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身長差50cmの恋  作者: Last Life
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第六十二話 紙袋のなかみと優子の反応

*直也は、優子を駐車場の自分の車まで連れ出して、紙袋を手渡して、自分だけ先に部屋に戻ったのであった。親からの反対理由が、背丈の事が原因、これだけは、打開策が無く、ずっと直也は悩んでいた。もちろん優子の気持ちも考えると、どうしていいのか?

 答えを見出せずにいたのであった。直也は悩んだ。だが、優子と別れる選択肢だけは、直也の気持ちにはなかった。でも抱える問題があまりにも厳しい!自分よりずっと背丈の事を気にしていた優子は、もっと苦しんでいるはずだ。そう考えれば考えるほど、益々どうしていいのか分からなくなっていた。いくら好きな優子でも、優子の気持ちが本当に分かるはずがない。直也は、考えたあげくに、1つの答えに辿りついた。その答えは、

 自分が優子を好きで、結婚したいと本気で思うなら、自分が出来る事を優子にしてあげようと決意したのであった。その答えが正しいのか?間違っているのか?それは分らない。でも思ったらまず行動!結果に左右されず、行動する!

 人生には色んな選択肢がある。後悔しない人生を送りたいと考えるのは、理想論だと思う!でもその理想に近づくために日々皆葛藤するのだと思う!

 人生の中で幾度と無く聞く言葉、「相手の立場に立って物事を考えろ」一般的にはよく聞く言葉だ!言葉の意味は、理解出来る!でも、優子に当てはめると、俺が優子の立場で背が小さかったら、この事をどう考えるだろう?でもそれは無理がある。現に、俺は、優子のように背が小さくないからだ!つまり何を言っても優子には同情にしか聞こえないだろう!世界中を探せば、俺と優子のように身長差があるカップルは、沢山いるだろうな?同じ悩みを抱えているカップルがいるだろうな?俺達のように両親に反対されて、苦しんでいるカップルがいるだろうな?

 現代なら、そんな悩みをネットで検索すれば、ものの数分で同じような境遇の人を探し、

 情報を得る事が出来ただろうけど、残念ながら当時は難しかった。

 きっと、現代なら色んな解決策を探せただろうけど、当時直也が考えたあげく辿りついた答えは、優子に渡した紙袋の中にあった。ある意味優子がその紙袋の中を見ての反応がどうかは?賭けでもあった。


 むりやり車に連れてこられて、手渡された紙袋!優子は、何が何だが分らずにいた。

 車の鍵を置いて、自分だけ部屋へと戻った直也の態度が面白くない優子ではあったが、

 運転席に座り車のエンジンをかけて室内灯をつけ、手渡された紙袋の中をあけて見て、

 物を取ってみて、優子は言葉を失った。その中に入っていたのは、1本のVHSのビデオテープと2つ折の1枚の手紙・・・。優子はそれを見て、両手でテープと手紙を抱きしめた。もう・・・・。言葉にならなかった。しばらくの間、固まって動けなかった。

 その間、10分くらいは、動けなかった。

 

 紙袋のVHSのビデオテープは、背が大きくなるヨガのレッスンビデオだった。それと1枚の手紙の中には、「部屋で着替えて一緒にレッスンするぞ」と書かれてあった。

 ビデオテープを抱きしめながら、直ちゃんが、私の事をこんなに考えてくれている事に、胸が熱くなり今までの不安や苦しさが、一気に込み上げてきて、ボロボロと涙が止まらなかったのである。両親からの反対で精神的にもきつい状況であったし、直也との結婚の事も弱腰になっていたのも事実!でもそんな自分が情けないと思う優子なのである。

 直ちゃんは、私の気持ちを理解してくれていた。私より直ちゃんの方が、苦しかったのかもしれない!もっと強くならなきゃ!もっと強く!そう改めて思い、15分後に、直也の待つ部屋に戻る優子なのである。部屋に戻ると、横になってテレビを見ていた、直也に声をかける


<優子>

・直ちゃん!車の鍵テーブルの上におくね。それと・・・・。「ありがとう」

 

<直也>

・テレビを消して、起き上がる直也。優子を見て、目から鼻水流したのか?それに夕日のように真っ赤に充血して!顔洗ってきたら?直也は運動着の上下に着替えていたのであった。


<優子>

・直ちゃんの「バカ」目から鼻水出るわけ無いじゃない!鼻水の原因は誰よ!

