第六十三話 2人でベランダから見た忘れられない星空
*ビデオテープのレッスンをスタートしてから、3ヶ月が経った夜、レッスンが終ったあとに、直也が優子の身長を測った。スケールで直也が身長を測り、2人の目があった。
すると・・・・。2人からは、笑いが出た!結果が出た。
直ちゃん、結果がでたね! 優子、結果でたな!やっぱり、努力は無駄じゃなかったな?
2人は抱き合って喜んだ。
<直也>
・1cm伸びたな(笑)いや~?これは、奇跡だよ?だって、優子はもう?三十路だよ!
三十路!成長期でもないのに1cmも伸びた!これは奇跡だよ!
<優子>
・そうだね?私もびっくり!正直、伸びるとは思わなかったからね(笑)1cm私には大きいよ。でも耳が痛い言葉もあったけど!これでも私は、女性なのですが?レディーに対して三十路の2連発は、ちょっとムカツクのですがね・・・・。
<直也>
・まあ~。まあ~。硬い事言わないで!背が伸びたのだから、いいじゃない?それに、本当の事だし!三十路は・・・(笑)おっと?
<優子>
・またそうやって!怒るよ!直ちゃん!もう一回いったら!もう許さないからね・・・。
<直也>
・ごめん。ごめん。もういいませんから!お許しを・・・・。
とにかく、2人で努力した成果は出たな!この1cmは2人の宝物だな!
よし!明日の夜、背が伸びたお祝いでもしようか?
<優子>
・今回は、この1cmの記念に許してあげるよ!明日の夜お祝い?そうだね!
2人で禁酒して、3ヶ月頑張ったからね(笑)よし!明日は奮発して、ご馳走作って
お祝いしますか(笑)
<直也>
・そうこなくちゃ~(笑)明日は3ヶ月分飲むぞ~!
お祝いだし!ずっと我慢して禁酒してきたのだから、明日くらいはお祝いで飲むぞ~。
レッスンを始めてからは、2人でずっと禁酒していたのである。
*翌日の夜に2人でお祝いの準備を終えて、乾杯しようとしたその時、1本の電話が鳴ったのであった。
<直也>
・なんだ?電話?せっかく乾杯するときに、水を差すような電話がなるのであった。直也は受話器を取って電話に出る。「はい、もしもし」その電話は、直也の母からであった。
<お母さん>
・直也?母さんだけど、元気かい?今電話いいかい?
<直也>
・母さん?何か用?俺は何も用無いけど!
<お母さん>
・何でそんなによそよそしいの?直也前回家に来てから、音信不通だから、心配になって?連絡したのよ!優子さんも元気なのかい?隣にいるのでしょ?ちょっと電話口に出してくれない?
<直也>
・はあ?何今更?音信不通の原因作ったのは、父さんと母さんだろ!今更何のよう?
元気だし、俺たちには構わないでくれないかな?それに、今更、優子に何のよう?優子がどんなだけ、傷付いたかは分っているはず!電話口に出す訳ないだろ?もう切るから!
<お母さん>
・直也!ちょっと待ちなさい!あんたには話はない!優子さんを電話口に出しなさい!
あんたが、優子さんと本気で結婚したいなら、電話口に出しなさい。
いいから出しなさい!
*電話の内容から、直也のお母さんからの電話で私に代わって欲しいのだと近くで聞いていた優子は、電話での会話から、そう悟ったのであった。
<直也>
・優子も母さんとは、話したくないと!そう直也が話すと、すぐ傍で聞いていた優子が、
直也から受話器を取り返した。優子!何すんだ!やめろ!
*直ちゃんいいから、受話器から手を離して頂戴!いいから!早くと言って、ぎりぎり直也から、優子は受話器を取り返した。
<優子>
・「もしもし」お母さん。ご無沙汰しております。その節は、大変ご馳走様でした。
<お母さん>
・「こんばんは」優子さん!こちらこそ、ご無沙汰しております。直也から、色々聞いていると思うけど、優子さんを傷付けてしまってごめんなさい。許してくださいね。私もお父さんも決して悪気がある訳ではないのよ。それだけは分って欲しいの!それとね。優子さんにもう一つお話があるのね。不束な息子ですが、直也の事、宜しくお願いします。
<優子>
・えっ?お母さん?それって?もしかして?
<お母さん>
・そうよ。息子が好きになった人ですもの。優子さん直也と幸せになって頂戴ね。それと
ご両親にも近いうちに必ずご挨拶に行きますと伝えて頂戴。結婚式の事は、優子さんのご両親に挨拶に行ってからでいいかしら?直也と時間作って、また家に来て頂戴。
それと、お父さんも私と同じ気持ちだから安心して頂戴。
<優子>
・「ありがとうございます」両親にも伝えておきます。
今、直也さんにかわりますから。
<お母さん>
・優子さん?いいのよ!かわらなくて!直也は、私達両親の事は、許してないから!
でも、あの子は優子さんの事を本気なのよ。自分の息子ながら真直ぐに優子さんの事を好きで、一生懸命な姿を見てお父さんと話したのね。私達大人に、若い2人の幸せを壊してまで反対する権利など何もないよねって!だから、優子さん直也と幸せになって頂戴ね。結婚の祝福出来るまでかなり時間かかって本当にごめんなさいね。お父さんの分も私から謝ります。直也機嫌悪いだろうから、もう切るね!優子さん直也と相談してまた遊びにおいでね。
<優子>
・お母さんありがとうございました。私は、その言葉を頂けただけで、十分です。お父さんにも宜しくお伝え下さい。それでは・・・・。
電話を切る優子。
<直也>
・おいおい!どう言うつもりだよ!あのババア~。せっかくのお祝い気分が台無しじゃないか!それに、何で!優子も電話を取り返して、あのババア~と話が出来る?お前を傷つけた奴だよ!何を考てる!
