第66話 人生のスタート
*優子は、幼い頃からの夢!お嫁さんになったのであった。ここまで来るのに沢山涙も流した。一途に思い続けてきた直也との結婚が出来た。沢山の寄り道はしたけど!身長差50cm!見た目は、小学生?と間違えられても可笑しくない!恋をしても身長が低いコンプレックスを常に不安に感じて過ごした日々!直也を好きになれば好きになるほど、
一途に思えば思うほど、コンプレックスと言う悪魔が邪魔をして牙をむいて襲い掛かってきた。何度も何度も心が折れて挫折寸前だった。でも今は、直也を一途に思いお嫁さんになれた。私の心の支えは、直也が私に言ってくれた言葉!
人を好きになるのに理由はない!
「俺は、背の低い5歳年上の優子を好きになった訳じゃない」
「俺は、好きになった優子が、5歳年上で背の低い女性だっただけだ」
普通の人なら対して気にならない言葉でも優子にとってはとても重く心に響いた!
優子は、私を1人の女性として見てくれたこと!そして周囲から反対されても
直也は、優子のそばを離れなかった!直也を信じて良かった。
その証が、今こうして結婚式の披露宴でウエデイングドレスを着ている私!
式場内は灯りが消え、扉が開きスポットライトが照らされて父と腕を組み、直也の元に
歩く優子!そこで式場内から聞こえた声「可愛いお嫁さん」「お人形さんみたいで可愛い」
式参加者から掛けられるお祝いの声!父と腕を組んで歩きながら、どれだけこの瞬間を
夢見てきたことか!
日常生活でよく聞く言葉!人並みの結婚!人並みの生活!人並み!人並み!私のような
コンプレックスを頂きながら、人並みを求め続けてきた私!物心ついた時から、人並み
からずっと離れていた!だからこそ、私、優子にとってはとてもこの幸せが人並み以上
の幸せに感じた。むしろ今の私は、世界一の幸せ者!
披露宴もどんどん進み、2人の共同作業キャンドルサービス!10人ずつの円卓テーブル20のテーブルを回り祝福の言葉を沢山頂き幸せを感じる2人!
幸せの時間の経過は、あっと言う間に過ぎ、ついに!結婚式のクライマックスと続く!
司会者より、「これより新郎・新婦さんから花束の贈呈です」
まずは、新郎・新婦が今まで育ててくれたご両親へ、お渡しします。
優子は、両親を目の前に、感情が込み上げ言葉が出ず、父と母の目には涙が、必死に言葉を掛けようとする娘に、父も母も目を真直ぐ見て、「うん・うん」と2人で頷き、一言
「幸せになれよ、おめでとう優子」と声を掛ける両親。
そして、直也が優子の両親へ花束を贈る。
花束を渡して握手をしながら、優子の父と母はこう話す!
直也君「優子を・・・娘をどうかどうか」宜しくお願い致しますと言われ、握手した両親のそれぞれの手の温もりは、今までずっと大事に愛情を注いで育てた気持ちが伝わってきた。両親からバトンされ身が引き締まった!この瞬間、直也は、この重みを肌で感じ、両親には、必ず何があっても私が優子さんを守り幸せにしますと両親に伝えたのである。
司会者から、ここで今まで育ててくれた、ご両親に新婦優子様より、感謝のお手紙がございます。それでは、新婦優子様宜しくお願いいたします。
優子は、マイクの前に立ち、両親への感謝の手紙を開いた。
今まで育ててくれた、「お父さん・お母さん」へ
今までの色々な感情が・・・込み上げて言葉に詰まる優子。
会場は、静まりかえっていた!しばらく沈黙!すると!
「優子ちゃん頑張れ!頑張れ優子ちゃん!」
静まりかえっていた会場から優子へエールが届く!直也がすぐそばで、優子感謝を伝えること出来るよな!俺の「お嫁さん」になったのだからな!と耳打ちする!
そして、手紙を直也が右手で抑えてあげて、左手は優子の背中に軽く回した!
司会者からは、ナイスフォロー!新郎さんが新婦さんを脇でエスコートしております!新婦さん素敵な旦那様に支えられて、幸せ一杯の感謝の手紙です。すると会場からは、大きな拍手が数秒続いた!優子は、これで少し落ちつきを取り戻した!
直也は、俺がそばにいる大丈夫だよ。優子!深呼吸してゆっくりでいいから落ち着いて!
