめに殺す奴を選ばなきゃならなかったからなー。そうなった場合、奴らに不信感を募らせるマイナスの面が大きかった」
「フフフ、ジャック様は本当にお優しいお方ですね。貴方様の御力であったら、全ての黒狼族をアンデッドの傀儡に変えることも可能でしょうに」
「別に俺は虐殺がしたい訳じゃない。共存できる奴がいるのなら共存して暮らした方が良いだろう。違うか??」
「いえ・・・・ですが魔物は基本同族以外を敵とみなし、喰らいあう生物ですからね。共存、というその言葉は魔物というよりもどちらかというと人間に近い性質で・・・・・ハッ!! も、申し訳ございません!! ジャック様を人間などという下等な生物と一緒くたにしてしまいまして!!!!」
「いんや? 別に構いやしねえよ? 俺は人間って生き物には多少なりとも縁が深いからな」
「? それは、どういう・・・・?」
「いや、なんでもねえ。気にするなー----」
《報告 支配下にあるスカルゴブリンが、氷結状態に入ったため、活動を停止しました》
「はぁッ!?」
その報告の後、繋がりのあったスカルゴブリンの体力が瀕死状態に近いことが何故か手に取るように分かった。
そして、フェリシアの身に何かがあったことも、理解した。
「ど、どうかなされましたか? ジャック様?」
デュラハン・ゴブリンナイトの肩の上に乗った俺の、その何か考え込んでいる顔に対して、ルーナは困惑気に首を傾げる。
俺はそんな彼女に対して、苦い顔を向けることしかできなかった。