 もう!可愛い優子ちゃんの顔が台無しだわ!

 洗面所で顔洗ってくるから・・・。


<直也>

・鼻水の原因は、俺?そんじゃ~!顔洗ったら、可愛い優子ちゃんとレッスンスタートして、今度は身体全体から鼻水2人で流しますかね(笑)


<優子>

・もう直ちゃんの「バカ」とにかく顔洗ったらレッスンね!

 優子は、直也の精一杯の気持ちが嬉しかったし、何より一緒にレッスンしてくれる事が

 とても幸せに感じたのであった。


*こうして2人は、VHSのビデオテープを見ながら、少しでも背が大きくなるように、

 1回のレッスンは30分。2人で初回のレッスンをしたのであった。2人は言葉を交わさなくてもこのビデオテープと1枚の手紙だけで、心が繋がっていたのであった。

 レッスン後、優子は直也とちゃんと話しをするのであった。


<優子>

・直ちゃん!今日は本当に「ありがとう」私ね?凄く嬉しかった。最初、むりやり車まで連れて行かれたとき、紙袋手渡して、勝手に部屋に戻る直ちゃんに怒りが絶頂だったのよ。ちゃんと説明してくれたら、もう少し気持ちも楽だったのに!


<直也>

 ・わりい~。ごめんな!優子に何を言っても、俺は優子になる事は出来ない!いくら、結婚の反対理由が明確であっても、俺が口を開いて話せば、どうせ慰めや同情としか優子は思わないだろ?それに、素直に聞く雰囲気でもなかったし!だから無言で紙袋を渡したのさ!これでも俺の空っぽの頭を必死に振り絞って出た結論がレッスンビデオだ!俺が優子の彼でも背丈の事を悩む優子の気持ちが分かるなんて軽はずみにも言えない!

  でも、俺にも必ず何か出来る事はある!悩みに悩んだ!その答えが、このビデオだ!

  これなら、2人で毎日、背が大きくなるレッスンすればいいしさ!


<優子>

 ・え~?私直ちゃんよりは、素直だと思うけどな!ほんと自分の都合のいいようにいつも上手くもっていくね。直ちゃんには負けるよ!ここまで私の事を考えてくれた事に本当に感謝しているよ!ねえ~?レッスンしたら、直ちゃんも背が大きくなるかもね(笑)ところで、このビデオ!随分高かったのね?


<直也>

 ・俺の都合のいいようにもっていくって?そりゃ~。随分俺も優子ちゃんに慣らされたからね?何?ビデオ高かった?って?何でわかるの?


<優子>

 ・またまた?何で私が直ちゃんを慣らす訳?私そんなに起用じゃないないよ!

  直ちゃんが私を慣らしたのでしょ?まったく!もう!

  あ~?ビデオは、紙袋の中に領収書が入っていたからね!直ちゃんらしい!(笑)

  領収書見てびっくり!39800円もしたのね!私が言える立場でないけど、よくそんな大金があったね?


<直也>

 ・あれ?領収書が紙袋に?ありゃ~!取ったつもりだったけど、俺とした事が!結構いい値段したよ!もしかして?もしかして?家の経費でおろしてくれるとか?そんな~!お金は色々と掻き集めて買ったのよ(笑)



<優子>

 ・家の経費?あまい!直ちゃん!そんな訳ないでしょ?直ちゃんからの気持ちを経費でおろしたら申し訳ないから今回は直ちゃんのポケットマネ~に甘えさせてもらうね!