「うん」と頷き手紙を読み始める
<感謝の手紙>
・今こうして!ここに小さい頃からの夢であったお嫁さんになる事が出来ました。
「お父さん・お母さん」私!夢叶えたよ!ちゃんとお嫁さんになれたよ!
幼い頃から、病弱でいつも心配ばかりかけてごめんなさい!こんな小さな私でも、
いつもそばで優しく見守ってくれたお父さん!散歩しながら、結婚を許してくれた時にお父さんと見た夕日は、私の一生の宝です。
お母さんもう自分を責めないでね。「小さく生まれてもお嫁さんになれた」
ずっと小さく生んだ事を気にしながら、私を見守ってくれていた事は、知っていたよ!
お母さんもう心配いらないよ!これからは、直也さんと2人で力を合わせて、幸せな
家庭を作っていきます。私は、お父さんとお母さんの娘で本当に良かったです。
お父さん・お母さん心から感謝しています。長い間、本当にありがとうございました。
2人でいつまでも仲良く元気でいてください。優子より。
司会者から、新婦優子さんから、ご両親に心温まる感謝の手紙でございました。
結婚式の準備段階から、新婦優子さんの胸の内をお聞かせ頂きました。
新婦優子さんが抱えてきたコンプレックス!沢山、悩み苦しんだ恋愛!でも悩み、
苦しんだ分だけ、今こうして新郎直也さんとの結婚は、感無量の幸せと存じます
最後に1つだけ、会場の皆様に司会者である私から、直也さんから、お聞きした言葉で、
1番印象に残ったのは、「人を好きになるのに理由はない」この言葉だけで、私は、
新婦優子さんを幸せに出来ると確信いたしました。
このような若い2人に今一度盛大な拍手をお送り下さい。
会場からは、惜しみない拍手がしばらく続きました。
幸せいっぱいの2人ではありますが、披露宴も間もなく閉会となります。ここで、
両家を代表致しまして、新郎直也さんより、御礼のご挨拶がございます。
それでは、新郎直也さん宜しくお願い致します。
<新郎御礼>
・両家を代表致しまして、一言御礼を申し上げます。
本日はお忙しい中、私達2人の為に披露宴にご出席を賜り厚く御礼申し上げます。
沢山のお祝辞を頂き、これから2人で力を合わせて進んでいく所存でございます。
見ての通り、まだまだ未熟な2人ですが、今後とも御指導御鞭撻の程、宜しく
お願い致します。簡単ではございますが、御礼の挨拶に返させて頂きます。
<司会者>
新郎直也さんありがとうございました。間もなく閉会の時間となります。
帰りの準備をして会場の皆様はそのままお待ち下さい!
すると!会場が一気に真っ暗になり!新郎・新婦にスポットライトが当たり!
新郎・新婦さんが、会場の皆様をお見送りするため、先に退場させて頂きます。
新郎直也さんの最後の大仕事!皆さん注目して下さい!
新郎が新婦をお姫様抱っこして退場します!
会場は一気にざわめき、オゥー「新婦を落すなよ」ヒュー!ヒュー!
皆さん見て下さい!幸せな2人を!そして、慢心な笑顔を!
さあ~それでは、新郎直也さん!新婦優子さん!会場の皆さんに幸せいっぱいで
お姫様抱っこで、退場します。鳴り止まぬ拍手と最高の祝福を受けて、2人は会場を後にしました。
*こうして直也と優子は、新たな結婚生活のスタートラインに立ったのであった。
直也は、ここまで来るまでに沢山色々な事があったなと頭を過った。結婚という
スタート地点にやっと立てたと思うとともに、優子を一生涯守っていくと改めて心に誓うのである。それと同時に、優子がコンプレックスを感じていたのは事実ではあるが、
結婚式で沢山の人達から祝福された事で、もしかしたら、コンプレックスを強く感じていたのは、優子よりむしろ直也本人だったのかも・・・・と思うのであった。
直也と優子は、新婚生活へと・・・。
人生は、色んな事がありすぎる・・・。
幸せの形とは人それぞれである・・・。
神様は、本当にいるのだろうか・・・。
子宝にはめぐまれるのだろうか・・・。
2人は結婚し夫婦となりスタートラインに立つ。次なる壁は、明なのか?暗なのか?
まだ、分らない2人であった。




