第67話 人事部長と面談、仕組まれた人事?
*結婚式で、沢山の人達から祝福してもらい、新婚旅行も5泊7日でハワイへ新婚旅行を
してきた。旅行から帰り新婚生活がいよいよスタートしたのである。
同棲期間もある程度長かった為、婚姻届を出して夫婦になり、お互いに大人の責任が
1つ増えただけ!アパートでご近所さんに挨拶されたときに、奥さんと言われることが、
凄く嬉しいと優子は話していた。
優子は、直也の転勤の話が、出ていたこともあったので、結婚と同時に働いていた会社は退職して、専業主婦になったのである。これは結婚してから聞いた事だが、優子は、
3食昼寝付きの専業主婦に憧れていて、さらに欲を言うと、旦那のいない間は、せんべい食べながら、昼ドラを見るのが夢だったと聞かされた。
それが実現出来たかどうかは、優子本人じゃないと分らないのである。
直也の仕事は相変わらず、帰りは遅く午前様も結構多かった。
結婚して間もない頃、直也は、本社人事部長からの面談の連絡がきたのである。
その日の夜、仕事を終えてアパートに帰り優子にその話をする。
優子、今日会社でさ、本社人事部長から電話がきて、明日部長来て面談すると言われた。
きっと転勤の内示だろうと、上司からは言われた。
そうなのね?直ちゃん的には、どこに転勤か予想がつきそう?栄転?させん?
私はどこでもいいよ!楽しみ!転勤で新しい土地に行くのってワクワクするしね。
噂で聞いたのは、今よりは大きい店舗になるのでは?と言う噂はある!そうなれば、栄転なのかな?明日になればわかると思うよ!優子は、どこでもついてきてくれるよね?
どこにでも?勿論!当たり前でしょ?私は直ちゃんの奥様だから!楽しみだね!
栄転でもしかして?店長さん?とかあるの?
優子は、旅行気分のようだね(笑)店長での栄転はないかな?って?
店長になるにはまだちょっと若いかな?今の副店長のポジションでさえ、俺一番若いし!それに、もう少し偉くなるのは後のほうがいいかな?
旅行気分?だって直ちゃん忙しくて、あまり色んな所連れて行ってくれないからね!
せめて、転勤で新しい土地に直ちゃんと行けば旅行気分になれるでしょ?
店長にはまだ早いか~?私もいつか店長夫人になりたいな(笑)
もしかしたら?の可能性もあるだろうから、明日期待してまってみる!
若いうちに偉くなるといいと思うけどね!
とにかく明日になれば分かるから、分ったら電話した方がいい?
それとも帰ってきてからでいい?
結果は、直ちゃんの顔見ながら、聞きたいから明日帰ってきてからでいいよ!
それまで楽しみに待っているからさ!
・・・・・翌日・・・・
会社で人事部長から呼び出しされる・・・・。
直也の転勤はどこに・・・・。
役職栄転人事はあるのか・・・・。
直也はドキドキしながら、会議室のドアを「トン・トン」とノック
すると・・・会議室の中から「入れ」と部長の声が聞こえる。
失礼しますといいながら、会議室の中に入る。
「ご苦労さん、そこにかけなさい」「はい・失礼します」腰をかける直也!
<人事部長>
・忙しい所、すまん!今日はどうして呼ばれたか分かるか?
私が君を呼ぶのは人事の事しかない!どんな人事でも受けてもらいたいのだが、
いいか?
<直也>
・「はい」転勤ですよね?覚悟しております!会社での人事であれば、謹んでお受け
するつもりです。部長私の人事は?
<人事部長>
・色々噂も聞いているとは思うが、君が期待していた人事はない!つまり転勤はない!
それと、役職は現状維持のままで、副店長で1年また頼む!それと本社の佐伯知っているよな?お前の2年後輩!佐伯が来期からつまりお前の上司でこの店の店長だ!
佐伯から君を副店長でどうしても残して欲しいと強い要望があって!来月からこの人事で頼む!私からは以上だ!
<直也>
・転勤なしですか?えっ?佐伯が店長?どうして佐伯が?
私が佐伯の部下ですか?
<人事部長>
・何か不服か?不服でも決定した事だ!決定事項に不服があれば、君の降格人事も検討しないといけないのだが・・・!どうする?
