"理不尽からの逃走"
かつて序章1に掲載していた始めの部分を少し書き直しています。
内容にはさほど影響はないと思いますので気軽にご覧下さい。
世界の大半は理不尽で出来ていると言うが本当にそう思う。
誰かを傷つけたわけでも無いのに恨みを買い、謂れのない不幸が罪も無い人を襲い、絶望させる。
ただ幸せになりたいと願っているだけでも誰かに裏切られ、奪われて、全てを失う。
逆もまた然りで、幸せを得ようとしているだけで見知らぬ誰かが不幸になっている。
そんな世界で、生きているうちに幸福な人生を送れている者はごくひと握り、平凡な人生を送る者はおよそ三割程度、残りの大半の者は思い通りのいかない不満な人生を送っていることだろう。
そして、そんな理不尽に抗えず、生きる意味を見出せない者達がいるのだが、そういった者達は先程語った割合には組み込まれず、その割合以上の数が消息を絶っている。
この消息を絶った者達というのは、世界から爪弾きにされてしまった人々のことを指している。
つまり、死んでしまった者達のことだ。
ある時は、恋愛感情のもつれで起こった修羅場による惨劇にあう者。
ある時は、相手を陥れる為に計画的犯行によって消される者。
他にも、不慮の事故や急病による衰弱死など理由は様々あるが、あえてこれを割合で示す場合、中でも最も多い死因は自殺である。
その理由は、人生に絶望をし、精神的に追い詰められ、視野が狭くなったことで起こる自身喪失のによる人生への最終的な逃避行、ともいわれている。
そんな中また一人、世界に絶望し、自ら命を絶つことで生きる事から…人生から逃がれようとした者がいた。
そうすることで、世界という理不尽の地獄から、死という名の救いを求めて……………。
理不尽、それは…人生において誰しもがぶつかる巨大な壁。