<優子>
・ちょっと!直ちゃん!あのババア~とか、奴とか!その言葉撤回して!少なくても自分のお母さんでしょ?それに、電話も用事があってよこしている訳だし、直ちゃんよりお母さんの方が、よっぽど直ちゃんの性格を理解してるわよ!
<直也>
・だって~!ムカツクじゃないか!優子は何で冷静に居られる?俺はそっちの方が不思議だ!優子を傷つけておいてさ!いくら俺の親とはいえさ、普通に話せるのだからさ、俺にはわからん!
<優子>
・直ちゃんの両親だけじゃないよ!皆さ、人の事は好き勝手言うけど、自分のしてきた事とかは、綺麗さっぱり忘れる!直ちゃんもその1人でしょ?手を自分の胸に当ててみたら思い出すでしょ?ここまでの道のりの中で私に今までしてきて事?
私だってそうだよ!人の事は、あれこれ文句言う癖に、自分の事は、自分が可愛いから、
あたり触らずその場しのぎで交わす事も多い。私だって、1人の人間だから、感情はあるし、少なくても結婚の反対に傷も付いた。でもね。今この時点で何が大事か?それを考えたら、直ちゃんの両親を恨むより、お母さんは歩み寄ってきてくれた。私は、それだけで、全部許せるのよ。
<直也>
・何?優子は、俺も過去に傷つけたから、あの親あってこの子ありとでも言いたい訳?
それにさ!おふくろに何を言われた?気にする事ないからな!とにかく今度、電話きても話さなきゃいいからさ!
<優子>
・何でそんな風に捻くれるの?そんな事言ってないじゃない!それに、私の話を直ちゃんきちんと聞てる?お母さんが歩み寄ってきてくれたから、私は全部許せると話したでし
ょ?
<直也>
・もう!面倒くさい!で?おふくろから、何言われたか優子教えて!はっきり言われないと俺わかんない!頭にきてさ!頭の回路が回ってないわ!
<優子>
・話すから、ちゃんと冷静に聞いて、頭にきている状態なら、何を話しても直ちゃんは、全部右と言えば、左としか言わないから!冷静に聞くと約束して!いい?
<直也>
・わかった!冷静になって、聞くから!約束する!で?何を言われた?
<優子>
・お母さんから、2人の幸せを壊してまで、結婚を反対する権利はないって!
直ちゃんの事を宜しくお願いしますと言われたの!
<直也>
・えっ?それって?つまり?結婚を許すと言うこと?
えっ?えっ?えっ?何がどう?何がおきた?だったら、俺が電話に出た時に、母さんもそう話せばよかったじゃないかな?でもオヤジは反対だろうから!
<優子>
・そうだよ!結婚のお許しがでたのよ!直ちゃん!お母さんが直ちゃんに話せる訳ないじゃない?最初から、あんな風に態度悪く接したらさ!お父さんも同じ考えだって。それで、私の実家にも近いうちに挨拶に行くと話されたし、直ちゃんとまた遊びにおいでと言われたよ。だから今日はWお祝いとなりました(笑)
<直也>
・そっかあ!そっかあ!やっと!やっとだな!でも何で急に?まっ?いいか!
乾杯前に、ちょっと、ベランダで1本タバコ吸ってくるからさ!
今から数分前とは、状況は一転した!冷静に優子の話を聞き、感極まり、タバコを口実 に、ベランダへ出た。こういう時の星空は、凄く綺麗だった。星を見ながら、やっと!やっと!優子と結婚出来る。今までの出来事を思い浮かべ、星空を見上げながら込み上げるものが多く、目から涙が出てきた。すると優子もベランダに出てきた。
<優子>
・直ちゃん!どうぞ!ビールを手渡す!ここで乾杯しよう!あれ?直ちゃん?
綺麗な星空なのに、目から鼻水が出ている!って・・・・。直ちゃん・・・。
私も目から鼻水が沢山出てきた!こんなに!鼻水が!脱水症状にならないうちに、早く乾杯しよう!直ちゃん!末永く宜しく!乾杯!
<直也>
・感極まって、目頭を押さえるのが精一杯!鼻水が決壊してしまったな。こういう鼻水ならいくら流してもいいな。ここまで来るのに長かったな、随分優子を待たせてしまって、申し訳なかったな。優子とやっと!スタートラインに立てたな。優子!末永く宜しく!乾杯!
*こうして、予想もしていなかった急展開に、涙で顔がぐちゃぐちゃになりながら、綺麗な星空の下で、ビールで乾杯!2人に取って、忘れられない1日になったのである。
驚きながらも祝福されての結婚へと2人は進んでいくのである。
優子は、幼い頃から夢を見ていたお嫁さん!祝福されての結婚!両親への感謝!
自分がコンプレックスを持ち1度は諦めかけたお嫁さんの夢!この夢は、1人では、絶対に達成する事が出来ない!いくら好きな人がいても一方通行では、結婚の夢は叶わない!直也が前に優子に言った!好きになった女性が、年上で背が小さかっただけ、
人を好きになるのに理由はない。色々あったけど、こうして2人は、祝福された結婚に向けて進んで行くのである。
そして優子は・・・・。夢にまでみた・・・。