<直也>
・わかりました!謹んでお受けいたします。佐伯店長の下で全力を尽くしたいとおもいます。本日はありがとうございました。
*部長との面談を終えた直也は、転勤も無!役職も現状維持!だが!店長が佐伯とは!
転勤に関しては、栄転人事も期待していたのも事実だったし、それに店長での転勤も
多少は期待もあったがそれも消えた。結婚式も転勤の可能性があったから、急いだ
のに!優子に話したらなんて言うだろうなと考える直也!
それに、店長が本社から佐伯が?これが一番嫌な人事だった!佐伯の部下だけは、
避けたかったのである!それは、直也が2年目の社員の時、新入社員で入社してき
た佐伯をかなり厳しい先輩社員として指導し、周囲からはやり過ぎとまで言われる
ほどの厳しい指導で何回か本社重要指導案件で呼び出しもくらった経験がある相手が
今度は立場逆転の店長で来るとは正直そっちの方が直也にとっては気がかりであった。
その日の夜、直也は自宅に帰り、部長との面談内容を優子に伝えるのである
<直也>
・優子「ただいま」
<優子>
・直ちゃんお帰り・・・。ねえ~ねえ~どうだった?どこに転勤?
いつ引越し?
<直也>
・まあ~。ちょっと落ち着いてさ!座って話すよ!食事は後でいいから、先に話すから、
優子も座ってくれよ!
<優子>
・「うん」と言いながら、座る優子!それで?どうだったの?
それで?それで?もったいぶらないで早く聞かせてよ!
直也>
・転勤の件だけどさ!今回の転勤移動は無。現状の店舗で来期も仕事。役職も現状維持で副店長のままと部長から言われた。優子には、期待させておいて「ごめん」
それに、結婚式も転勤の話が上がっていたから急いだのにさ!本当にすまない!
あとさ!店長が変わる!現在本社勤務で俺の2年後輩の佐伯が店長で来る!
これは、佐伯が仕組んだ人事のような気がする。
<優子>
・そうなの?転勤なしね!引越し準備しなくて楽になったからもうかったよ。
役職も現状維持でよかったじゃない!新しい店長?直ちゃんが嫌な人?なの?
私は良く分らないけど!直ちゃんの好きなようにしたらいいよ!しっかりしなさいよ!
副店長頑張れ!大丈夫!私の旦那様だもん!
<直也>
・期待していた新天地の旅行気分は、次回に持ち越しになってしまってさ!すまないな!
佐伯とは、ちょっと過去に色々あって!でも過去の事だし、それに部下は上司を決める事が出来ないからさ!まあ~それなりに付き合うよ!
<優子>
・あまり無理しないように頑張ってね。直也が心配かけまいとしていた事が優子には
分っていたので、多くは語らなかったのである。
*優子には話せないが、佐伯との事を少し話すと、直也が会社2年目に新入社員で入社
した佐伯の教育担当で当時は、指導が行き過ぎると周囲から言われる程、かなり厳しい指導方法で、幾度となく上司に指導方法を注意された事は、社内でも有名な話で今でも当時を知る社員は、影で直也を「鬼直」とまであだ名がつくほどだった!
当然、このあだ名の件は、直也は知らない!知るはずがない!懐け親は、佐伯本人で、
あることないことを触れ回り、悪い噂を広げた発信元だからだ!
佐伯は、「ゴマすりエッキー」の噂が飛んで耳に入るくらい、自分の出世の為なら、
上には、是でもか?と思うくらいゴマすりをし、下には是でもか?と思うくらい、
見下し追い込む卑劣な上司として有名なのである。直也は、もしかして、あの当時の事を恨みに思い、仕返しの為の人事ではないかと考えるのである。
佐伯が店長での着任には、不安はあるが、随分前の事だから、考え過ぎかもと自分に言い聞かせるのである。それと転勤がなく、昇格もなかったのは、直也は内面ほっとしていた!その理由は、優子が年齢も年齢だし、子供を授かるのには、少しでも若い方がいいと考えていたからだ。男としては、昇格もしたいでも、今は子供が欲しいと
思う気持ちが優先していて、どこか転勤がなかった事はむしろ自分達夫婦にとっては
プラスと考えるのであった。この胸の内は、優子には話せない、プレッシャーになると思ったからかである。
この人事が、どのように夫婦生活をかえていくのか?「明・暗」どっちに転んで
行くのか?今の2人には知る余地もない!
そして・・・・。