  直ちゃんは嘘つけないね~。お金はへそくりのようだね?顔に書いてあったよ!


<直也>

・ったく!優子には負けるよ!まあ~。何かの時に使おうと思っていたへそくりだった

から優子の為に使えたから、俺としては良かったよ。

今回だけは、正直な気持ちを話すと悩みに悩んだよ!優子がこのビデオ見てどんな

リアクションをとるのかが全然読めなかったしさ!こんなビデオって?投げつけられ

たらどうしよう?とまで考えたくらい悩んだ!本音!ホッとしたよ。


<優子>

・投げつける?いくら私でもそこまではしないよ!何より嬉しかったのは、レッスンビデオを見たときに、直ちゃんが私の気持ちに寄り添ってくれていることに凄く幸せを感じたし愛されていると胸が熱くなったよ。この感覚久しぶりだった。


<直也>

・あれ?この感覚久しぶり?えっ?いつもじゃないの?俺はいつも優子を幸せにしたいと

 思っているけど?通じてなかった?


<優子>

・はい!はい!ちょっと煽てるとすぐ調子にのるのだから!私毎日、ビデオ見てレッスンしてみるよ。結果はどうであれ、努力しないとね。


<直也>

・すまん!すまん!レッスン毎日俺も出来るだけ付き合うから、2人で努力しよう。

 それと優子?俺は、レッスンの結果が大事な訳じゃない!レッスンをする事に意味があると思う。結果はわからない!もちろん背が伸びた事に越した事はない!でももしかしたら、効果が出ないかもしれん!それでも、このビデオを見て2人で力を合わせて、努力する事に大きな意味があると俺は思う!俺達のような身長差があるカップルにしか出来ない貴重な経験や!だから、結果を恐れず2人で努力しよう!いつかそれが良くも悪くもいい思い出になるはずだからさ!


<優子>

・「うん」直ちゃんわかった!へそくり無駄にしないように私も努力する。高価なビデオテープ代の元を取らないといけないね(笑)


<直也>

・ようやく、いつもの優子に戻ったな!結婚反対されてから、何かギクシャクだったし、

 お互いに笑顔もなかった!なあ~?優子?もう何度目の正直かは忘れたけどさ!今度

 結婚の事でマイナス発言したら、ビデオテープ代、家の経費という事でね?


<優子>

・あ~?そうくる?直ちゃんずるい!でも、もう大丈夫!何かすっきりした感じがし

たし、マイナス発言はしないから、約束してもいいよ!約束破ったら、家の経費じゃなく、私のポケットマネー一括でお支払いしてあげますわ(笑)


<直也>

 ・おっ?さすが!姉さん女房の貫禄が準備万端にかわったね!よしこれで、交渉成立だ!

  あんまりパワー全快にすると手に負えなくなるから、この辺にしておかないとね(笑)


<優子>

 ・なんですって?あんまり調子にのると怒るよ!姉さんは、怒ると怖いからね(笑)


<直也>

 ・怒った優子ちゃんも中々可愛いいけどな~(笑)

  煽てると調子にのるから、この辺にしておきますか(笑)



*こうして、2人は毎日30分のビデオテープを見ながら、背が伸びるように、レッスンを開始したのであった。優子も直也が自分の気持ちに寄り添ってくれて居る事と結果ではなく、レッスンする努力に意味があると言われた言葉に優子は救われていたのである。

 直也もその言葉に嘘も無く、ビデオで本当に背が大きくなるなら、そんな楽なことはない!こうして、2人でレッスンを始めて3ヶ月が過ぎた。この3ヶ月もちろん身長などはかってもいない!それと両親からも何も音さだがなかった。

 3ヶ月が経ちレッスンを終えた2人は、身長を測ることしていた。

 優子が、部屋の柱に立ち、直也が、物差しを当てて、印をつけスケールで身長を測る。

 すると・・・・。2人の目が合い・・・・。


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